セルフライゲーションブラケット装置のメリットとデメリットとは?
矯正治療に対して不安を感じる方も多いと思います。治療期間や費用のほかに、治療中の痛みが心配という方もいるのではないでしょうか。
矯正器具には、矯正中の痛みを和らげるといわれる「セルフライゲーションブラケット」を使った矯正治療があります。セルフライゲーションブラケットを使用すると、なぜ痛みを抑えられるのでしょうか?
セルフライゲーションブラケットを使った具体的な治療方法や、メリット・デメリットなどについてご紹介します。
公開日:2024/05/13
監修医師
歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開
目次
セルフライゲーションブラケット装置とは
矯正治療では、歯の表面にブラケットを装着し、ブラケットにワイヤーを通して歯に力を加えるワイヤー矯正が一般的です。ワイヤー矯正は適応症例が多いですが、ブラケットとワイヤーの間の摩擦が原因で、痛みが生じてしまうことがあります。
セルフライゲーションブラケットとは、矯正治療時のワイヤーとブラケットの間に生じる摩擦を軽減して痛みを緩和し、歯を早く動かせるといわれている装置です。見た目は一般的なブラケットに似ています。
セルフライゲーションブラケット装置の5つのメリット
セルフライゲーションブラケットが従来のブラケットとどのような違いがあるのか、どのようなメリットがあるのかをみていきましょう。
弱い力で効率的に歯を動かせる
一般的な矯正装置では、ブラケットにスロットとよばれる窪みがあり、ワイヤーを通して外れないように髪の毛のように細いワイヤーで縛ります(これを結紮(けっさつ)といいます)。治療の際には、ワイヤーを外して力の加え方を調整し、その度に結紮を行います。
一方でセルフライゲーションブラケット装置は、通常のワイヤー矯正とは異なりブラケットとワイヤーを結紮しない仕組みのため、ブラケットとワイヤーの間に生じる摩擦が少なくなります。
痛みの軽減につながる
矯正治療による痛みの主な原因となるのは、ブラケットにワイヤーを通して強く縛ると起きる摩擦です。セルフライゲーションブラケット装置は、ブラケットとワイヤーの間の摩擦が結紮が不要になり少なくなるために矯正治療中の痛みが減るとされています。
矯正治療は長期にわたるので、痛みの軽減は治療中のストレスが緩和される大切なポイントです。矯正治療中の痛みが心配な方にとっては大きなメリットといえるでしょう。
歯根吸収のリスクを減らせる
矯正治療では歯根吸収(しこんきゅうしゅう、 歯肉より下にある歯の根が吸収されて短くなる症状)が起こるリスクがあります。歯根吸収が起きると歯がグラグラしたり、非常に稀ですが最悪の場合は抜けてしまう可能性もあります。
セルフライゲーションブラケット装置は通常のワイヤー矯正よりも結紮する力が弱いため、歯にかける力が軽減されます。そのため歯根吸収が起こりにくくなると考えられています。
治療時間が短く済む
矯正治療は期間が長いイメージを持っている方が多いのではないでしょうか。
一般的な装置と異なり、セルフライゲーションブラケット装置はブラケットの蓋が開閉してワイヤーを通して固定する仕組みです。調整のたびに結紮する方法よりも、ブラケットの蓋を開け閉めするだけのほうが処置も簡単にできると考えられます。
通院時間が短くなるのは、患者さんにとって通院の負担が減ることでしょう。
お口の中を清潔に保ちやすい
ワイヤー矯正装置のデメリットとしてあげられるのが、歯を磨きにくいということです。装置が歯磨きの妨げになってしまい、歯ブラシがうまく歯を磨けずに汚れが溜まってしまうことがあります。
また、ワイヤー矯正は患者さん自身で矯正装置の取り外しができません。そのため、矯正治療中はお口の中を清潔に保ちにくく、虫歯や歯周病にかかりやすいといわれています。
セルフライゲーションブラケット装置は結紮のためのゴムや細いワイヤーを使用しないため、従来のワイヤー矯正に比べてブラケットの周りに汚れや菌が幾分たまりにくいと考えられています。磨き残しが減ることで、歯周病や虫歯のリスクが下がることは大きなメリットといえるでしょう。
セルフライゲーションブラケット装置の2つのデメリット
治療においてさまざまなメリットがあるセルフライゲーションブラケット装置ですが、一方でデメリットもあります。治療費や装置の性質などから起こりうる主なデメリットをチェックしてみましょう。
費用が高額になる
セルフライゲーションブラケット装置を選択するデメリットとして、通常のブラケットを使用したワイヤー矯正よりも費用が高くなる傾向があることが挙げられます。
セルフライゲーションブラケット装置の平均治療費は約800,000円~1,000,000円ですが、ワイヤー矯正の平均治療費が表側矯正で約600,000円~900,000円といわれているので、セルフライゲーションブラケットは装置自体や治療費用が比較的割高となります。
2023年12月 株式会社メディカルネット調べ
装置に厚みがある
セルフライゲーションブラケット装置は蓋の開閉機能という特長がある分、通常のブラケットよりもやや厚みがあります。そのため、通常のワイヤー矯正と比較した際に装置がやや目立つように感じるかもしれません。
まとめ
セルフライゲーションブラケット装置を使うと短い期間で治療を終えることができるとされています。
ワイヤーとブラケット間の摩擦が少ないため、できるだけ痛みを抑えて快適なつけ心地で矯正治療を受けることができるでしょう。矯正治療を考えている場合は、セルフライゲーションブラケット装置での治療も検討してみませんか。
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