大人の矯正治療はデメリットが多い?

大人 矯正 デメリット

矯正治療は10代や20代が受けているイメージをお持ちの方が多いでしょう。
近年では30代や40代、それ以上の年代の方が矯正治療を受けており、矯正治療を提供する歯科医院も増えています。
「高年齢でも矯正治療を受けられるのか?」といった疑問もあるでしょう。
10代や20代以外で矯正治療を受けることで何かデメリットはあるのでしょうか?

監修医師

歯科医師 古川雄亮先生

歯科医師 古川雄亮先生

国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開

目次

  1. 矯正治療の5つのデメリット
  2. 大人の矯正治療にはメリットもある
  3. 大人の矯正治療「よくある質問」
  4. まとめ

矯正治療の5つのデメリット

大人 矯正 デメリット

矯正治療を受ける際に、子供や大人に限らず5つのデメリットがあります。
ひとつずつチェックしましょう。

1.矯正中は虫歯や歯周病になりやすい

矯正装置を装着することで磨きにくく汚れが溜まりやすくなり、虫歯や歯周病になりやすくなります。

加齢や常用薬の影響により唾液の量が減少していく傾向から、自浄作用が機能しにくくなり虫歯や歯周病になりやすくなるでしょう。
大人になってからの矯正治療は、より口腔内を清潔にする必要があるでしょう。

2.痛みや違和感が生じやすい

矯正治療は矯正装置による矯正力を歯に加えるので、痛みや違和感が生じることが多いです。

ただし、痛みや違和感が出るのは、矯正治療では正常です。基本的に治療を始めて数日から1週間以内に痛みが無くなるでしょう。
※痛みの強さや痛みを感じる期間は個人差があります。

3.矯正装置が目立つ

矯正で一般的に使用されるマルチブラケット装置は、銀色の四角いものです。ギラつきがあるため、口を開けたときに目立ちます。自分で取り外すこともできず、接客業や営業のように人と接する機会が多い方は注意が必要です。

プラスチックやセラミックのような白くて透明な矯正装置を装着したり、歯の表側でなく裏側に装置を装着する方法であれば、口元があまり目立たないでしょう。

4.場合によっては歯を削ったり抜歯する

矯正治療は正しい噛み合わせになるよう歯をきれいに並べる治療ですが、歯を並べるためのスペースが十分にない場合があります。その場合、歯と歯の間を削ったり抜歯してスペースを確保することがあります。

5.歯肉退縮や歯根吸収が起こる恐れがある

矯正治療では歯に力を加えて動かしますが、力が加わると歯肉退縮や歯根吸収が起こる場合があります。

歯肉退縮は歯肉の位置が下がってしまうことで、歯の根っこが露出します。これにより、虫歯リスクが高くなるおそれがあります。高齢になると既に歯茎が少し下がってきていることもあり、矯正治療でさらに歯茎が下がればより一層目立つでしょう。

過度に心配するようなリスクではありませんが、通常より強い力をかける場合は歯肉退縮や歯根吸収が起きるかもしれません。

大人の矯正治療にはメリットもある

大人 矯正 デメリット

治療期間が長かったり開始時に強い痛みが出たりする矯正治療ですが、治療を受けることによりさまざまなメリットがあります。

1.見た目が改善される

矯正治療による大きなメリットのひとつが、見た目の改善です。歯並びが悪いことをコンプレックスにしている方は少なくありません。

見た目が改善すればコンプレックス解消につながり、心理面にも良い影響が生まれるでしょう。横顔が美しく見えるようになってほかの人の視線も気にならなくなり、表情にも自信が出てきます。

2.虫歯や歯周病を予防しやすくなる

歯並びが悪いと、歯磨きがしにくくなって汚れ(歯垢)が溜まります。矯正治療によって歯の重なりが解消されると、歯磨きがしやすくなります。
綺麗な歯並びになると歯垢が溜まりにくくきれいな歯列になり、虫歯や歯周病のリスクが下がるでしょう。

3.子供よりも治療計画を立てやすい

大人はすでに顎の骨の成長が終わっています。子供の矯正治療とは違って顎の成長を考慮した治療計画を立てる必要がありません。矯正治療の計画が立てやすいといえるでしょう。

また、学校行事のような大事なイベントごとで矯正治療を中断することが少なく、計画通りに治療を進めやすいのもポイントです。

4.歯の健康を考慮した治療ができる

大人になってからの矯正治療では現在の歯の状態を考慮した治療計画を立てます。

抜歯が必要な矯正治療では、治療(被せ物や歯の根の治療)された歯を優先して抜歯し、寿命の長い歯を残すことを考慮します。状態の悪い歯を抜いて健康な歯を残すことで、将来的に受ける歯科治療の頻度を減らすことができるでしょう。

大人の矯正治療「よくある質問」

矯正治療を考えている大人の方からよく受ける質問は「治療期間」や「費用」です。

治療期間は何年くらい?

大人の矯正治療の治療期間は歯並びや噛み合わせ、使用する矯正装置で大きく異なりますが、マルチブラケット装置による矯正治療の平均期間としては1年~2年ほどです。

治療期間は年齢が重なるとともに長くなる傾向にあり、20歳を過ぎると3年かかることもあります。また、最近普及しているマウスピース型矯正装置を使った治療でも、3年ほどかかることがあります。

費用はどのくらい?

矯正治療は基本的に自費診療となるため、治療にかかる費用は歯科医院によって大きく違います。目安としては80万円~120万円です。
歯並びの状態や治療計画、使う器具によって費用に大きな差が出るため、正確な費用を知りたい場合は歯科医院に確認するとよいでしょう。

まとめ

年齢に関わらず矯正治療にはデメリットがありますが、将来的なお口の健康を考えると大きなメリットもあります。

矯正治療は加齢によりできない治療ではありません。お口の中の状態によりますが、いつでも始めることができる治療です。歯科医師としっかり相談し治療を進めていくことで、理想の歯並びを手に入れられるでしょう。
まずは歯科医院でご自身の歯並びの悩みを相談してはいかがでしょうか。

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