噛み合わせが悪いのはなぜ良くないの?症状や不正咬合の種類、治療法を解説

噛み合わせ 悪い

虫歯を治すために歯医者に行ったら、噛み合わせが悪いと指摘されたことありませんか?自分でも噛み合わせの悪さは気になっていたけれど、それによってどんな問題があるのか疑問に感じる方もいらっしゃるでしょう。

噛み合わせの悪さは、お口の中の状態だけでなく、身体のさまざまな部分に悪影響を及ぼす可能性があります。今回は、噛み合わせの悪さによって引き起こされる具体的な症状に加えて、不正咬合の種類、治療方法などを詳しく解説します。

監修医師

歯科医師 古川雄亮 先生

国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開

目次

  1. 自分の噛み合わせが悪いと思う人の割合は45.8%
  2. 噛み合わせの悪さから来る6つの症状・影響
  3. 1. 見た目が悪くなる
  4. 2. 発音しにくくなる
  5. 3. 虫歯や歯周病にかかりやすくなる
  6. 4. 胃腸への負担が増してしまう
  7. 5. 顎関節症や頭痛、肩こりの原因になる
  8. 6. 口呼吸になる
  9. 噛み合わせが悪い状態とは?不正咬合の6つの種類
  10. 1. 叢生(そうせい)
  11. 2. 空隙歯列(くうげきしれつ)
  12. 3. 上顎前突(じょうがくぜんとつ)
  13. 4. 胃腸への負担が増してしまう
  14. 5. 顎関節症や頭痛、肩こりの原因になる
  15. 6. 口呼吸になる
  16. 噛み合わせが悪い状態とは?不正咬合の6つの種類
  17. 1. 叢生(そうせい)
  18. 2. 空隙歯列(くうげきしれつ)
  19. 3. 上顎前突(じょうがくぜんとつ)
  20. 4. 下顎前突(かがくぜんとつ)
  21. 5. 開咬(かいこう)
  22. 6. 過蓋咬合(かがいこうごう)
  23. 悪い噛み合わせを治す3つの方法
  24. 1. マウスピース矯正
  25. 2. ワイヤー矯正
  26. 3. 外科的矯正治療
  27. まとめ

自分の噛み合わせが悪いと思う人の割合は45.8%

噛み合わせ 悪い

医療法人社団 癒合会が2023年2月に行った調査によると、自分の噛み合わせが「やや悪いと思う」と感じている人が全体のうち36.9%で、「とても悪いと思う」と感じている人は8.9%。2つを合わせて45.8%と、半数近くの人が自分の噛み合わせが悪いと感じていました。

さらに、「やや悪いと思う」もしくは「とても悪いと思う」と回答した人のうち、嚙み合わせの治療を受けたことがある、と回答した人の割合は35.1%。すなわち、噛み合わせが悪いという自覚を持っている人のうち、64.9%の人が治療をせずに放置してしまっていることになります。

参考:PR TIMES

噛み合わせの悪さから来る6つの症状・影響

噛み合わせの悪さは、患者さんにさまざまな悪影響をもたらします。具体的には、以下のような6つの症状や悪影響が出ます。

1. 見た目が悪くなる

噛み合わせの悪さは、見た目に大きな影響を及ぼします。他人から「清潔感がない」「爽やかさに欠ける」「顔がゆがんでいる」といった印象を抱かれてしまい、イメージダウンにつながることがあります。さらに、その影響でコンプレックスを抱えてしまい、人前で笑えなくなってしまうなどの影響も考えられます。

2. 発音しにくくなる

上下の前歯が噛み合わない、噛み合わせが前後的に逆になっていると、発音する時に歯と歯の間から空気が漏れるようになります。サ行、タ行、ナ行、ラ行といった、特定の音を発音しにくくなる恐れがあります。

3. 虫歯や歯周病にかかりやすくなる

噛み合わせ(歯並び)が悪い場合は、歯磨きの際に歯ブラシの毛先が届かない部分ができてしまい、ブラッシングで汚れを落とすことが難しくなります。加えて、お口の中の細菌を撃退する唾液の分泌量が減少する原因にもなります。複数の要因が重なって、虫歯や歯周病になるリスクが増大します。

