矯正歯科の医師に不信感を持った場合の転院について|デメリットに注意
矯正歯科で治療を受けていて担当歯科医師の対応などに納得がいかず、不信感を抱くようになった方もいらっしゃるでしょう。
転院を検討しているものの、矯正治療の途中で転院が可能なのかよくわからず、悩んでいる方も多いです。
本記事では、矯正歯科の担当歯科医師に不信感を持った場合の転院について、具体的な流れやデメリットなども含め解説します。
公開日:2024/08/26
監修医師
歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開
目次
矯正歯科の医師に不信感がある場合、転院は可能!
結論として、矯正治療の途中で転院することは可能です。
矯正治療は長期にわたり、何度も治療を受けるうちに担当医師に不信感を抱くようになるケースも珍しくありません。『希望を聞いてもらえない』『詳しい治療の説明がない』『治療に不満がある』といった不満が積み重なった場合、転院を考えるのも自然なことといえます。
転院をお考えの場合、その理由を担当医師や相談できるスタッフに伝え、問題点を改善してもらえるように交渉することをおすすめします。後ほど紹介しますが、転院にはデメリットをともなうためです。
また、セカンドオピニオンを受けるのも大切です。セカンドオピニオンは、現在の治療内容などについて他院の医師に意見を求めるもので、別の医師の話を聞くことで今のまま治療を受けても問題ないと思えるようになるかもしれません。
いずれにせよ、現在の矯正歯科はご自身の責任で選ばれたという点を忘れず、転院を検討することが大切です。
⇒矯正歯科ネットの相談室に寄せられた『転院したほうがよいか』の相談もご参考になさってください。
保定期間中でも転院できる
歯の移動が終わり、保定期間に入っている場合にも転院は可能です。
保定期間中は約3ヶ月~6ヶ月に一度の通院が一般的です。
月1回の通院が一般的に必要ですが、通院頻度が少なくなるという点も踏まえて、転院をご検討ください。
参考元:東京医科大学 口腔外科分野
費用の全額返金は難しい
転院する場合、矯正治療の費用が全額返金されるわけではありません。すでに支払った費用の一部が返金されるのが一般的です。
日本臨床矯正歯科医会が提唱している診療報酬精算目安によると、永久歯列期にマルチブラケット装置で矯正治療を受けた場合、治療開始後すぐであれば、返金される割合の目安は「60%~70%程度」となります。保定期間に入っている場合、返金される割合の目安は「0%~5%程度」です。
ただし、返金の割合は、治療内容や矯正歯科によって異なる場合があります。
参考:日本臨床矯正歯科医会
⇒矯正治療の費用の返金については、『矯正治療を失敗された!治療費を返金してもらう方法』の記事もご参考になさってください。
矯正歯科を転院するときの流れ【4STEP】
現在の矯正歯科での治療を終了し、別の矯正歯科に転院する場合の流れを紹介します。
①現在の担当医師に転院したい旨を伝える
現在通っている矯正歯科の担当歯科医師に、転院したい旨を伝えましょう。「不信感があって治療を継続できない」など、転院理由を正しく伝え、担当歯科医師に転院に納得してもらうことが大切です。
転院の話は伝えづらいかもしれませんが、転院先に提出する資料をもらうためにも欠かせないステップです。担当歯科医師に何も伝えずに転院するのはやめましょう。
②転院先となる矯正歯科を探す
転院先で同じ悩みを抱えないよう、慎重に探しましょう。今回のように担当歯科医師に不信感を持ったことで転院する場合、「歯科医師の信頼性」をよく確認することが大切です。
説明が丁寧か、メリットだけでなくデメリットも教えてくれるか、治療計画に納得できるか、経験・実績が豊富か、といった点を見て、信頼できる歯科医師かどうかをチェックしましょう。
また、新しい設備を積極的に取り入れている歯科医院であることも、転院先を探すポイントです。そのほか、立地や診療時間などの通いやすさも十分に考慮しましょう。
③転院に必要な資料を用意してもらう
転院先に治療経過などの情報を提供するため、必要な資料を現在の矯正歯科に用意してもらいましょう。
具体的には、以下のような資料が必要です。できるだけ多くの資料をもらえることが望ましいです。一般的に資料作成には費用がかかることが多いです。
・紹介状
・初診時から現在までの写真・レントゲン写真
・診断記録
・治療計画書
・石膏模型
・治療費の契約内容や返金内容 など
④転院先の矯正歯科に引き継ぎを依頼する
資料を持って、転院先の候補となっている矯正歯科に治療の引き継ぎを相談しに行きます。転院の理由や現在までの治療経過、今後の治療に関する要望などを伝え、転院が可能かどうか相談しましょう。
このとき、新しい歯科医師がご自身と合うかどうかも十分に確認しましょう。また、治療費や治療期間、治療内容なども説明してもらい、納得したうえで転院を決めることが大切です。
矯正歯科を途中で転院するデメリット
矯正治療の途中で転院する場合、以下のようなデメリットがあることを知っておきましょう。
思っている以上に費用がかかることがある
現在の矯正歯科から返金される費用が少ない場合もあり、転院に必要な資料作成には追加費用がかかるかもしれません。
また、転院先で改めて検査や診断を受けるため、新たな費用が発生します。場合によっては治療費を全額支払うことになるかもしれません。思っている以上に費用がかかる可能性があることを理解しておくことが大切です。
虫歯や歯周病のリスクが高くなる
転院までに時間がかかると、その間メンテナンスを受けられず、歯垢が溜まって虫歯や歯周病のリスクが高まります。
虫歯や歯周病にかかると、矯正治療が遅れてしまう可能性が高くなります。できるだけ早く転院先を決めるようにし、治療が中断している間はセルフケアを徹底するようにしましょう。
歯並びが悪くなる恐れがある
矯正治療を中断してしまうと、歯を動かす・保定するといった本来の計画から外れることになり、歯が動いて噛み合わせや歯並びが悪くなる恐れがあります。
矯正治療によって動いた歯は、元の位置に戻ろうとする「後戻り」が発生する点にも注意が必要です。後戻りを防ぐために保定期間があり、後戻りしてしまった歯は再治療が必要になる場合があります。
治療期間が延びてしまう
転院によって治療を受けない期間が長期になると、治療期間も延びてしまうかもしれません。転院先で治療を開始するまでに口腔内環境の変化がみられる場合もあり、新たに治療計画を作り直すことになるかもしれません。
また、転院先の治療方針によっては、一から矯正治療を開始することになり、これまで以上に治療期間がかかる可能性もあります。
一般的に矯正治療期間は個人差があるものの全体矯正で1年~3年が目安ですが、転院する場合も長い治療期間を想定しておいたほうが良いかもしれません。
参考:神奈川歯科大学付属病院
まとめ
矯正歯科の担当歯科医師に不信感を持った場合、矯正治療の途中でも転院は可能です。ただし、費用が全額返ってくることは難しいです。また、矯正治療の途中での転院は上述したデメリットもあるため、十分な検討が必要です。
「矯正歯科ネット」には全国の歯科医師が回答してくれる「相談室」があります。現在の担当歯科医師に不信感を持った場合には、『矯正歯科ネット 相談室』を利用してみてはいかがでしょうか。
この記事で、矯正歯科の転院についての疑問や不安が、少しでも解消されたら幸いです。
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