【メリット・デメリットを徹底比較!】インプラント矯正なら治療期間を短くできる?
矯正治療でインプラントアンカーを使うメリットのひとつに、治療期間を短縮できる可能性が高まることが挙げられます。インプラントアンカーは主に、歯を動かすのが難しい症例の場合に用いられます。そんな『インプラント矯正』について、メリット・デメリットを徹底比較しながらご紹介いたします。
公開日:2019/10/01 更新日:2021/11/18
監修医師
歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。
目次
【3D動画で解説】インプラント矯正なら治療期間を短くできる?
矯正治療×インプラントで効率的に歯を動かす方法をご紹介します。皆様の中には「インプラント」と聞くと「歯を失ってしまった人が受ける大掛かりな外科手術」を想像する方もいらっしゃるのではないでしょうか。こちらでご紹介する「矯正用インプラント」は歯を効率的に動かしていく補助的な装置のひとつ。インプラントが歯を動かす支点となることで、動かす必要のある歯を一気に動かすこともでき、治療期間を短くすることもできれば、抜歯しないで矯正治療をすることもできます。矯正用インプラントについて詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
矯正用インプラント(インプラントアンカー)とは
小さな歯科用インプラントを顎の骨に埋め込んで歯を動かす固定源にする治療方法
インプラント矯正とは、インプラントアンカーと呼ばれるチタン製のプレート状の器具やネジ型の器具を一時的に顎骨の表面に埋入し、それを固定源として矯正装置で歯を動かしていく治療方法です。
インプラントとは
インプラントとは「埋め込む」という意味で、何らかの原因で欠損した人体の器官や組織を代替するために作られた医療器具です。骨に結合しやすく身体になじみやすい「チタン」製で、整形外科では骨折時に骨を接合するためにボルトやプレート対応のインプラントがよく使われています。歯科では、歯周病などで歯を失ったときの人工歯根として使われています。(デンタルインプラント)
歯を動かすための固定源となるインプラントでは「インプラントアンカー」と呼ばれる約5mm~13mm程度の小さなネジの形をしたビス型のインプラント(ミニスクリュータイプ)や、ビス型よりやや大きめのプレート型(ミニプレートタイプ)が使用されています。
矯正用インプラントで歯が動きやすくなる訳とは
歯に接着したブラケットとワイヤーで歯を動かす場合、ワイヤーで繋がっている歯と歯がお互いに引っ張り合うことによって歯が移動します。このような方法では、ワイヤーとつながったそれぞれの歯が一度に移動してしまいます。その結果、歯を動かしたい部分が予定通りに動かなかったり、または動かしたくない歯が動いてしまったりなど、思った通りに歯が動かないことがあります。
一方で、矯正用のインプラントを用いる方法は、約5mm~13mm程度の小さなネジの形をしたインプラントを顎の骨に埋め入れ、そこを支点にして歯を移動させます。歯を支点にする場合と異なり、固定源が動かないので歯に強い力をかけることができ、大幅に歯を動かすことも可能です。インプラントを軸として前後・上下・左右と歯を動かすことができるため、これまで抜歯しなければならなかった難しいケースでも歯を抜かずに治療を行える可能性があるほか、効率的に歯が動くことで結果的に治療期間が短くなる場合もあります。
■インプラントを埋め入れる施術方法とは?