4. 胃腸への負担が増してしまう

噛み合わせが悪いと食べ物をうまく噛み切ったり噛み砕いたりすることが難しくなります。また、左右でバランス良く噛んで食事をすることも難しくなるため、食べ物を噛み切ることができず、大きな食塊のまま胃や腸に送られることがあります。結果、胃腸への負担が大きくなります。

5. 顎関節症や頭痛、肩こりの原因になる

噛み合わせの悪さは、お口の中だけでなく、体のさまざまな部分に悪影響を及ぼします。顎の関節に問題が生じることで、顎が痛んだり、お口を開けづらくなる「顎関節症」を発症したり、頭痛・肩こりといった体の不調の要因になります。それらが原因でストレスが溜まることもあるため、精神的にもマイナスの影響も懸念されます。

6. 口呼吸になる

出っ歯など噛み合わせの悪さによって、お口を閉じること自体が大変になることがあります。口呼吸が多くなり、お口の中が乾燥しやすくなります。乾燥によりお口の中に唾液が行き渡らなくなると、唾液の殺菌作用が低下して細菌が発生しやすくなり、口臭や虫歯・歯周病の症状を引き起こす可能性が高まります。

噛み合わせが悪い状態とは?不正咬合の6つの種類

噛み合わせ(歯並び)の悪さはさまざまな分類わけがされています。6つ紹介します。

1. 叢生(そうせい)

叢生とは、歯が部分的に重なってしまう状態のことを指します。原因としては、歯のサイズが大きい、顎骨の発育不全などの理由によって、歯と顎の大きさがアンバランスになっている、お口の中に歯が生えてくるためのスペースが十分にない、等が挙げられます。

叢生が著しい場合、治療のために抜歯が必要になることもあります。加えて、歯が重なり合っている箇所が多いと歯の間をブラッシングすることが難しくなるため、虫歯や歯周病のリスクも増大します。

2. 空隙歯列(くうげきしれつ)

空隙歯列は歯と歯の間に隙間が発生している状態のことであり、「すきっ歯」と呼ばれる歯並びのことをいいます。歯のサイズに対して顎が大きすぎたり、逆に顎のサイズに対して歯が小さすぎる、歯の本数が少ない、前歯が前に倒れすぎている、などの傾向があると、空隙歯列が認められます。

空隙歯列になると、歯の隙間に食べ物が詰まりやすくなったり、食べ物をうまく噛み切れなくなります。また、お口の中が乾燥しやすくなったり、歯の磨き残しが多くなって口臭や虫歯・歯周病のリスクが上昇するだけでなく、歯の間の隙間から空気が抜けてしまうため、サ行などの言葉がうまく発音できなくなる可能性もあります。

3. 上顎前突(じょうがくぜんとつ)

上顎前突はいわゆる「出っ歯」のことで、上の歯が下の歯に比べて顕著に前に出ている状態のことを指します。幼少期に指をしゃぶったり、爪を噛んだり、舌で前歯を押したりする癖がついてしまうと、上顎前突の原因になります。また、生まれつき上顎の骨が大きい、逆に下顎の骨が小さいといった、骨格に起因する上顎前突もあります。

上顎前突になるとお口を閉じにくくなるため、お口の中が乾いた状態になりやすいです。唾液が行き渡らず、口臭、虫歯、歯周病などのリスクが上昇します。前歯の傾き方が特に大きい場合は、事故によって前歯を折ったり打ったりする可能性が高まったり、唇を傷つける事態につながることもあります。

4. 胃腸への負担が増してしまう

噛み合わせが悪いと食べ物をうまく噛み切ったり噛み砕いたりすることが難しくなります。また、左右でバランス良く噛んで食事をすることも難しくなるため、食べ物を噛み切ることができず、大きな食塊のまま胃や腸に送られることがあります。結果、胃腸への負担が大きくなります。

