歯列矯正(歯の矯正)で顔は変わる?変わりやすい部分や注意点を紹介
歯並びの悪さがずっと気になり、歯列矯正に興味を持つ方は非常に多いです。そんな中、歯列矯正を調べていると、SNSで「歯列矯正をしたら顔が変わった」という投稿を見かけたことはありませんか。
本当に歯列矯正で顔が変わるのか、変わる場合にどう変わるのか、といった疑問を解説します。
公開日:2025/01/07
監修医師
歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開
目次
この記事の要約
・歯列矯正によって顔(特に口元)が変わることがあります。
・横顔(特に口元)が美しくなるといった変化が期待できます。
・出っ歯、受け口、深い噛み合わせを改善した場合、顔が変わることが多いといえます。
・ほうれい線が目立つ、顎がしゃくれる、出っ歯になる、といった変化が起こる場合もあります。
・後悔しないために、信頼できる歯科医師を見つけ、矯正後のなりたいイメージを事前に共有するのが大切です。
歯列矯正(歯の矯正)で顔のどの部分が変わる?
歯列矯正で、以下のような変化が見られる場合があります。
横顔(Eライン)
鼻の先から顎の先を結んだ線をEライン(エステティックライン)といいます。日本人では、Eラインのやや内側に上下の唇が収まっていることがキレイな横顔の指標の一つです。
歯列矯正によって歯並び(噛み合わせ)が整うと、口元の突出改善などの変化が見られます。Eラインに比べて口元の位置が後退して美しい横顔になることが期待できます。
スマイルライン
スマイルラインとは、口角を上げて笑ったときに見える、上の歯の先端を結んだラインのことです。スマイルラインが下唇のラインに沿って緩やかなカーブを描いていることが、美しい口元の指標の一つとされています。
歯列矯正によって歯並びが改善されることで、スマイルラインが整いやすくなります。
エラの張り
咬筋という顎の筋肉が肥大し、顔のエラが張ることがあります。歯列矯正で適切な噛み合わせになることで、歯ぎしりや食いしばりによる影響が軽減されることがあります。
フェイスライン
フェイスラインは顔の輪郭のことです。歯列矯正で歯並びや噛み合わせを整えると、フェイスラインの歪みが減り、顔全体のバランスが良くなることがあります。また、フェイスラインがすっきりし、小顔に見えるケースもあります。
歯列矯正によって悪い意味で顔が変わるケースもある
歯列矯正による顔の変化は、良い意味だけでなく、悪い意味で変わることもあります。
ほうれい線が目立つ
元々出っ歯の場合、歯列矯正で口元の突出が軽減されることが多いです。これまで歯により前方に位置していた口元の皮膚が緩み、ほうれい線が目立ってしまうケースがあります。
人中が伸びる
人中とは、鼻と上唇の間にある縦の溝のことです。ほうれい線が目立つ仕組みと同様に、出っ歯が改善されて口元が後方に引っ込むと、人中が伸びる傾向にあります。人中が伸びることで鼻の下が長く見えて、老けた印象を人に与えるかもしれません。
顎がしゃくれる
出っ歯を治そうとして上顎が必要以上に引っ込んでしまった場合、下顎の歯が相対的に前に出て、結果的にしゃくれることがあります。
出っ歯になる
歯が部分的に重なって、でこぼこに生えている場合、歯列矯正のために抜歯が行われることがあります。抜歯をせずに無理に歯を並べようとすると、歯列のカーブが大きく外に広がって出っ歯になります。
頬がこける
ワイヤー矯正の場合は、食べ物が噛みづらくなり、咀嚼の回数が減ったり、やわらかい食べ物ばかり摂取したりするようになる方がいます。すると、口周辺の筋肉が衰え、一時的に頬がこけてしまうことがあります(可能性は低いです)。
マウスピース矯正を選択した場合、これまで通りに食事ができ、頬がこけるのを回避しやすいです。
歯列矯正で顔が変わることが多い歯並び
以下の歯並びや噛み合わせを改善した場合、顔が変わるかもしれません。
出っ歯(上顎前突)
出っ歯はEラインから上唇が突出し、口元が出ている印象が強くなります。歯列矯正によって口元の突出感が改善すると、Eラインと口元の関係が整うことが期待できます。
受け口(下顎前突)
受け口の場合、下顎が出ていることでEラインと口元の関係が崩れやすくなります。歯列矯正で歯の位置が改善し受け口が解消されれば、横顔が美しく見える可能性が高いです。
深い噛み合わせ(過蓋咬合(かがいこうごう))
上の前歯が下の前歯を隠すほど噛み合わせが深いと、噛む力が強くなる傾向にあり、周りの筋肉がこわばってエラが張ることが多いです。歯列矯正で深い噛み合わせが改善されれば、横顔が美しくなるほか、顔全体がすっきりとした印象に変わる場合があります。
歯列矯正を受ける前に知っておきたい注意点
歯列矯正は歯並びや噛み合わせだけでなく、顔が変わる可能性もあるため、以下のような点に注意して治療を開始を検討しましょう。
抜歯・非抜歯は歯科医師とよく相談して決める
歯列矯正では、歯科医師から抜歯を勧められる場合もあります。不要な抜歯で顔が変わることもあれば、非抜歯を選択したために出っ歯になってしまうこともあります。抜歯・非抜歯のどちらが正解ということはなく、お口の状態によって慎重に選択する必要があるため、歯科医師とよく相談して決めましょう。
矯正後のイメージを歯科医師と共有する
「歯列矯正後にこんな歯並び(噛み合わせ)になりたい」という話以外に、「Eラインを整えたい」など、望む顔の変化も歯科医師に共有しましょう。歯列矯正で後悔しないため、治療開始前に歯科医師とよく話し合い、メリット・デメリットに納得してから治療を受けることが大切です。
まとめ
歯列矯正によって顔(特に口元)が変わる可能性があります。ただし、Eラインが整うなど良い変わり方ばかりでなく、ほうれい線が目立って老けて見えるようになるなど、悪い変わり方をする場合もあることに注意しましょう。
歯列矯正で後悔しないために、信頼できる歯科医師を見つけ、自分自身に合った治療を選ぶことが重要です。
この記事で、歯列矯正で顔は変わることに関するあなたの疑問が、少しでも解消されれば幸いです。
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