矯正歯科の認定医と専門医の違いとは?歯医者さんを選ぶ6つの基準も紹介!

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「矯正治療を検討しているが、せっかくなら腕の良い先生に診てもらいたい。矯正治療には「認定医」や「専門医」といった資格があるらしいけど、この2つの資格って何が違うの?」そんな疑問をお持ちの方はいませんか。

矯正歯科の認定資格を与える学会は複数存在し、認定されるまでの難易度は学会により異なります。今回は、矯正歯科の認定医と専門医の違い、学会ごとの資格要件、認定医と専門医の探し方、歯科医院を選ぶ際に重視すべき6つのポイントについて紹介します。

監修医師

歯科医師 古川雄亮先生

歯科医師 古川雄亮 先生

国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開

目次

  1. 矯正歯科の認定医と専門医の違い
  2. 矯正歯科の認定医と専門医の資格要件【学会別】
  3. 矯正歯科の認定医と専門医の探し方
  4. 認定医と専門医以外で意識したい歯医者さんを選ぶ6つの基準
  5. まとめ

矯正歯科の認定医と専門医の違い

矯正歯科における認定医と専門医は、どちらも歯科矯正の知識と技術を持つことを示す資格です。歯列矯正は難易度の高い治療となるため、治療を担当する歯科医師がこれらの資格を持つかは、歯科医院を選ぶ際に参考になります。

認定医と専門医は名前こそ似ていますが、資格を得るための要件は少なからず異なります。具体的には、認定医の上位にあたる資格が指導医であり、さらにその上に位置する資格が臨床指導医(旧専門医)となります。資格の序列を理解することで、歯科医師の力量をより正確に把握できます。

⇒矯正歯科の詳しい認定制度については、『矯正歯科の認定医とは [矯正歯科の学会と認定制度について]』の記事をご覧ください。

矯正歯科の認定医と専門医の資格要件【学会別】

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矯正歯科の認定医制度がある学会や協会を紹介します。資格取得の条件や具体的な資格の名称は異なりますが、2024年7月現時点では、一般人が理解しやすいように統一した専門医制度の構築がされている最中です。

日本矯正歯科協会

日本矯正歯科協会は、日本における矯正治療の質を向上させることを目的として、2002年から活動している団体です。日本矯正歯科協会に認定医の資格は存在しませんが、歯科矯正専門医の審査および資格の認定は、2004年から現在に至るまで行われています。

専門医に認定されるためには、矯正専従医としての経験を5年以上にわたって積み、100症例以上の矯正治療経験を持つことが前提となります。そのうえで、実際に治療した100症例のリストを提出して、その中から審査委員が選択した5つの症例について、症例診査、口頭試問などの臨床能力評価を受け、その診査に合格すると晴れて資格が認定されます。

参考:JIO 一般社団法人 日本矯正歯科協会

日本矯正歯科学会

日本矯正歯科学会は、歯科矯正学ならびに矯正歯科臨床の進歩と発展を目的として、1926年に設立された学術団体です。歯科医師の経験や知識に応じて、認定医、指導医、臨床指導医(旧専門医)という、3つの資格の認定を行っている点が大きな特徴です。

歯科医師免許を有しており、免許の取得から5年以上継続して学会の会員であることが、認定医の資格を取得するための条件となります。加えて、学会指定の研修機関で5年以上にわたる矯正歯科研修を修了し、学会の認めた刊行物において矯正歯科臨床に関連する論文を発表することが求められます。

臨床指導医(旧専門医)の資格を取得するハードルは認定医以上に高く、日本矯正歯科学会の認定医資格を有しており、7年以上継続して学会の会員であり、学会の認めた刊行物や学術集会で矯正歯科臨床に関連する報告を発表することが必要です。そのうえで臨床指導医委員会に申請して審査に合格することによって、臨床指導医の資格を取得できます。

日本成人矯正歯科学会

日本成人矯正歯科学会は、矯正歯科領域における国民の健康や福祉の向上に貢献することを目的に活動している団体です。日本成人矯正歯科学会が認定する資格には、認定医と臨床指導医(旧専門医)の2種類があり、取得に必要な手順もそれぞれ異なります。

認定医の資格を取得するには、日本の歯科医師免許を有しており、日本成人矯正歯科学会に5年以上在籍していることが必要です。加えて、学会の認定医研修プログラムを修了するか、学会が認定する歯科矯正専門医機関に2年以上在籍して矯正歯科基礎研修を修了したうえで、学会が実施している認定医資格試験に合格しなければなりません。

臨床指導医(旧専門医)の資格に関しては、日本成人矯正歯科学会における認定医の資格を取得している歯科医師であり、認定医資格の取得から2年以上が経過していることが求められます。学会が定めた5つの資料を提出し、診査を受けたうえで認定試験に合格し、運営部会の承認を経て、臨床指導医の資格が交付されます。

参考:日本成人矯正歯科学会

矯正歯科の認定医と専門医の探し方

歯科医師が認定医や専門医の資格を持っているかどうかについては、実際に治療を受ける前に確認することが可能です。認定資格を持つ医師のもとで治療を受けたいのであれば、以下に挙げる2種類の方法を覚えておいて損はありません。

