歯周病になる原因とは?症状や治療法、歯周病の予防法を紹介

歯周病 原因

「家族や知人から口臭を指摘されたことがきっかけで、もしかして歯周病?」と感じ始めている。歯周病だとしたら、原因はいったい何?」そんな疑問をお持ちではないですか。

多くの場合、歯周病の直接的な原因はお口の中の環境です。口腔内以外で歯周病を引き起こしている可能性もあります。今回は歯周病になる原因、進行状況ごとの症状、歯周病治療・予防方法などについて、詳しく紹介します。

監修医師

古川雄亮 先生

国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開

目次

  1. 歯周病とは
  2. 歯周病の原因はプラーク(歯垢)
  3. 歯周病を引き起こす(悪化させる)間接的な原因3つ
  4. ①全身状態
  5. ②生活習慣
  6. ③噛み合わせ・歯並びの悪さや癖
  7. 歯周病の進行状況ごとの症状とは
  8. 正常な状態
  9. 歯肉炎
  10. 歯周炎
  11. 歯周病の治療法
  12. 【歯周病の治療法①】基本治療
  13. 【歯周病の治療法②】外科治療
  14. 大切な歯を守る歯周病の予防法5つ
  15. ①丁寧に歯磨きをする
  16. ②食生活を見直す
  17. ③禁煙する
  18. ④ストレスを溜めない
  19. ⑤定期検診を受ける 
  20. 歯周病で歯を失った後の対応策の一つはインプラント
  21. まとめ

歯周病とは

歯周病 原因

歯周病とは、歯茎や歯槽骨といった歯の周りの組織(歯周組織)に、炎症が起こっている状態を指します。公益財団法人 8020推進財団が2018年に発表した報告書によると「歯が無くなる主原因」として最も多く挙げられたのが歯周病で、割合は37.1%です。歯周病は、歯の脱落につながる危険な病気なのです。


参考:公益財団法人8020

歯周病の原因はプラーク(歯垢)

歯周病の主な原因となるのは「プラーク」と呼ばれる細菌の塊です。このプラークには1ミリグラムあたり1億個以上の細菌が生息しています。歯と歯肉の間にある歯周ポケットは酸素が少なく細菌が繁殖しやすい環境です。歯周ポケットにプラークが蓄積すると細菌が持つ毒素によって、歯周病による進行で歯周ポケットが徐々に深くなります。

歯周病の原因となる細菌が歯周ポケットの奥まで進行すると病原菌の毒素による防御反応によって、歯の周りの骨が溶けていきます。歯が動揺し始め、ものを噛んだ時に痛みが生じるようになり、最終的には歯が脱落します。

歯周病を引き起こす(悪化させる)間接的な原因3つ

歯周病 原因

歯周病を引き起こしたり、悪化させる最大の原因はプラークですが、以下に挙げる3つも歯周病の間接的な原因であると考えられています。

①全身状態

加齢による免疫力の低下・や遺伝などにより、歯周病が発病しやすくなります。糖尿病や白血病などの循環・血液系の病気や、自己免疫疾患のような全身疾患を持っている場合も歯周病のリスクが高まることになると考えられています。

参考:KOMPAS 慶応義塾大学病院

②生活習慣

頻繁な喫煙、過度のストレス、栄養バランスの悪い食生活、不十分な歯磨きといった生活習慣の乱れにより歯周病が進行します。タバコに含まれるニコチンなどの化学物質は血流の悪化をもたらすため、歯肉の腫れや赤みなどの歯周病の自覚症状を感じにくくなります。

③噛み合わせ・歯並びの悪さや癖

噛み合わせや歯並びが悪かったり、歯ぎしりや食いしばりといった悪癖を持つ人の場合は、無意識のうちに歯に強い負担がかかるため、力により歯周病が進行するリスクが高まります。歯並びの悪さは歯磨きを難しくするため、プラークが歯や歯肉に付着しやすい点にも注意が必要です。

歯周病の進行状況ごとの症状とは

歯周病 原因

歯周病の進行状況に応じた歯周組織の病態の変化や、具体的な症状を紹介します。

正常な状態

歯周組織が健康な状態であれば歯肉は色の薄いきれいなピンク色をしています。歯周ポケットも約1~2mmと小さく、歯肉が引き締まっている点も特徴です。また、歯磨きの際に出血することもありません。

歯肉炎

歯周ポケットにプラークが溜まったまま除去できずにいると、歯肉に炎症が発生します。この状態を「歯肉炎」と呼び、歯肉が腫れたり、赤み、口臭が生じます。また、歯茎の腫れで歯肉ポケットのサイズも約2~3mmとやや深くなり、歯肉から出血が生じることがあります。

歯周炎

歯肉炎の症状がさらに悪化すると「歯周炎」と呼ばれる状態になります。歯周ポケットも約3~5mmとさらに深くなり、歯を支える部分の骨や歯根膜(しこんまく)が破壊されます。骨が溶けて歯が揺らぐだけでなく、口臭や歯周ポケットからの排膿といった症状も頻繁に発生するようになります。

