アンカー矯正の費用は表側矯正(ワイヤー単独)よりも高くなるの?
横顔から見ると口元が前方に出ている口ゴボ(くちごぼ)。
自分は口ゴボだ!と思っている患者さん必見!
口ゴボを効率的に治すことが可能な「アンカー矯正」は一体いくらくらいの治療費用や期間がかかるのでしょうか?
アンカー矯正について詳しく紹介しますので、ぜひ最後まで目を通してみてください。
公開日:2023/01/10
監修医師
歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。
目次
アンカー矯正とはどういうもの?
アンカー矯正とは矯正治療法のひとつで、アンカースクリューという小さなインプラントのネジを併用して歯を動かす矯正治療です。
一般的なワイヤー矯正では、それぞれの歯に矯正器具(ブラケットやワイヤー)を付けて少しずつ歯を移動させていきます。
前歯を動かしたい場合には、奥歯を固定源(支点)とし、前歯を後ろの方向へと引っ張っていきます。
この治療法の場合、支点とする歯には大きな力がかかり負担となるほか、動かしたい歯と支点とする歯が互いに引っ張り合います。
前歯に後ろに引っ張る力が加えると、支点とする奥歯は前に引っ張られることになり、支点の歯が前に動くことがあるのです。
アンカー矯正は、動かしたい前歯を積極的に後ろに動かしたい際に顎骨に小さなネジを埋め入れて、人工的に固定源を作ってしまおう!という治療方法です。
動かす必要がない歯に不要な力を加えずに済み、動かしたい歯だけを動かすことができるのがアンカー矯正の最大のメリットです。
また、従来のワイヤー矯正治療では困難とされた症例にもアンカー矯正が適応できます。
例えば、前歯だけを大きく後ろに下げたい症例や、逆に奥歯を積極的に前に出したい症例などです。
ネジを埋め込む位置を調整すればさまざまな方向に歯を引っ張ることができるため、矯正治療の幅が広がるといえるでしょう。歯の上下的な移動も可能です。
デメリットは、歯科矯正用アンカースクリュー抜け落ちてしまうことがあるため、再度埋め込まなくてはいけないことも(原因不明の理由で抜け落ちることもあります)。
そのほか、歯科矯正用アンカースクリューを埋め込むときに歯根を傷つけてしまったり、術後に細菌感染が起こったりすることも考えられます。
アンカー矯正が必要な人ってどんな人?
アンカー矯正は、歯列を整えながら歯を順々に後方に動かしていくことが可能なため、口元が前方に出ている軽度の口ゴボの患者さんの矯正にも適応されます。
矯正治療で口ゴボを治すには、前歯を後ろに下げるためにまずは奥歯を後方に動かすか抜歯をして前歯を後ろに下げる隙間を確保していき、前歯を下げるという段階を踏む必要があります。
従来のワイヤー矯正では奥歯を後方に動かすのは非常に難しいことでしたが、アンカースクリューによって奥歯の積極的な後方移動も可能になりました。
ただし、アンカー矯正でもできるのは「歯を移動させること」だけ。
顎の骨の形を変えたり、顎の位置を積極的に調整することまではできません。
骨格的な口ゴボはアンカー矯正で歯並びを整えるだけでは治せないため、直接原因である顎の骨にアプローチする外科矯正によって口ゴボを治していきます。
アンカースクリューの費用は別料金
アンカースクリューはワイヤー矯正のオプションとして取り入れられることが多く、通常のワイヤー矯正の費用のほかに追加費用が発生する歯科医院が多いようです。
歯科矯正用アンカースクリューの費用は、1本あたり約27,000円が平均的です(2022年11月メディカルネット調べ)。
アンカースクリューにより適応症例の幅が広がるほか、矯正治療の時短になることもありますが、アンカースクリューを使用しなくても治療が可能な場合も少なくありません。
歯科医院によってはアンカースクリューはあくまでもオプションであり、追加費用がかかることから歯科医師側からは積極的な使用を推奨しないこともあるようです。
それでも、アンカースクリューを併用した矯正治療を受けたい場合はどうしたらいいでしょうか?
途中からアンカースクリューを使いたくなったらどうしたらいいの?
「矯正前のカウンセリングでは話に出なかったけれど、調べると自分と似たような人はアンカー矯正をしている。自分もアンカースクリューを使われるべきなのでは?」と思った場合はどうしたらいいでしょうか。
こうした場合はまず、気兼ねなく担当の歯科医師に相談しましょう。
どうしてアンカー矯正を選択しなかったのか、アンカー矯正の適応ではないか、など感じた疑問をはっきりと伝えてみてください。
歯科医師はアンカー矯正の存在を知っていたうえで、患者さんの状態を診てあえて選択しなかったのかもしれません。
もしくは、その矯正歯科医院はアンカー矯正を取り扱っておらず、アンカースクリューを使わなくても治療可能と診断して開始した可能性もあります。
相談したからといって必ずアンカースクリューを使ってもらえるわけではありません。お口の中の状態やその時の歯並びによってはアンカースクリューはすでに必要がない段階に入っており、使わずに矯正治療を進めることもあります。
自分の意見を伝えると同時に歯科医師の意見もよく聞き、治療方針をすり合わせていってくださいね。
また、患者さん自身が抱えているお悩みが歯科医師に正確に伝わっていないことも。
患者さんにとっては当然治したい・治すべきと感じているお悩みが、実は歯科医師から見たらわずかなズレや違和感でしかなく治療は必要ないと考えている可能性も十分にあります。
治療の最終段階になるまで我慢してしまうと、患者さんが気になるお悩みを治すために歯を動かし直す…など遠回りしなくてはいけないことも。
また、歯科医院の方針によっては、治療が一区切りついたあとで相談したお悩みは再治療となり追加費用が掛かる、なんてことも考えられます。
気になるお悩みや疑問は、なるべく早く(できれば治療開始前に)歯科医師に伝えてその後の治療方針を一緒に相談していきましょう!
まとめ
アンカー矯正は口ゴボのお悩み解消に使用されますが、必ずしも使わなければ口ゴボが治らないわけではありません。抜歯矯正をすることにより十分な隙間が確保されれば、アンカースクリューを使わなくても矯正可能です。
また、骨格的な口ゴボの場合は、いくらアンカースクリューを使っても口ゴボは治りません。
アンカー矯正は歯科矯正用アンカースクリューを顎に埋め込む手術が必要で、埋め込んだ部分に痛みや腫れが出る可能性もあります。
アンカー矯正の適応である、と診断されたら、アンカースクリューを埋め込むメリットデメリットの説明をよく受け、自分自身に必要であると納得したうえでアンカー矯正を始めてくださいね!
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