マウスピース矯正(インビザライン)は確定申告の医療費控除を申請できる?

マウスピース矯正 医療費控除

マウスピース矯正(ex.インビザライン)に興味がある人は、最初にまとまった費用がかかることが多い点を気にしますよね。できるだけ費用負担を抑えるために、確定申告の医療費控除の利用を考える方も多いでしょう。ただし、医療費控除には条件があるため注意が必要です。

この記事では、医療費控除とは何か、マウスピース矯正では医療費控除が申請できるのか、などを詳しく解説します。

監修医師

歯科医師 古川雄亮先生

歯科医師 古川雄亮 先生

国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開

目次

  1. 医療費控除とは?
  2. マウスピース矯正(インビザライン)で医療費控除を申請する条件
  3. マウスピース矯正でかかった費用はすべて医療費控除の対象になる?
  4. 実際に医療費控除を申請するといくら戻る?
  5. 医療費控除を申請するときの注意点
  6. マウスピース矯正での医療費控除のやり方
  7. まとめ

この記事の要約

・1年間の医療費が一定の基準(10万円)を超える場合、医療費控除の申請によって還付金の受け取りが可能です。
・審美目的のマウスピース矯正でなければ、基本的に医療費控除の申請が可能です。
・医療費控除の対象になる費用とならない費用があります。
・領収書を5年間保管するなどの注意点があります。

医療費控除とは?

医療費控除とは、1月1日~12月31日の1年間に支払った医療費が一定基準を超える場合に、税務署に確定申告することで税金の支払いが軽減されたり、所得税が還付される制度です。

1年間の医療費が10万円を超えた場合、または総所得金額の5%を超えている場合に医療費控除を申請できます。生計を共にする世帯全員の医療費を合算して申請できるため、個人で10万円を超えていない場合も可能です。

マウスピース矯正(インビザライン)で医療費控除を申請する条件

マウスピース矯正で医療費控除の対象となるのは、噛み合わせなどの機能面に問題があり、歯列矯正を受ける場合です。発育段階にある子どもの場合、歯並びや噛み合わせの乱れが成長を阻害する可能性があると考えられ、ほとんどのケースでマウスピース矯正が医療費控除の対象になります。

一方、審美目的の治療は医療費控除の対象になりません。大人のマウスピース矯正は見た目を良くする治療と診断されることもあり、その場合は医療費控除の対象外です。

ただし、審美目的でマウスピース矯正を受けるつもりが、歯科医師の診断で噛み合わせの問題が見つかり、医療費控除の対象になったケースもあります。医療費控除の対象となるかを事前に歯科医院で確認しましょう。

マウスピース矯正でかかった費用はすべて医療費控除の対象になる?

マウスピース矯正で医療費控除を申請できる場合も、治療に関するすべての費用を計上できるわけではありません。医療費控除の対象になる費用とならない費用を紹介します。

医療費控除の対象になる費用

・マウスピース矯正装置の費用
・保定装置の費用
・検査・診断・処置の費用
・必要な医薬品(処方薬)の購入費用
・通院にかかった交通費 ※基本的に公共交通機関利用時のみ


交通費に関しては、小さいお子さんの通院に付き添った場合、付添人の交通費も医療費控除の対象となります。

医療費控除の対象にならない費用

・自家用車で通院した場合のガソリン代や駐車場代
・マウスピース矯正に必須でない医薬品の購入費用
・歯科ローンの金利や手数料

実際に医療費控除を申請するといくら戻る?

マウスピース矯正 医療費控除

マウスピース矯正で医療費控除を申請した場合にいくら戻るのか、計算方法や具体例を紹介します。

参考:「国税庁 No.2260 所得税の税率

所得が200万円以上の場合

まず、医療費控除の対象となる金額を次の式で算出します。医療費控除額は最高で200万円です。

【1年間に支払った医療費の合計額】ー【保険金などの補填額】ー【10万円】=【医療費控除額】

そして実際に戻ってくる金額を次の式で算出します。

【医療費控除額】×【所得税率】=【所得税の還付額】

ご自身の所得税率は表を参考にしてください。

還付金(目安)の具体例

上記の計算方法を用いて、還付金(目安)の具体例をご紹介します。

・マウスピース矯正にかかった費用:100万円
・保険金などの補填額:0円
・所得金額:350万円(所得税率20%)

医療費控除額の計算:100万円ー0円ー10万円=90万円
還付額の計算:90万円×20%=18万円


この場合、医療費控除によって、納める予定の所得税のうち18万円が戻ってくる計算となります。

所得が200万円未満の場合

1年間の総所得金額が200万円未満の場合、次の式で医療費控除額を算出します。

【1年間に支払った医療費の合計額】ー【保険金などの補填額】ー【総所得金額等の5%の金額】=【医療費控除額】

続いて、実際に戻ってくる金額を次の式で算出します。所得税率は上記表のとおりです。

【医療費控除額】×【所得税率】=【所得税の還付額】

これらの計算方法を用いて、還付金(目安)の具体例をご紹介します。

・マウスピース矯正にかかった費用:100万円
・保険金などの補填額:0円
・所得金額:190万円(所得税率5%)

医療費控除額の計算:100万円ー0円ー(190万円×5%)=90万5,000円
還付額の計算:90万5,000円×5%=4万5,250円


この場合、医療費控除によって4万5,250円が戻ってくる計算となります。

医療費控除を申請するときの注意点

医療費控除を申請する場合に気をつけたいポイントをご紹介します。

領収書は5年間保管する

医療費控除の対象となる領収書は、5年間の保管義務があります。税務署から提示や提出を求められる場合もあるため、なくさずに保管しましょう。

年をまたいだ場合はそれぞれの年で申請する

矯正治療では、治療開始時期や支払い方法によっては、医療費の支払いが年をまたぐ場合が多くあります。実際、医療費の支払い日がいつかが大事で、年をまたいで支払いをする場合はそれぞれの年で医療費控除の申請を行いましょう。

マウスピース矯正での医療費控除のやり方

マウスピース矯正の医療費控除の流れを3STEPで解説します。

①必要書類を準備する

医療費控除を申請するために、以下の書類を準備します。

・確定申告書
・源泉徴収票(給与所得者)
・医療費控除の明細書
・医療費通知書
・医療費や交通費などの領収書
・マウスピース矯正の診断書(審美目的の治療は不可)
・本人確認書類

②医療費控除の明細書を作成する

健康保険組合から送られてくる医療費通知書や、保管しておいた医療費の領収書、交通費の記録をもとに「医療費控除の明細書」を作成します。医療控除明細書の取得や記載方法の詳細は、国税庁HPをご覧ください。
参考:「国税庁 No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)

③確定申告書類を作成・提出する

マウスピース矯正で医療費控除を受けるには、確定申告が必須です。確定申告書類を作成し、確定申告期間(原則2月16日~3月15日)に、お住まいの管轄の税務署に直接持参、郵送、電子申告(e-Tax)のいずれかの方法で提出しましょう。電子申告が簡単でお勧めです。

まとめ

医療費控除の申請によって税金の一部が戻ってくる可能性があります。医療費の節約にもつながるため、確定申告制度を上手に利用しましょう。

マウスピース矯正を受けた場合、治療の目的が見た目の改善以外であれば、基本的に医療費控除を申請可能です。この際、領収書を5年間保管する、年をまたいでマウスピース矯正費用の支払いを行った場合はそれぞれの年で申請する、といった点にご注意ください。

ご自身やお子さんのマウスピース矯正が医療費控除の対象になるか不安な方・心配な方は、気軽に歯科医院に相談しましょう。

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