歯列矯正でほうれい線が消えた?できた?対策やトレーニングで備えよう
「歯列矯正を受けて良かった」という話を聞く一方、「歯列矯正を受けたことで、ほうれい線が目立つようになった」というネガティブな話を聞くこともあります。
歯列矯正とほうれい線はどんな関係があるのでしょうか。歯列矯正を受ける前に疑問・不安を解消したい方に、歯列矯正によるほうれい線への影響を詳しく解説します。
公開日:2025/01/13
監修医師
歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開
目次
この記事の要約
・歯列矯正は歯並びと噛み合わせを改善する治療で、ほうれい線との明確な関係性はありません。
・出っ歯や八重歯の治療のために抜歯矯正を受けた場合、ほうれい線が目立つ可能性があります。
・ほうれい線を目立たせないための対策として、歯科医師と治療についてよく話し合う、左右均等に噛む、表情筋を鍛える方法があります。
・表情筋のトレーニング方法もご紹介しています。
歯列矯正とほうれい線は基本的に関係ない
歯列矯正では、ワイヤーやマウスピースの矯正装置を使って歯に力を加え、歯を少しずつ動かしていきます。悪い歯並びや噛み合わせを改善する治療で、歯列矯正とほうれい線の間に明確な関係性はありません。
もともとの歯や口元の状態によって、歯並びを整えることでほうれい線が目立つ可能性はあります。
ほうれい線ができる原因3つ
歯列矯正でほうれい線が目立つようになる話の前に、ほうれい線がどのようにできるのか、解説します。
ほうれい線ができる原因3つ
歯列矯正でほうれい線が目立つようになる話の前に、ほうれい線がどのようにできるのか、解説します。
①皮膚と皮下脂肪のたるみ
顔の皮膚は、リガメント(靭帯)という繊維組織によって引っ張られています。若い頃はリガメントが張って顔が引き締まっていますが、加齢にともなってリガメントの張りがなくなっていき、皮膚がたるんでいきます。加齢によるたるみが原因でほうれい線が深くなっていきます。
②頬骨や下顎骨の吸収
顔の骨の骨吸収と骨形成の代謝は日常的に起こっていますが、バランスが保たれている間は顔の変化は起こりにくいです。加齢などにより次第に骨形成より骨吸収が上回ります。すると、若い頃よりも頬のでっぱりが減り、頬のあたりがたるんでほうれい線が形成されるかもしれません。
③骨にくっついた皮膚とたるんだ皮膚の段差
加齢にともなって皮膚がたるむ部分もあれば、変わらない部分もあります。このような違いで皮膚との間に段差が生じ、ほうれい線が目立つケースもあります。
歯列矯正でほうれい線が目立つようになるケース
なぜ歯列矯正をすることでほうれい線ができる可能性があると考えられるのでしょうか。以下のケースが考えられます。
出っ歯を治療した場合
歯列矯正によって出っ歯が改善された場合、前方に突出していた歯が後方に引っ込みます。これまで前方に引っ張られていた口元の皮膚が前歯の後方移動でたるみ、ほうれい線が深くなったように見えるかも知れません。
八重歯を治療した場合
八重歯は、歯がでこぼこに生える叢生(そうせい)の一種で、犬歯が歯並びの外側にある状態を指します。八重歯により引っ張られていた皮膚なら、歯列矯正によって多少たるみます。
抜歯した場合
歯をきれいに並べるために抜歯することがあります。抜歯せずに歯を並べようとすると、歯並びが外側に広がって出っ歯になって噛み合わせが悪くなるなどのデメリットを避けるが生じるためです。
歯列矯正のために抜歯をした場合、これまで引っ張られていた口元の皮膚がたるみ、ほうれい線が深くなる可能性があります。
→抜歯による顔の変化については、歯列矯正したら頬こけが気になる…これって矯正失敗?
のページをご覧ください。
歯列矯正後にほうれい線を目立たせないための対策
「歯列矯正で歯並びをきれいにし、ほうれい線が目立つのも避けたい」という方のニーズが多いです。歯列矯正後にほうれい線を目立たせないため、以下が大切です。
歯科医師とよく話し合う
思い描く歯並びや噛み合わせのイメージを伝え、「ほうれい線を目立たせたくない」ことも歯科医師に治療前に伝えましょう。患者さんの歯の状態によって、できること・できないことがありますが、よく話し合い、納得して治療を開始することが大切です。
左右均等に噛む
矯正装置をつけながらの食事では、噛みにくさを感じます。前歯で噛み切ろうとしたり、噛みやすいほうだけで噛んだりせず、左右均等に噛みましょう。左右均等によく噛むことで、顔の筋肉のバランスが崩れにくく、皮膚のたるみを防止できます。
表情筋を鍛える
硬い物を噛んだり、顔のトレーニングを行うことで、表情筋を鍛えましょう。表情筋が鍛えられ、皮膚のハリが生まれ、ほうれい線を目立たなくさせることができるかもしれません。
ほうれい線対策におすすめの表情筋トレーニング
表情筋を鍛えるトレーニング方法を紹介します。隙間時間に簡単にできますので、やってみましょう。
ほうれい線トレーニング
1.鼻と上唇の間の部分を空気で膨らませます
2.そのまま静止します
3.次に、表情筋を意識して大きく「お」のお口をつくります
4.そのまま静止します
5.元に戻します
これを繰り返し行いましょう。
口角上げトレーニング
1.左右の口角を上げることを意識して笑顔をつくります
2.その状態から、表情筋を使って頬を持ち上げます
3.そのまま静止します
4.元に戻します
たるみケアトレーニング
1.上下の唇を外側に目一杯広げます
2.そのまま静止します
3.次に、上下の唇をお口の中に巻き込みます
4.そのまま静止します
5.元に戻します
これを繰り返し行いましょう。
まとめ
歯列矯正は歯並びと噛み合わせを改善する治療で、ほうれい線との明確な関係性はありません。ただし、歯列矯正による歯の後退で、ほうれい線が目立つ可能性はあります。
ほうれい線を目立たせないための対策として、歯科医師とよく話し合う、左右均等に噛む、表情筋を鍛える方法があります。
歯列矯正によってほうれい線が目立つようになるのでは?と心配な場合は、矯正歯科ネットの相談室を利用してみるのも一つの方法です。
この記事で、歯列矯正とほうれい線の関係に関するあなたの疑問や不安が、少しでも解消されれば幸いです。
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