矯正歯科の認定医とは?矯正治療は認定医じゃないとダメ?

矯正歯科 認定医

「矯正治療を受けようと思っているが、矯正歯科には認定医という資格があることを知った。認定医であるのとないことにどんな違いがあるの?」そんな疑問をお持ちの方はいませんか。

矯正歯科の認定医は、高い知識や経験を有する評価基準の一つです。今回は、認定医の総数や要件、資格が設けられた背景、他の資格との違いなどの基礎知識に加えて、認定医を探す際のポイントも詳しく紹介します。

監修医師

歯科医師 古川雄亮先生

歯科医師 古川雄亮 先生

国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開

目次

  1. 矯正歯科の認定医とは
  2. 矯正歯科の認定医を探すときのポイント
  3. 【注意】認定医資格の有無のみで矯正歯科を選ばない

矯正歯科の認定医とは

矯正歯科 認定医

矯正歯科の認定医は、取得者の矯正治療の技術と知識を十分有することを示す客観的な指標です。認定医の資格を与えている団体は複数あり、資格取得方法は団体によって異なります。

歯科医師免許さえ持っていれば矯正治療を行うことは可能ですが、実際に治療を行う際には、矯正治療の高度な技術と知識が求められます。認定医の資格は、担当医が適切な技術や知識を有しており、安心して矯正治療を任せられる歯科医師の証明になります。

⇒矯正歯科の認定医って何?もっと詳しく知りたいという方は『矯正歯科の認定医とは [矯正歯科の学会と認定制度について]』の記事をご覧ください。

認定医資格が設けられた背景

矯正歯科 認定医

日本においては、歯科医師免許を持っている人であれば、矯正治療の経験がなくても矯正治療を行うことができます。矯正治療には高い技術や一定以上の知識が必要になるため、矯正治療の経験や知識が不足している医師のもとで治療を受けると、何らかのトラブルが発生する可能性が高まります。

そうした事態を避けるために、矯正治療に関する高い専門性を持つ歯科医師であることが資格の有無で分かることは意義があります。矯正治療を行う歯科医師の能力を示す客観的な指標として認定医聖堂を設けることで、矯正治療の経験が豊富な歯科医師と、そうでない医師を区別することが可能になり、患者さんが安全に治療が受けられることにもつながります。

認定医の資格要件

認定医の資格を取得するためには、資格を設けている学会が定める要件を満たしたうえで、学会の審査に合格する必要があります。具体的には、歯科医師免許取得後に5年以上にわたって学会の会員であり続けることや、奨励実績を一定期間にわたって積むことなど、資格の取得に高いハードルが設けられています。

学会によっては資格取得のために矯正歯科臨床に関連する論文発表が求められ、資格の難易度が高いです。団体によって資格取得要件が異なる点も特徴的です。

指導医や専門医との違い

指導医、臨床指導医(旧専門医)は、歯科矯正の分野において、認定医の上位にあたる資格です。指導医や臨床指導医の資格を取得するためには、認定医の資格を取得していることに加えて、矯正歯科における教育歴や研究実績を有することが最低条件となります。そのため、資格を得るまでのハードルは、認定医よりもさらに高くなっています。

認定医制度が1つでないため一般の人にとってわかりにくい部分もあります。近年は「日本矯正歯科専門機関」という各団体の資格を一本化するための団体が作られ、資格をよりわかりやすいかたちに統一するための動きが進みつつあります。

認定医の数

公益社団法人日本矯正歯科学会のホームページによると、同学会の会員は約7000人とされています。そして、同学会が定める認定医の数は2833名、指導医の数は507名、臨床指導医の数は381名と、具体的な資格取得者の人数が発表されています。

また、厚生労働省が2022年に発表した資料によると、2022年12月31日時点で届出がなされている歯科医師の数は105,267人とされています。すなわち、日本矯正歯科学会が定める認定医が歯科医師全体の中で占める割合は、およそ2.5%ということになります。この数字は、認定医という資格がいかに狭き門であるかを示すと同時に、認定医という資格が持つ信頼性の高さも表しています。

