金属アレルギーでも矯正治療はできる?アレルギーに関連する歯科材料や症状、矯正の対策方法を紹介
矯正治療ではワイヤーやブラケットなどの金属の矯正装置を使用することが多く、金属アレルギーがあると矯正治療ができるのか心配ですよね。
アクセサリーで皮膚が赤くなったりかゆくなったりしたことがある場合、金属アレルギーの可能性が高く、口腔内に金属の矯正装置を装着することで悪化してしまうことも考えられます。
この記事では、金属アレルギーがあっても矯正治療を受けられるのか、金属アレルギーの方でもできる矯正方法があるのかを解説します。
公開日:2024/09/26
監修医師
歯科医師 古川雄亮先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開
目次
金属アレルギーでも矯正治療は可能
基本的にワイヤーやブラケットの矯正装置にはステンレスやニッケルが使用されています。
医療用ステンレスは様々な医療機器に使用されており、金属アレルギーが発症しにくい金属ですが、ニッケルは金属アレルギーになりやすいといわれています。
そのため、金属アレルギーの方は場合によってはワイヤー矯正は難しくなることもあります。
ただし、矯正治療ができないわけではありません。チタンのようなアレルギーの出にくい矯正装置の使用をすれば可能ですし、プラスチック製の矯正装置もあります。
金属アレルギーの場合の矯正方法は?
金属アレルギーの方でもできる矯正方法が気になりますよね。
金属アレルギーの方ができる矯正方法について詳しく解説します。
マウスピース矯正
マウスピース矯正とは、透明なマウスピース型の矯正装置を歯に装着します。マウスピースはポリエチレンやポリエチレンテレフタレートで作られており、金属は使用されていません。
歯並びの形と異なるマウスピースをおおよそ1ー2週間ごとに装着・交換していくことで少しずつ歯を動かしていき、目的とする歯並びに近づけます。歯全体を矯正する場合の費用相場は、60万円~100万円程度です。
2023年6月 株式会社メディカルネット調べ
ワイヤー矯正で使われる金属以外の素材
ワイヤー矯正では、ブラケットという小さな器具を歯の表面に取り付け、そこにワイヤーを通します。ワイヤー矯正で使うブラケットにはニッケルやステンレスなどの素材がありますが、目立ちにくくて白いセラミックやプラスチックの素材もあります。
また、見た目に配慮した矯正装置で使用するワイヤーも金属ですが、表面を白くコーティングしたものがあり、金属アレルギーの方でも使用することがあります。
見た目に配慮した矯正装置を使いたい場合、金属製のブラケットよりも高くなるため、相場として10万円~20万円程度治療費が高くなります。
金属アレルギーになりやすい歯科材料
矯正治療を始める前は問題なくても、治療途中で金属アレルギーが発症することもあります。
「ニッケル」「コバルト」「クロム」などの金属は金属アレルギーになりやすい金属です。これらは水に触れていると金属イオンが溶けだし、金属アレルギーの発症原因となります。
近年、金属アレルギーになりにくいチタンを主とした矯正装置が増えています。金属アレルギーに不安がある場合は、事前に担当の歯科医師に矯正装置に使用されている素材を確認してみましょう。
矯正治療で見られる金属アレルギーの症状
金属アレルギーがある場合、金属製の矯正装置を使用することによって、以下のような症状が出る可能性があります。
口内炎
正確にはアレルギー性口内炎とよばれるものです。また、金属付近の粘膜の荒れ・ただれがみられる場合もあります。
唇の腫れ
金属アレルギーによって唇が腫れたりただれたりすることがあります。
皮膚炎
口の中やその周辺にアレルギーが出るだけでなく、手や足など全身に赤み・かゆみ・湿疹などが生じることもあります。
※手のひらや足の裏に膿や水ぶくれができる「掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)」の症状が見られることもあります。その他、蕁麻疹や倦怠感など全身にさまざまな症状を引き起こすこともあります。
金属アレルギーの有無はパッチテストで調べられる!
ご自身が金属アレルギーかどうかは、パッチテストという検査で調べることができます。
パッチテストでは、背中などにアレルギーの原因と考えられる金属を含んだ試薬テープを貼り付けます。そして、2日後・3日後・7日後と3回に分けて経過を観察し、皮膚にアレルギー反応が起きるかどうかを判定します。
検査中の期間は入浴が制限されるほか、パッチテストをしている部位を締め付けるような服装は避ける必要があります。また、アレルギー反応がある場合は強い痒みが生じるため、予定はなるべくいれないほうがよいでしょう。
パッチテストはアレルギー科や皮膚科などで取り扱っています。
パッチテストを実施していても受けたい金属の検査を取り扱っていないケースもありますので、事前に医療機関に確認するようにしましょう。
パッチテストを受ける際の注意点
パッチテストを行っている最中は、以下のような点に注意が必要です。
・ステロイドや鎮痛剤など、アレルギー反応を抑える効果がある薬を服用しない
・汗をかく運動は避ける
・試薬テープを貼り付けてから3日間は入浴できない
まとめ
金属アレルギーがある方が金属製の矯正装置を使用すると、口内炎や唇の腫れなどの症状が出る恐れがあります。
しかし、金属アレルギーの方が矯正治療を絶対に受けられないというわけではありません。マウスピース矯正やアレルギーのない金属の素材でできた矯正装置を使用すれば、金属アレルギーでも矯正治療を受けることができます。
ご自身が金属アレルギーかどうかがわからず、矯正治療に踏み切れない方は、歯科医院に一度相談してみましょう。心配な方はパッチテストで金属アレルギーの有無を調べてみましょう。
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