5. 顎関節症や頭痛、肩こりの原因になる

噛み合わせの悪さは、お口の中だけでなく、体のさまざまな部分に悪影響を及ぼします。顎の関節に問題が生じることで、顎が痛んだり、お口を開けづらくなる「顎関節症」を発症したり、頭痛・肩こりといった体の不調の要因になります。それらが原因でストレスが溜まることもあるため、精神的にもマイナスの影響も懸念されます。

6. 口呼吸になる

出っ歯など噛み合わせの悪さによって、お口を閉じること自体が大変になることがあります。口呼吸が多くなり、お口の中が乾燥しやすくなります。乾燥によりお口の中に唾液が行き渡らなくなると、唾液の殺菌作用が低下して細菌が発生しやすくなり、口臭や虫歯・歯周病の症状を引き起こす可能性が高まります。

噛み合わせが悪い状態とは?不正咬合の6つの種類

噛み合わせ(歯並び)の悪さはさまざまな分類わけがされています。6つ紹介します。

1. 叢生(そうせい)

叢生とは、歯が部分的に重なってしまう状態のことを指します。原因としては、歯のサイズが大きい、顎骨の発育不全などの理由によって、歯と顎の大きさがアンバランスになっている、お口の中に歯が生えてくるためのスペースが十分にない、等が挙げられます。

叢生が著しい場合、治療のために抜歯が必要になることもあります。加えて、歯が重なり合っている箇所が多いと歯の間をブラッシングすることが難しくなるため、虫歯や歯周病のリスクも増大します。

2. 空隙歯列(くうげきしれつ)

空隙歯列は歯と歯の間に隙間が発生している状態のことであり、「すきっ歯」と呼ばれる歯並びのことをいいます。歯のサイズに対して顎が大きすぎたり、逆に顎のサイズに対して歯が小さすぎる、歯の本数が少ない、前歯が前に倒れすぎている、などの傾向があると、空隙歯列が認められます。

空隙歯列になると、歯の隙間に食べ物が詰まりやすくなったり、食べ物をうまく噛み切れなくなります。また、お口の中が乾燥しやすくなったり、歯の磨き残しが多くなって口臭や虫歯・歯周病のリスクが上昇するだけでなく、歯の間の隙間から空気が抜けてしまうため、サ行などの言葉がうまく発音できなくなる可能性もあります。

3. 上顎前突(じょうがくぜんとつ)

上顎前突はいわゆる「出っ歯」のことで、上の歯が下の歯に比べて顕著に前に出ている状態のことを指します。幼少期に指をしゃぶったり、爪を噛んだり、舌で前歯を押したりする癖がついてしまうと、上顎前突の原因になります。また、生まれつき上顎の骨が大きい、逆に下顎の骨が小さいといった、骨格に起因する上顎前突もあります。

上顎前突になるとお口を閉じにくくなるため、お口の中が乾いた状態になりやすいです。唾液が行き渡らず、口臭、虫歯、歯周病などのリスクが上昇します。前歯の傾き方が特に大きい場合は、事故によって前歯を折ったり打ったりする可能性が高まったり、唇を傷つける事態につながることもあります。

4. 下顎前突(かがくぜんとつ)

下顎前突とは、上の歯と下の歯の噛み合わせが、通常とは逆で下顎が前に出てしまっている状態のことを指します。上顎の前歯が内側に傾いたり、下顎の前歯が外側に傾いたりしていると、下顎前突がみられます。また、遺伝によって顎の骨格のバランスが崩れたり、幼少期に下顎を前に突き出したりする癖がついている場合も、下顎前突のリスクが高まります。

下顎前突を放置していると、噛み合わせの悪化がさらに進行し、自分の見た目にコンプレックスを強く抱くことにもつながります。また、噛み合わせの悪さによって、ものを噛む力が低下します。加えて、サ行やタ行の発音が難しくなったり、顎関節症になってしまう可能性も出てきます。

5. 開咬(かいこう)

開咬とは、奥歯は噛み合っているのに前歯は噛み合っていない、という状態のことを指します。発生の原因としては、遺伝や、幼少期における指しゃぶり、前歯の隙間を舌で触る、舌で前歯を押し続けるといった癖が原因として挙げられます。また、日常的に口呼吸をしている人も開咬になりやすくなるため、注意が必要になります。