参考:公益社団法人日本矯正歯科学会
参考:厚生労働省

矯正歯科の認定医を探すときのポイント

矯正歯科 認定医

いくつかのポイントをおさえることによって、矯正歯科の認定医を探す際にかかる手間や時間を大きく減らすことができます。認定医を見つける時に有効となる具体的な手段としては、以下に挙げる2種類が挙げられます。

各学会や医院のHPで検索する

認定医の資格を定めている各学会のホームページには、資格保持者を検索するためのページや、資格保持者の一覧が記載されたページが出てきます。各ページにおいて地域別の検索を行うことで、患者さんの生活圏(自宅や仕事場)に近い場所の認定医を容易に探すことができます。

また、歯科医師が認定医などの資格を取得しているかについては、歯科医院のホームページでドクターの経歴などが記載されたページに、記載されていることが多いです。

口コミや評判を調べる

該当する歯科医院で実際に治療を受けた患者さんによる評価を確認することも、歯科医院の情報を把握するために有効となる手段の一つです。インターネット上の口コミや評判、SNSに書き込まれた感想や情報を確認し、自分との相性や治療中の雰囲気などについて、あらかじめ確認することができるかもしれません。

歯科医院のHPのブログ、SNS、動画サイトといった媒体で情報を発信しているのであれば、事前に確認しておくといいかもしれません。ただし、あくまでも口コミなどの情報は個人の意見であることを念頭に置いたうえで、最終的な判断は患者さん自身で下すようにしていきましょう。

【注意】認定医資格の有無のみで矯正歯科を選ばない

認定医資格を持っている歯科医師であっても、必ずしも良い治療を提供しているとは限りません。また、認定医の資格こそ持っていないものの、矯正治療に関する高い技術や知識を有しており、優れた矯正治療を行っている歯科医師も多いです。

日本臨床矯正歯科医会が発表した「矯正歯科治療に関する意識調査」によると、全体の3割弱にあたる人が、トラブルや悩みを経験したり聞いたと回答しています。矯正治療のトラブルが発生する可能性を念頭に置いたうえで、認定医の資格の有無はあくまで参考程度にとどめ、認定医の有無のみを理由に矯正歯科を選ばないように心がけておきましょう。

参考:日本臨床矯正歯科医会

まとめ

矯正歯科の認定医制度は、矯正治療の水準を維持・向上させる目的で作られています。歯科医師であれば誰でも矯正治療が行えることにより、認定医という資格の存在意義はあります。認定医制度によって、患者さんが歯科医を選ぶ際の基準になるでしょう。

認定医資格を持つ歯科医師であっても、必ずしも良い治療を提供しているとは限りません。歯科矯正は長期間にわたる治療であり、患者さんと歯科医師の相性なども重要なので、認定医の資格はあくまでも歯科医院を選ぶ際の目安の一つに留め、広い視野を持って判断しましょう。

【PR】フィリップス ソニッケアー
歯科専門家使用率NO.1

フィリップス・ジャパン

あわせて読みたい記事

メディア運用会社について

メディカルネット

株式会社メディカルネット(東証グロース上場)は、より良い歯科医療環境の実現を目指し、インターネットを活用したサービスの提供にとどまらず、歯科医療を取り巻く全ての需要に対して課題解決を行っています。

当サイト「矯正歯科ネット」を通して生活者に有益な医療情報を歯科治療の「理解」と「普及」をテーマに、自分に最適な歯科医院についての情報や、歯の基礎知識、矯正歯科などの専門治療の説明など、生活者にとって有益な情報の提供を目指しています。

矯正歯科歯科医院を探すなら「矯正歯科ネット」

矯正歯科治療を行なっている歯科医院を、全国から簡単に検索できます。お近くの矯正歯科歯科医院をお探しの場合にもぜひご活用ください。