歯周病の治療法

歯周病は自覚症状の乏しい病気(サイレント・ディジーズ)ですが、治療法はあります。主な歯周病の治療法としては大きく分けて以下の2種類です。

【歯周病の治療法①】基本治療

歯周病に対する基本治療としては、プラークと歯石(プラークの石灰化したもの)の除去、歯磨き指導、噛み合わせの調整などです。「プラークコントロール」と呼ばれるプラークの除去は非常に大事で、患者さんの日頃の歯磨きによるセルフケアが必要不可欠です。

さらに、歯周病の進行に伴って歯が動揺している場合、ものを噛み続けると大きな負担がかかります。そのため、歯を削ったり、歯科用の接着剤を使って隣の歯とくっつけることによって、噛み合わせを調整する必要が生じるケースがあります。

【歯周病の治療法②】外科治療

基本治療だけでは歯周ポケットを小さくできない、歯周病の症状を改善できない場合は、歯周ポケットを小さくするために、外科的手術を施すことがあります。歯肉を切開して剥離を行ったうえで感染している部分を直接的に除去します。

症状によっては、特殊な材料を使って失われた骨を部分的に再生する「再生療法」が必要になる場合があります。基本的に手術時に入院の必要はありませんが、患者さんの身体の状態によっては手術ができないケースもあります。

大切な歯を守る歯周病の予防法5つ

歯周病 原因

歯周病を避けるためには未然に予防を行うことが重要です。自分の大切な歯を守るために歯周病の予防法をチェックし、日々の生活に取り入れるように意識してみましょう。

①丁寧に歯磨きをする

歯周病の主な原因が歯に付着するプラークということもあり、プラークを除去する歯磨きは重要です。歯肉炎になったとしても、適切な歯磨きを行うことによって症状の進行を食い止め、歯肉を健康な状態に戻すことも可能です。

歯肉が健康な人であれば普通からやや硬めの歯ブラシを、歯肉が炎症を起こしている人はやわらかめの歯ブラシを選ぶなど、自分に合った歯ブラシの材質を選びましょう。歯磨きの方法を学ぶことも大切です。歯間ブラシやデンタルフロスといったデンタルケアグッズを歯ブラシと併用し、歯科医院では歯磨き指導を受けることをおすすめします。

②食生活を見直す

食生活の乱れは歯周病を引き起こすため、バランスの取れた食生活を意識することも、歯周病の予防につながります。具体的には、やわらかい食べ物や甘いものの摂取を控えて、ビタミンやミネラルが多く含まれた食材や、食物繊維の多い野菜を摂ることによって、歯周病のリスクを軽減できます。

参考:テーマパーク8020

③禁煙する

タバコに含まれるニコチンは、血管収縮と血行悪化を招きます。タバコが含む一酸化炭素が歯周組織の酸素を減少させ、歯周組織の栄養不足を引き起こし、歯周病の重症化や治療効果の減少を招きます。禁煙を成功させることができれば上記のリスクを回避できます。

④ストレスを溜めない

日常生活で過度のストレスを溜めると、身体が持つ抵抗力の低下や生活習慣の乱れにつながり、歯周病のリスクも高まってしまいます。適度な運動や趣味でリラックスして、ストレス解消しましょう。

⑤定期検診を受ける 

歯周病は基本的に自覚症状が乏しいため、気付かないうちに症状が進行しているケースが少なくありません。1年に2~4回のペースで定期検診を受けて歯肉の状態をチェックしてもらったり、プラークや歯石を除去してもらうことによって歯周病を進行させないようにしましょう。

歯周病で歯を失った後の対応策の一つはインプラント

歯周病で歯を失った場合に用いられる一般的な治療の選択肢としては、入れ歯、ブリッジ、インプラントの3種類です。インプラント治療は歯を失った部分に人工歯根を埋め込み、その上に人工歯を被せていく治療法となります。

インプラントを選択すれば、天然歯に近い機能性や噛み心地を得られるだけでなく、入れ歯やブリッジとは異なり周囲の歯を削ったり他の大きな負担をかけることもありません。インプラント治療にはネジを埋め込む手術が必要なので入れ歯やブリッジに比べて治療費も高くなるものの、多くのメリットがあります。

まとめ

歯周病は、歯肉(歯茎)や歯を支える骨(歯槽骨)を壊してしまう病気です。歯周病の最大の原因はプラークですが、全身疾患や生活習慣の乱れのような間接的な原因が重なることによって、歯周病が進行するリスクが高まります。

歯周病を発症した際の治療法は、症状の進行具合などによって基本治療と外科治療にわかれます。重度の場合は歯茎を手術する必要性も出てくるため、歯周病が疑われる場合は早めに歯科医院を受診しましょう。

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