口ゴボは矯正で治せる? 原因・症状・治し方について
口ゴボ(出っ歯)が気になるけれど、治す方法がわからない。
私の歯並びは外科矯正が必要?
歯並びは綺麗な場合も口ゴボと言えるの?
といった「口ゴボ」に関するお悩みはありませんか?
できればおおがかりな外科手術を行わずに矯正治療で口ゴボを治したい!と思っている人も多いはず。
今回は、そもそも口ゴボとはどんな症状なのか?その原因は?そして、口ゴボを治す方法とは?このような内容について、紹介していきます。
公開日:2021/08/16 更新日:2021/09/09
監修医師
歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。
目次
口ゴボとは
「口ゴボ」という言葉は、外見的に口元が盛り上がって見える状態のことを指します。
横顔の見た目から、ゴリラやオラウータンなど猿のようだという残念なイメージもあるようです。
顎の小さい日本人にとっては発生しやすく、主に横顔の見た目において悪影響が生じます。
口ゴボの主な原因としては、前歯の傾きや位置が挙げられます。上顎の前歯が前に出ていたり、上下両方の前歯が前に突き出てしまう歯並びの問題が挙げられます。
口ゴボには見た目以外のデメリットも
口ゴボには顔の見た目が悪くなるということ以外にも、様々なデメリットが存在します。
単純に口が閉じにくい、前歯で食べ物が噛み切れない、笑うと歯茎が見えるなども口ゴボのデメリットです。
口ゴボの主な原因である出っ歯は口が開きっぱなしになりやすく、お口の中が乾燥するため虫歯や歯周病のリスクになることも。
前歯が乾燥しているとリップが歯に付いてしまう(歯紅してしまう)ことから、気にする女性も多いかもしれませんね。
これらのデメリットは、口ゴボをコンプレックスに感じる原因でもあるでしょう。
また、出っ歯は噛み合わせの悪化を招き、顎関節への負担も増加させます。
それによって、顎関節症だけでなく、頭痛、肩凝り、視力の低下といった症状を引き起こす可能性も。
口ゴボが悪くなる原因とは?
口ゴボは、顎や歯の大きさ、顔の骨格バランスといった遺伝的な影響を受けておこるケースが多いとされています。
遺伝的な要因はなかなか避けることができません。
しかし、親も親戚も口ゴボではないのに自分だけ口ゴボ、という方もいるのではないでしょうか?
実は子供の頃の癖や、日常生活での何気ない癖が、口ゴボが悪くなる原因になっているケースがあるのです。
口呼吸・舌の位置
鼻ではなく口での呼吸が癖になっていませんか?
今は口ゴボだから口が開いている、と思われるかもしれませんが、実は口ゴボになる前から口呼吸をしてしまっていたのかもしれません。
普段から口が開いていると口の周りの筋肉が弱まり、舌が外側に加える力と均衡がとれなくなり、上の歯が前に傾斜して出っ歯につながってしまうことがあります。
また、口呼吸が癖になると、舌の位置が無意識のうちに低くなる傾向にあります。
舌が低い位置にあると、上の歯並びが狭くなり歯並びが悪くなってしまったり、舌によって気道が狭くなり呼吸がしづらくなるため口がぽかんと開いてしまうことも。
舌は、リラックス時に上の前歯の裏側の少し膨らんだ歯茎の部分に舌先が当たっているのが正しいポジションです。
幼少期の指しゃぶり・長期間のおしゃぶりの使用
赤ちゃんの時におしゃぶりをしていることは普通のことであり、使用を避ける必要はありません。
しかし、使用の目安は3歳頃までであり、4歳を超えてもおしゃぶりを使用していると、前歯が出っ歯になってしまう可能性を高めます。
同じく指しゃぶりも前歯が出っ歯になる可能性を高めてしまうのです。
大人が一度指しゃぶりをしてみると、親指で前歯を前に押してしまう感覚や、舌が前歯をぐっと押す感覚がよくわかります。
大人は成長期が終わっていますので、短時間少し前歯を押すだけで歯並びが大きく変わることはありませんが、子供の指しゃぶりの癖は長時間であり、加えて成長期のため上の前歯の傾斜や上顎の成長を促し、結果的に出っ歯になるリスクは強くなるといえるでしょう。
爪や唇を噛む癖がある
指しゃぶりと同じく、爪や唇を噛む癖がある場合も口ゴボのリスクが高くなってしまう要因です。
爪や唇を噛む癖は、歯の位置自体はあまり変わりませんが、前歯が唇側へと傾斜して出っ歯になってしまう可能性があります。
また、唇側へ傾斜すると実際に歯があったスペースに隙間ができるため全体の歯並びも悪くなってしまうかも。
指しゃぶりとは異なり、爪や唇を噛む癖に関しては大人になってからもやってしまう人は多いそう。
もしも大人で爪を噛んでしまう癖がある方は、意識的に矯正していったほうがいいかもしれませんね。
手袋をする、爪に苦い成分のマニキュアを塗るなどの対処法がありますよ
柔らかい食べ物ばかりを摂る
幼少期から柔らかいものばかり食べていると、顎の発達が弱まってしまう可能性があります。
その影響で、顎周りの筋肉も衰えてしまって歯並びが乱れ、将来的な口ゴボへと発展してしまう危険性も出てきます。
それを防ぐためにも、幼少期から歯ごたえのある食べ物を定期的に食べることで、顎の自然な発達を促していくことを心がけましょう。
口ゴボの治し方は?
