歯科矯正の医療費控除のやり方|必要書類やいくら戻るかの計算式を解説!

基本的に歯科矯正は公的医療保険適用外となるため、経済的な負担が大きい治療といえます。少しでも治療費の負担を減らすことができたら嬉しいですよね。
そんなとき活用可能なのが「確定申告の医療費控除」です。歯科治療の内容次第で医療費控除の対象可否が変わります。この記事では、歯科矯正の医療費控除のやり方を詳しく解説します。
公開日:2025/01/21 更新日:2025/01/28
監修医師

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開
目次
この記事の要約
・小児矯正は成長を妨げるような悪い歯並び(噛み合わせ)の改善が目的で医療費控除の対象となることが多い
・治療費に加え、医薬品の購入費や公共交通機関の利用費も医療費控除の対象となるが、還付額は家族の所得総額によっても変化しやすい
・医療費控除の申請する際、確定申告書、医療費控除の明細書、本人確認書類、医療通知書などの書類が必要になる
医療費控除とは
医療費控除とは確定申告の控除の一つです。1月1日から12月31日までの1年間に支払った医療費が一定額を超えた場合、確定申告を行い、所得税の還付を受けられます。
基本的に、1年間に支払った医療費が10万円を超えた場合、適用されます。ご自身と生計を共にする配偶者や親族が支払った医療費が計上可能です。
ただし、全ての支出が医療費控除の対象となるわけではなく、審美目的の医療費は適用されません。詳しくは「矯正歯科の医療費控除について」の記事をご覧ください。
歯科矯正の医療費控除のやり方|3STEP
歯科矯正の医療費控除のやり方を、3STEPで紹介します。
STEP①確定申告書と医療費控除の明細書を作成する
ご自宅に届く医療費通知や、ご自身で保管している医療費の領収書をもとに「医療費控除の明細書」を作成します。国税庁のHPに記載方法の詳細や、医療費控除の明細書のテンプレートがあります。また、ご自身で確定申告書を作成する必要があります。
参考:「国税庁 No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」
STEP②確定申告をする
お住まいの管轄の税務署にて、確定申告を行います。確定申告期間(原則2月16日~3月15日)に、直接持参、郵送、電子申告(e-Tax)のいずれかの方法で提出しましょう。
STEP③還付金の振込を確認する
確定申告後、1ヵ月~1ヵ月半程度でご自身で指定した金融機関の口座に還付金が振り込まれます。
歯科矯正で医療費控除を申請するときの必要書類

歯科矯正で医療費控除を受けるには、確定申告時に以下の書類を準備する必要があります。
・確定申告書
・源泉徴収票
・医療費控除の明細書
・医療費通知
・歯科治療や交通費などの領収書
・デンタルローンの契約書や明細書
・本人確認書類
歯科矯正の医療費控除でいくら戻るかがわかる計算式
医療費控除を受けた場合にいくら戻るかは、以下の計算式で算出できます。
医療費控除額の計算式
まず、以下の計算式で医療費控除額を算出します。
【1年間に支払った医療費の合計】ー【保険金などの補填額】ー【10万円】=【医療費控除額】
※年間の総所得金額などが200万円未満の方は、10万円ではなく「所得合計金額×5%の金額」を差し引いた金額が控除額です。
※医療費控除額は最高で200万円です。
還付金の計算式

還付金(目安)の計算方法は、以下のとおりです。
【医療費控除額】×【所得税率】=【還付金】
ご自身の所得税率は、こちらの速算表を参考にご確認ください。
出典:「国税庁 No.2260 所得税の税率」
歯科矯正で医療費控除を申請するときの条件
歯科矯正で医療費控除を申請するには、以下の条件を満たす必要があります。
条件①年間の医療費の合計が10万円以上
年間の医療費の合計が10万円以上であれば、医療費控除の申請が可能です。また、年間の総所得金額が200万円未満の場合、総所得金額の5%を超える医療費が、10万円に満たなくても控除されます。
条件②審美目的の治療ではない
審美目的の治療は医療費控除の対象外です。歯や口元の見た目をきれいにしたい理由での歯科矯正は、医療費控除が適用されないため注意しましょう。
歯科矯正で医療費控除の対象となるのは、悪い噛み合わせ(不正咬合)により機能的な問題があると診断された場合です。子供の歯科矯正は歯並びの改善や顎の成長に必要と考えられるため、基本的に医療費控除の対象です。大人の歯科矯正も機能改善が主目的なら医療費控除が適用されます。
医療費控除の「医療費」として認められるのはどんな費用?
条件を満たしている治療でも、治療費が医療費として認められるわけではありません。以下のような注意点があります。
医療費控除の対象になる費用
・歯科矯正にかかった費用(検査料・診断料・処置料など)
・歯科矯正で必要となった医薬品の購入費用
・通院のための交通費(公共交通機関利用時のみ)
ただし、歯科矯正にかかった費用が一般的な水準を大きく超える場合、医療費控除の対象として認められない可能性があります。
医療費控除の対象にならない費用
・審美目的の歯科矯正費用
・診断書発行料
・ガソリン代
・駐車場代
・歯科矯正で必須でない医薬品の購入費用
・デンタルローン返済の手数料
まとめ
医療費控除のやり方は、①確定申告書と医療費控除の明細書の作成 ②確定申告 ③還付金の振込の確認 の3STEPです。
ただし、見た目を良くするためだけの歯科矯正は医療費控除が適用されないためご注意ください。また、治療に関連して支払った費用が、全て医療費として認められるわけではありません。
医療費控除についてわからないことがあれば、矯正歯科ネットの「相談室」を利用してみるのも一つの方法です。
この記事で、歯科矯正の医療費控除のやり方に関するあなたの疑問が、少しでも解消されたら幸いです。
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