小児矯正(子どもの矯正)は医療費控除でいくら戻る?申請の方法は?
「小学生の娘(息子)の歯並びが良くなく、矯正治療を受けさせたいが、治療費が高い。医療費控除で金銭的な負担を減らせると聞いたけど、子どもの矯正も医療費控除の対象になるの?」そんな疑問をお持ちの方は多いです。
小児矯正の特性上、医療費控除が適用されます。今回は、小児矯正が医療費控除の対象となる理由、医療費控除の対象とならない費用、還付金の計算方法、医療費控除の3つのステップを解説します。
公開日:2025/01/27
監修医師
歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開
目次
この記事の要約
・小児矯正は成長を妨げるような悪い歯並び(噛み合わせ)の改善が目的で医療費控除の対象となることが多い
・治療費に加え、医薬品の購入費や公共交通機関の利用費も医療費控除の対象となるが、還付額は家族の所得総額によっても変化しやすい
・医療費控除の申請する際、確定申告書、医療費控除の明細書、本人確認書類、医療通知書などの書類が必要になる
医療費控除とは?
医療費控除とは、1年間の医療費が基準額を超えた場合、確定申告で申請し、所得控除を受ける制度です。子どもを含めた家族の医療費が1年間で10万円を超えていれば、医療費控除を利用することが一般的に可能です。
年間の総所得金額が200万円以下の方で、支払った医療費が10万円以下でも、医療費が所得額の5%以上なら医療費控除が適用できます。
小児矯正の多くは医療費控除の対象になる
小児歯科の矯正治療には費用が必要で、治療中は1年間の治療費が、医療費控除の目安となる10万円を超えます。子どもが小児歯科を受診する期間は、医療費控除の申請で金銭的な負担を軽減できます。
子どもの矯正治療は成長を妨げる悪い歯並びや噛み合わせの改善が主な目的であるため、医療費控除の対象外ではないのがポイントです。
見た目の改善が目的の場合は対象外
医療費控除の対象は、正常な顎の成長をコントロールして噛み合わせや歯並びを矯正するなどの治療が目的に限られます。咀嚼などの機能面でなく、見た目の改善が目的の矯正治療は医療費控除の対象外です。
小児矯正は審美面ではなく機能面の改善が主な目的です。医療費控除の対象となりますただし、治療を受ける理由が見た目なら成人同様に医療費控除の対象にならない点も、頭に入れておきましょう。
医療費控除の対象になる費用・ならない費用
医療費控除の対象の治療費の治療と関係するにもかかわらず、医療費控除の対象とならないものもあります。医療費控除の対象になる費用とならない費用の具体例を紹介します。
医療費控除の対象になる費用
医療費控除の対象となる費用の一例として、歯科医院で支払った治療費に加えて、診断費や検査費、矯正装置の作成・処置・調整のために必要な費用、治療時に処方された痛み止めなどの医薬品の購入費、通院するために必要となった公共交通機関の交通費などがあります。
また、デンタルローンやクレジットカードで治療費の分割払いも、医療費控除の対象です。ただし、分割払いに必要となる手数料や利息は、医療費控除の対象外なので注意が必要です。
医療費控除の対象にならない費用
矯正治療に関連するものでも、申請の際に医療費控除の対象にならない費用もあります。車のガソリン代や駐車料金など通院時に必要な公共交通機関以外の交通費、歯ブラシや研磨剤などの口腔衛生用品の購入、デンタルローンや分割払いで生じた金利や手数料、診断書の発行に必要となった費用は、医療費控除の対象外です。
小児矯正の医療費控除で戻ってくる金額の計算方法
医療費控除で戻る金額の計算方法は、「1年間で支払った医療費」から「10万円または所得総額の5%のうち少ないほう」を引いた数字に、所得税率を掛ける計算式で求められます。ただし、医療費控除での還付される金額は、最大で200万円までとなる点は頭に入れましょう。
また、医療費控除の金額を計算するうえで、所得税率の確認もしましょう。以下の国税庁のホームページに記載されている所得税率の速算表は、医療費控除による還付金を把握する手段で非常に有用です。
具体的な計算例
具体的な計算例は、家族の総所得が500万円、年間の医療費が50万円、保険による補填額が5万円の場合、計算結果は次の通りです。
50万円ー5万円ー10万円=35万円
保険による補填に10万円を足して、医療費から差し引いています。家族の総所得が500万円により、上記の速算表を見ると所得税率は20%です。最終的な還付額は下記の計算式になります。
35万円×20%=7万円
よって、このケースでは医療費控除で7万円が還付されます。
小児矯正での医療費控除のやり方【3STEP】
小児矯正の治療で医療費控除を申請する際、国税庁に情報提供が必要かもしれません。具体的には、以下の3つのステップで医療費控除の申請と還付金の受け取りが可能です。
①必要書類の準備
医療費控除の申請の際、事前にさまざまな書類の準備が必要です。まず、「確定申告書」と「医療費控除の明細書」の2つを、国税庁のホームページからダウンロードするか、自宅の最寄りにある税務署で入手しましょう。
また、本人確認書類にマイナンバーカードを持参するか、「マイナンバー通知カードかマイナンバーの記載がある住民票の写し、もしくは住民票記載事項証明書」と「運転免許証、パスポート、公的医療機関の被保険者証、在留カード、身体障害者手帳などの身元確認書類」の2つを持っていくのも良いでしょう。
また、「矯正治療を受けた際の歯科医院の診断書」や、「公共交通機関の交通費が記録された領収書やレシート」は必須というわけではないものの、それぞれ持っているとスムーズに手続きを進められる書類となります。
※現在、確定申告(医療費控除)はe-Taxでの申請がおすすめです。
②作成書類を提出
書類の準備が終わったら、税務署に各種の書類を提出します。提出方法として、税務署に書類を持参し提出する、郵送で税務署に送付する、e-Taxでウェブサイト上で申請する3つの手段があります。
どの方法でも必要となる書類は同じですが、直接税務署に提出する、あるいは郵送で送付する場合は、紙媒体の書類を印刷する必要があります。一方、e-Taxの場合は国税庁のホームページで確定申告書を作成でき、他の2つの手段に比べて手間を省けます。
③還付金の確認
医療費控除の申請後、1カ月~1カ月半の経過後、確定申告書に記載の銀行口座に還付金が振り込まれることが多いです。入金とともに国税庁から国税還付金振込通知書が送られてくるため、通知書の記載された額と入金額に違いがないか、確認しておきましょう。
まとめ
小児矯正は見た目でなく機能的治療を目的としていることが多いため、医療費控除の対象になります。ただし、小児矯正の費用すべてが医療費控除の対象になるわけではない点と、還付金の額は所得総額や医療費で変わる点に注意しましょう。
また、小児矯正に医療費控除が適用されるものの、全てのケースが対象となるわけではありません。自分の子どもの矯正治療が医療費控除の対象になるかどうかを不安に感じている場合、気軽に歯科医院に足を運んで相談しましょう。
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