インターネットで調べると、口ゴボの治し方はさまざまですよね。
歯列矯正だけで治る、外科手術を伴う矯正治療が必要、マウスピース矯正でも治せる、などなど…。
実際に自分の口ゴボは治せるの?
診断を受けたら別の方法を提示されたけれどこれって合っているの?と疑問も多いはず。
口ゴボの治し方は、口ゴボの原因によって異なります。
原因ごとの基本的な口ゴボの治療方法についてみていきましょう。
骨格性の口ゴボの治し方
骨格性の口ゴボとは、顎が大きい、前に出ている、後ろに引っ込んでいるなど顎の骨の位置が原因で起こる口ゴボです。
詳しく分類すると、
・上顎前突
・上下顎前突
の2パターンに大きく分けられると言われています。
骨格性の口ゴボは歯並び自体は綺麗であることもありますが、顎の位置が原因で口ゴボが現れているケースもあります。
骨格性の口ゴボは歯列矯正だけで治療することは難しいケースがほとんどで、外科手術を伴う矯正治療が選択されることが多いでしょう。
顎変形症と診断されていれば、外科手術を伴う矯正治療に公的医療保険が適用されます。
公的医療保険が適用されるかどうか、詳しくは保険(公的医療保険)適用の矯正治療とは?をご覧ください!
歯並びによる口ゴボの治し方
出っ歯や歯の傾斜、歯の位置が原因で口ゴボになっている場合は、歯列矯正だけで口ゴボを治療することができるかもしれません。
歯並びの問題の程度によって、ワイヤー矯正やセラミック矯正、マウスピース矯正と言った選択肢から一番適した方法を選択することが大切です。
抜歯が必要な場合や歯を大きく動かす必要がある場合、噛み合わせまでしっかり治療をしたい場合はワイヤー矯正が選択されることが多いようですね。
そのほか、アンカースクリューや顎間ゴムを使用することもあります。
マウスピース矯正で口ゴボは治せる?
「歯並びによる口ゴボの治し方」にてマウスピース矯正について書きましたが、マウスピース矯正は適用範囲が狭い治療法です。
具体的には、抜歯をするなど歯を大きく動かす必要があるケースには適していないとされています。
また、マウスピース矯正では顎の骨を動かすことはできないため、骨格性が原因の口ゴボの治療は難しいでしょう。
マウスピース矯正は比較的安価で、矯正していることがわかりにくいという大きなメリットがありますが、メリットだけを見てマウスピース矯正を選択してしまい、治療が終わっても理想の口元にならなかった、というお悩みも多いのが現状です。
口ゴボの治療をマウスピース矯正で行いたい場合は、医師とよく相談し、治療の可否や治療終了後のお口の状態についてよく確認してから始めましょう。
口ゴボを治す外科手術について詳しく知りたい!
口ゴボを外科手術を伴う矯正治療で治す場合、まず最初に精密検査を行います。
(この段階で「顎変形症」と診断されれば、公的医療保険を適用して治療を受けることができます。
ただし、公的医療保険を適用して治療を受ける場合には注意点がありますので、次の「公的医療保険を適用する外科手術の注意点」もぜひご覧ください。)
精密検査の結果によって治療の計画を綿密に立てることが外科手術を伴う矯正治療を成功させるためには重要です。
治療計画が決まったら、手術時における噛み合わせを改善するために1年から2年ほど手術に備えた事前の矯正を行います。
事前矯正が完了したら、およそ10日~14日ほど入院して顎の骨の位置を治す外科手術を受けます。
そして、術後の顎に合わせて歯並びや噛み合わせの調整のための矯正を約6ヵ月にわたって続けていくのがセオリーです。
口ゴボを治すための外科手術はお口の内側から手術を行うため、術後に傷口が目立ちにくくすみますよ。
デメリットとしては、手術や入院が必要になるほか、治療期間が約2年という長期間にわたることや、術後しばらくは下唇にしびれが残ったり、2週間ほどにわたって腫れが生じたりすることが挙げられます。
公的医療保険を適用する外科手術の注意点
外科手術を伴う口ゴボの治療は高額であり、できれば公的医療保険を適用したい!という患者さんが多いでしょう。
公的医療保険が適用されれば3割の負担で済み、患者さんの金銭的負担は大きく軽減されるというメリットがありますよね。
しかし、公的医療保険を適用して治療を受けるには大きな注意点があります。
まず、公的医療保険を適用して受ける外科手術は「噛み合わせを治す」治療とされます。
見た目だけを治す治療ではないのです。
口ゴボの治療を希望する患者さんは口元に大きなコンプレックスを持っている方も多いはず。
外科矯正治療では口元の改善も含めた治療を行いますが、噛み合わせや歯並びなどお口の機能を優先した治療が行われます。
そのため、外科矯正後の口元に納得が行かない場合は追加で美容整形手術が必要となる場合があります。
コンプレックスを治したかったのに、噛み合わせを優先する公的医療保険適用の外科手術を受けたために希望する口元にはならず、別のコンプレックスが生まれてしまうことも0ではないようです。
見た目を綺麗にしたい場合は、初めから美容整形を選ぶという選択肢もあります。
まとめ
口ゴボの原因や症状は人によってさまざまであり、その最適な治療法も患者さんによって大きく異なってきます。
だからこそ、治療法を自己判断することなく、可能なようであれば複数の歯科医師から話を聞いたうえで、慎重に治療を進めていくことが重要となります。
専門家の意見をもとに、ご自身としても後悔することのないかたちで、口ゴボの治療を進めていきましょう。
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