各学会のHPで検索する

日本矯正歯科協会、日本矯正歯科学会、日本成人矯正歯科学会の3学会は、いずれも団体のホームページ内で認定医や臨床指導医(旧専門医)などの資格を持つ医師を検索できたり、資格取得者の一覧が掲載されています。

患者さんがお住まいの地域における資格取得者を検索したり、エリアを絞ってデータベースを参照することにより、治療を受けられる範囲内にいる矯正歯科関連の資格を取得している歯科医師を、短時間で見つけることが可能です。

歯科医師の経歴を確認する

学会が認める認定医などの資格を保有している歯科医師は、自身の歯科医院のHP等において、その旨を記載しているケースが多いです。そのため、歯科医院のホームページにアクセスして、所属する歯科医師の経歴を確認することは、認定資格の有無を確認するための有力な手段となります。

また、歯科医院のホームページには、認定された資格だけではなく、医師が担当した症例実績(数)も掲載されていることがあるため、併せて参照しましょう。ただし、一人の歯科医師が歯科医院における全ての矯正歯科を担当するとは限らないため、資格を持つ医師が複数在籍する医院を選ぶことで、ハイレベルな治療を受けられる可能性が高くなります。

認定医と専門医以外で意識したい歯医者さんを選ぶ6つの基準

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認定医や専門医の資格を持っているかという点以外に歯科医院を選ぶポイントは多くあります。認定資格以外の判断基準6つを詳しく紹介します。

①セファログラム(頭部X線規格写真)があるか

「セファログラム」と呼ばれる頭部X線規格写真は、骨格や歯の適切な診断のために重要な役割を果たします。セファログラムを撮影できるレントゲン装置があるか否かは、歯科医院を選ぶうえで重視すべきポイントです。

治療を始める前に患者さんの状態を適切に把握することで、適切な矯正治療が可能です。できる限りきちんとした矯正治療を受けたいのであれば、セファログラムの有無を事前に確認しましょう。

②治療計画や費用について詳しく説明してくれるか

治療費が明瞭で、費用や治療期間を治療前にしっかりと提示してくれるかどうかも、歯科医院を選ぶうえで重要です。矯正治療の料金設定は歯科医院によって大きく異なるため、明確に説明してくれるか否かは、その歯科医院を信頼して治療を進められる上でも重要です。

裏を返せば、必要な費用が明示されていない歯科医院で矯正治療を受けると、後に何らかのトラブルが発生する可能性が増します。安心して治療を進めていくためにも、具体的な料金設定は必ず先に確認しましょう。

③複数の矯正装置を取り扱っているか

矯正装置にはさまざまな種類があり、どれが適しているかは患者さんによって変わってきます。複数の矯正装置での治療に対応している歯科医院や担当医を選ぶと良いでしょう。

複数の治療法を取り扱っている歯科であれば、患者さんの状態をカウンセリングや診断で確認したうえで、最も適した選択肢を提示してくれる可能性も高まります。どうしても受けたい治療法があるというケース以外は、複数の矯正装置に対応している歯科医院を選ぶメリットは大きいと言えます。

④各矯正方法のデメリットも教えてくれるか

歯科矯正の治療法は複数あり、メリットとデメリットは大きく異なります。治療を進めるにあたって、それぞれの治療法が持つメリットとデメリットを事前にしっかりと伝えてくれる歯科医院を選ぶことによって、治療開始後に後悔するケースを減らすことができます。

例えば、矯正治療中の見た目が気になる人の場合は、マウスピース矯正やワイヤーの裏側矯正を選ぶのが一般的です。裏側矯正の場合は口の中の違和感が最初は大きいといったデメリットをあらかじめ伝えてもらうことによって、マイナス面を承知したうえで治療を進められます。

⑤専門知識を持つスタッフがいるか

矯正歯科治療の際に、必要があれば唇や舌のをトレーニングする指導を受けることによって、治療の効果を上げることができます。

トレーニングを行うスタッフが多くの治療経験を持ち、知識や経験が豊富な歯科医院を選ぶことによって、より質の高い治療を受けられる可能性が高くなります。

⑥通いやすい距離にあるか

矯正治療の間は、1カ月に1回程度の頻度で歯科医院に足を運ぶことが多いです。全体の矯正治療の期間は1~3年と長期にわたることが多いため、自宅から歯科医院への物理的な距離が遠い場合は、通院自体が患者さんにとって大きな負担となりかねません。

さらに、矯正治療中に装置など何らかのトラブルが発生した場合は、できる限り早急に対応しなければ、治療に悪影響がが出ます。自宅や勤務先から近い歯科医院を選択するのが良いでしょう。

まとめ

矯正歯科の認定医と専門医の具体的な違いは、資格要件です。治療を担当する歯科医師が認定医などの資格を持っているかについては、学会のホームページで検索したり、医師の在籍している歯科医院のホームページを参照することによって、患者さん側でも把握できることが多いです。

矯正治療を受ける歯科医院を選択する際には、医師が認定医や専門医の資格を持っているかだけではなく、セファログラムの有無、治療計画や費用を詳細に説明してくれるか、複数の矯正装置を取り扱っているか、といったポイントをチェックしましょう。今回の記事で紹介したポイントも考慮したうえで、より信頼できる歯科医院を選ぶようにしていきましょう。

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