しゃくれた顎を自力で治す方法はある?放置するリスクやデメリットも

しゃくれ 自力で治す

「自分の顎がしゃくれているのが気になるものの、治療方法がわからなくて困っている。できれば治療に多くのお金をかけずに顎のしゃくれを自力で治すことって可能なの?」そんな疑問をお持ちの方いませんか。

顎のしゃくれを自力で治すことができるケースは非常に少ないです。この記事では、治る可能性は低いですが、しゃくれを改善するために自分で取り組める3つの方法・矯正治療で、しゃくれを治す際の3つの選択肢・しゃくれを放置する際の5つのリスクについて、詳しく紹介します。

監修医師

歯科医師 古川雄亮先生

歯科医師 古川雄亮 先生

国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開

目次

  1. この記事の要約
  2. しゃくれた顎を自力で治す方法はある?
  3. しゃくれを自力で治す方法
  4. しゃくれを自力で治すのが難しい場合の矯正治療
  5. しゃくれを治すための矯正治療の比較一覧
  6. しゃくれを放置した場合のリスクやデメリット
  7. まとめ

この記事の要約

・しゃくれた顎を自力で治すのは非常に難しい
・しゃくれの治療には、歯科医院における矯正治療が基本的かつ効果的
・しゃくれを放置すると、虫歯や歯周病、顎関節症、発音の悪化などの可能性あり

しゃくれた顎を自力で治す方法はある?

顎にしゃくれが発生する原因としては、遺伝的な要因で下顎が上顎よりも前に出たり、噛み合わせがずれていることが挙げられます。顎の成長や噛み合わせそのものに問題があるケースが大半であるため、患者さん自身で治すのは難しいです。

しゃくれを自力で治す方法

しゃくれを自力で治すことは非常に難しいですが、症状の度合いが比較的軽い場合であれば、自力で改善を図ることができる方法がいくつかあります。以下の3つです。

①舌のトレーニング(ミューイング)を行う

ミューイングとは、舌を正しい位置に置くことによって、顔面や顎の本来のポテンシャルを引き出すことを目的としたトレーニングです。ミューイングによって舌を鍛えることによってバランスを整え、歯並びや噛み合わせが悪化するリスクを減少させます。

具体的なミューイングの方法ですが、まず舌の根元を上顎の柔らかい部分に付けて押し上げます。その状態を保ったまま、前歯の裏側にある上顎の硬い部分に舌先を付け、肩と首を後ろに引き下げながら胸を開いて姿勢を正す、という流れを繰り返し行います。

⇒ミューイングの詳しいやり方については『ミューイングは本当に効果があるのか?やり方や舌を鍛えるメリットも』をご覧ください。

②スプーンを使用したトレーニングを行う

スプーンを使用したトレーニングを行うことによって、顎のしゃくれを改善することもできます。具体的な方法は、スプーンの裏側を上の前歯の裏側に当てた後で、スプーンの柄を下顎に押し付ける、という流れを毎日繰り返し行います。

トレーニングを継続することによって、顎のしゃくれを徐々に改善できるかもしれません。1回につき3分程度、1日3~5回行うと、より大きな効果が見込めると考えられています。

③悪癖を直す

患者さんの悪癖によって、顎のしゃくれが悪化している可能性もあります。猫背、頬杖、口呼吸、指しゃぶり、舌や唇を噛む、歯を舌で押すといった習慣を持っている人の場合、歯並びが悪化するリスクが高まりやすいです。

悪癖が原因で起こった悪い歯並びを改善することができれば、顎のしゃくれを治すことにもつながるかもしれません。悪癖の中には、患者さん自身が意識することによって直すことが少なからずできます。

しゃくれを自力で治すのが難しい場合の矯正治療

しゃくれ 自力で治す

顎のしゃくれを自力で治すことが基本は難しいです。歯科医院で矯正治療を受け改善を図ることになります。

この項目では、しゃくれの治療方法3つと、それぞれのメリットとデメリット、治療費や治療期間の目安について、詳しく解説します。

ワイヤー矯正

ワイヤー矯正は、ブラケットという四角い器具を歯に接着し、ワイヤーを通すことによって、歯を動かしていく治療方法です。ワイヤー矯正は矯正治療の中でポピュラーな治療法で、用いられてきた歴史も長いことから、豊富な治療実績を持ちます。幅広い症例に対応することができます。

ただし、基本的に矯正器具を歯に接着することになるため、外から見た際に装置が目立ちやすくなります。また、装置に汚れが溜まりやすいことが影響して虫歯や歯周病のリスクが上昇したり、お口の中に器具による痛みや違和感が生じることもあります。治療費の目安は60~150万円で、治療期間は1~2年です。