矯正治療に使われるインプラントは、局所麻酔を行ったあと歯根と歯根の間の顎の骨にインプラントを埋め入れます。インプラント埋入を含めたトータルの手術時間は、ネジタイプ(ビス型)のインプラントの場合、1本につき5~15分程度です。麻酔を行うので、
痛みや出血はほとんどありません。
インプラントと顎の骨がしっかり定着すれば、矯正治療の固定源にすることができます。なお、ビス型より大きめのプレート型(ミニプレート型)のインプラントの手術時間は、片側の顎で1時間、両側で2時間~3時間程度です。なお、歯の移動が終了後、インプラントは撤去します。
※痛みや出血の程度は個人差があります。
インプラント矯正のメリットとデメリット
■メリット
治療期間の短縮に期待できる
インプラント矯正は前後・上下・左右方向に動かしたい歯のみをピンポイントに動かすことができるほか、歯を動かしたくない部分に対しても動かさないようにすることもできます。動かしたい歯を動かすし、動かしたくない歯は動かさないので、効率よく歯を動かすことができ、結果的に治療期間を短くすることも可能なのです。
抜歯をせずに治療できるケースもある
インプラントの固定源が顎の骨にあるため、これまでの矯正治療と比べて強い力で歯を動かすことができます。それにより歯の移動距離を長くすることが可能となりました。これまで歯を動かすスペースを確保するために行っていた抜歯を伴うことなく歯を並べられる可能性もあるのです。
大がかりな装置が不要になる
これまで歯を動かすために使用していた、大掛かりな矯正器具(ヘッドギアなど)を使用せずに治療ができる場合があります。ヘッドギアは上の歯を奥に動かすことができますが、インプラントに比べると効果はあまり期待できません。また、装置自体が非常に目立つため、装置をつけるのが在宅中になります。その点、インプラントアンカーは口の中にあるため目立たず、一日中矯正力が歯にかかるため効率的に歯を動かすことが可能です。
※治療には個人差があります。
※ヘッドギアについて詳しくはこちら
■デメリット
局所麻酔が必要
インプラントを埋め入れる際は麻酔が必要です。一般的なインプラント手術とは異なり大掛かりな手術ではありませんが、局所麻酔が必要な処置であることは覚えておいてください。施術時間は約5~15分程度で痛みはほとんどありません。なお、矯正治療が終了した後はインプラントを抜き取る必要があります。
※痛みや出血の程度は個人差があります。
不衛生な状態では感染を起こすことも
歯の表面や矯正装置の周りにプラーク(歯垢)が付着するように、矯正用インプラントの周りにも汚れが付着します。プラーク(歯垢)が停滞していると、細菌の繁殖により歯ぐきの腫れや出血を伴うこともあります。インプラント周囲も忘れずに汚れを落としましょう。炎症を起こすとグラグラして抜け落ちることもあります。
治療中インプラントがはずれることも
個人差がありますが、歯ぐきの厚みや埋め入れる場所によってはインプラントが抜け落ちたり、グラついたりする場合があります。その際は、埋め入れる場所を変えることで問題を回避できることもあります。
高校生以降の方が対象
原則的に顎の骨の成長が終わったとされる、高校生以降の方が対象です。身体の成長が終了したかは、学校の身体測定の記録や、手の骨のレントゲン画像などをもとに判断されます。
オプション費用が発生する場合もあり
矯正用インプラントは矯正治療のオプションとして提供している医院もあります。矯正用インプラントの治療費は総額に含まれているのか、またはオプション代として別途発生するのか、事前に費用面を確認する必要があります。多くの歯科医院では、矯正用インプラントをオプションの費用として設定しています。
歯を抜歯せずに矯正治療を行いたい人にとって、矯正用インプラントは大きなメリットになります。今後も矯正用インプラントの需要は増すでしょう。矯正用インプラントを用いて抜歯をしないで治療したい方は、矯正用インプラントを用いた矯正治療を提供する歯科医院を受診し、矯正相談をすることをおすすめします。
【PR】フィリップス ソニッケアー
歯科専門家使用率NO.1
あわせて読みたい記事
メディア運用会社について
株式会社メディカルネット(東証グロース上場)は、より良い歯科医療環境の実現を目指し、インターネットを活用したサービスの提供にとどまらず、歯科医療を取り巻く全ての需要に対して課題解決を行っています。
当サイト「矯正歯科ネット」を通して生活者に有益な医療情報を歯科治療の「理解」と「普及」をテーマに、自分に最適な歯科医院についての情報や、歯の基礎知識、矯正歯科などの専門治療の説明など、生活者にとって有益な情報の提供を目指しています。
矯正歯科歯科医院を探すなら「矯正歯科ネット」
矯正歯科治療を行なっている歯科医院を、全国から簡単に検索できます。お近くの矯正歯科歯科医院をお探しの場合にもぜひご活用ください。