軽度の開咬であれば見た目に大きな変化はなく、慣れさえすれば食事も問題なく行うことができる場合が大半ですが、前歯が噛み合わないことで奥歯に負担が集中することになるため、 開咬の状態が長期間にわたると、やがては奥歯や顎に大きな負担がかかる可能性もあります。

6. 過蓋咬合(かがいこうごう)

過蓋咬合とは、噛み合わせが深く、下の歯が全然見えないような状態を指します。ディープバイトとも呼ばれ、上の歯が下の歯を深く覆いかぶさってしまっているので顎に負担がかかりやすい噛み合わせとされています。原因としては、遺伝により上顎に対して下顎が小さすぎる、といった骨格的な問題に加えて、食いしばりによる歯のすり減り、虫歯による奥歯の喪失、歯の生え代わりの失敗などが挙げられます。

過蓋咬合になると、下の歯が上の歯を突き上げるようなかたちになります。その影響で、特に前歯にダメージを受け、歯が摩耗したり、前歯が前に傾くなどします。また、下顎が動かしづらくなることによって顎への負担が増すため、顎関節症を引き起こすリスクも上がると言われています。

悪い噛み合わせを治す3つの方法

噛み合わせが悪い状態を自分で治すことは難しいため、基本的には矯正治療を受ける必要があります。具体的な矯正治療法としては、以下の3種類が挙げられます。

1. マウスピース矯正

マウスピース矯正は、マウスピース型の矯正装置を使った治療方法です。1つのマウスピースを継続して使うのではなく、治療が進むごとに段階的にマウスピースを新しいものに取り替えることによって、矯正力を調整しながら歯を動かしていきます。

マウスピースは患者さん自身で取り外すことが可能なため、食事や歯磨きの際に邪魔になりません。また、治療には透明なマウスピースを用いるため、外から見て目立たないのもメリットです。一般的な治療期間は約2~3年、治療費はおよそ50~120万円と個人差があります。

2023年9月 株式会社メディカルネット調べ

2. ワイヤー矯正

ワイヤー矯正では、ブラケットという装置を歯に取り付け、ワイヤーを通すことによって、力を加えて歯を動かします。歯列矯正の中でも最も歴史がある手法であり、幅広い症例に対応できるのが大きな特徴です。

また、表側に装着するブラケットは既製品より治療中に何らかのトラブルが発生した場合も、適切な処置を受けやすい点も強みです。一般的な表側矯正であれば、治療期間は約2~3年、治療費はおよそ60~100万円とされています。

2023年9月 株式会社メディカルネット調べ

3. 外科的矯正治療

外科的矯正治療とは、骨格が原因で歯並びが悪くなっているケースで、マウスピースやワイヤーを用いた治療だけでは治療が難しい場合に、外科手術も併用する矯正治療です。ただし、基本的には術前矯正、手術、術後矯正といった順番で治療を進めていくため、矯正治療を行わない、というわけではありません。

また、顎変形症と診断された場合は保険適用の対象となるため、費用を安く抑えられる点もポイントです。症例によって治療期間などにも差は生じますが、保険が適用される場合であれば、治療期間は約2~4年、治療費は合計でおよそ40~80万円程度となります。

2023年9月 株式会社メディカルネット調べ

まとめ

噛み合わせの悪さは、見た目の悪影響以外に、発音がしにくくなったり、虫歯や歯周病のリスクを上昇させます。さらに、口呼吸や顎関節症の原因となったり、胃腸への負担が増大したり、頭痛や肩こりを引き起こしたりと、お口の中だけでなく、全身への悪影響も懸念されます。

歯並びが悪い状態を自分で治すのは難しいため、もし歯並びが悪いという自覚があるようであれば、放置しないほうがいいかもしれません。なるべく早く歯科医院を受診したうえで、自分に合った適切な処置を受けることによって、噛み合わせの改善を図っていきましょう。

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