2024年10月 株式会社メディカルネット調べ

マウスピース矯正

マウスピース矯正はマウスピース型の矯正器具を装着して歯を動かしていく治療法です。矯正の際に用いるマウスピースは透明であり、矯正中に目立ちにくい点が特徴です。矯正中でも取り外しが可能なため、食事や歯磨きの際に装置が汚れる心配がなく、痛みも比較的小さいとされている点もメリットです。

対応できる症例が限定されることや、1日20時間以上マウスピースを装着する必要があることがデメリットといえます。患者さんには医師の指示通りにマウスピースを使い続ける高い自己管理能力が求められます。治療費の目安は30~100万円で、治療期間は1~2年です。

2024年10月 株式会社メディカルネット調べ

外科矯正

外科矯正は、矯正治療に加えて患者さんに全身麻酔を施したうえで顎骨を切る治療法です。患者さんの骨格そのものに問題があって、矯正治療のみで上下顎のアンバランスを解決できないと判断された場合に適応されます。手術によって顔の見た目や噛み合わせのバランスが良くなります。

治療に際して手術の数日前から1~2週間にわたって入院することが必要になります。患者さんが顎変形症と診断された場合は公的医療保険が適用されるため、その場合の治療費は50~100万円が目安となりますが、公的医療保険適用外では数百万円の費用が必要になるケースもあります。治療期間は1~3年程度となっています。

2024年10月 株式会社メディカルネット調べ

しゃくれを治すための矯正治療の比較一覧

しゃくれ 自力で治す

この項目では、顎のしゃくれを改善するために用いられる矯正治療をさまざまな角度から比較した一覧表を紹介します。

しゃくれを放置した場合のリスクやデメリット

顎がしゃくれた状態の放置は、さまざまなリスクやデメリットがあります。

しゃくれ具合がひどくなる

上顎は早い段階で成長が止まりますが、下顎は思春期以降もしばらく成長を続けていきます。顎のバランスが悪いまま下顎の成長が続くと、顎のしゃくれが徐々に悪化していく可能性が高いです。下顎の成長が急激に進む前に矯正治療による介入をして噛み合わせを改善していく必要があります。

顎関節症のリスクが高まる

顎関節症とは、顎の関節の悪化によって、顎に痛みが出たり、顎を動かした時に音が出たり、お口を空けにくくなったり、肩や首が凝るといった全身症状が出る病気です。顎関節症の原因は複数ですが、顎がしゃくれている人の場合は、顎や歯並びのズレによって顎にかかる負担が大きくなり、顎関節症になるリスクがあると考えられています。

虫歯や歯周病になりやすくなる

顎のしゃくれによって歯並びや噛み合わせが悪化すると、歯列の凸凹によって歯磨きの難易度が上昇し、歯についた汚れを落とすことが難しくなります。さらに、歯並びの悪化は口呼吸の悪癖につながってしまう可能性がある点にも注意が必要です。

口呼吸を続けるとお口の中が乾燥しやすくなり、唾液量も下がってしまいます。唾液は細菌の繁殖を防ぐ性質を持っているため、虫歯や歯周病の原因となる細菌がお口の中で増殖し、虫歯や歯周病のリスクをさらに高めることになります。

食べ物を噛みにくくなる

顎のしゃくれによって歯並びが悪化すると、噛み合わせも悪くなっていきます。噛み合わせが悪いと、顎に余分な負担がかかるだけでなく、食べ物を咀嚼する能力も低下し、食べ物が大きな塊のまま胃や腸などの消化器官に送られます。消化器官への負担も増し、体調不良につながる可能性もあります。

滑舌が悪くなる

顎のしゃくれによって滑舌が悪化し、特定の音を発音しづらくなるケースもあります。特に、サ行の音を喋りにくくなることが多いため、日常生活におけるコミュニケーションに影響が出るかもしれません。顎のしゃくれや噛み合わせの悪化が発音に影響を与える点は、頭に入れておきましょう。

まとめ

顎のしゃくれを患者さんが自力で治すのは、非常に難しいです。しゃくれの状態が非常に軽い場合は、ミューイングのような舌のトレーニングを意識して行い悪癖を治すことによって、患者さん自身でしゃくれを改善できるかもしれません。

歯科医院で顎のしゃくれに関する治療を受ける場合、ワイヤー矯正、マウスピース矯正、外科矯正の3種類が主な選択肢です。放置により、しゃくれが酷くなったり、虫歯や歯周病のリスクが高まったり、顎関節症の発症につながる可能性もあるため、気になる方は早めに歯科医院に足を運び、医師に相談することをおすすめします。

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