矯正治療後のリテーナーの装着は夜だけでも良いの?リスクや注意点も

リテーナー 夜だけ

「矯正治療が終わってからは毎日欠かさずリテーナーを使っているが、何度か日中に着けるのを忘れてしまったことがある。リテーナーを装着するのが夜だけになると、どんな問題が出てくるの?」そのような疑問をお持ちの方も、いらっしゃるかもしれません。

リテーナーの装着時間が短いと、歯の後戻りが大きく進む危険性があります。今回は、リテーナーの装着時間、使用中の通院頻度、使用時間が短い場合に起こり得る5つのリスク、夜だけの装着になった時に注意すべき3つのポイントについて、詳しく解説します。

監修医師

歯科医師 古川雄亮先生

歯科医師 古川雄亮 先生

国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開

目次

  1. リテーナーの装着は夜だけでも良いの?
  2. リテーナーの装着が夜だけでも良くなるのはいつから?ずっと無理?
  3. リテーナーの装着が必要な期間
  4. リテーナーを最初から夜だけ装着した場合のリスク
  5. リテーナーの装着が夜だけで良くなったときの注意点
  6. まとめ

リテーナーの装着は夜だけでも良いの?

保定期間に入ってからしばらくリテーナー装着を長時間続ける必要があります。具体的には、リテーナーを使用し始めてから半年~2年は1日のうち20時間ほど、すなわち食事や歯磨きの時間を除いてほぼ一日使用を続ける指示を出すクリニックが多いです。

定められたリテーナーの使用期間の後は、歯並びが安定してくるので、リテーナー装着時間を短くして良いとするクリニックも多いです。最終的には装置を使用するタイミングは就寝時のみになり、夜だけ装着するようになります。

リテーナーの装着が夜だけでも良くなるのはいつから?ずっと無理?

リテーナー 夜だけ

リテーナーを装着する時間を夜だけに限定できるのは、保定期間が進んで歯の後戻りが落ち着き、歯の動揺もなくなって安定する時期に入ってからです。基本的には半年~2年で歯並びが安定することが多く、装置の使用を始めたらそのままずっと長時間使い続けなければいけないわけではありません。

リテーナーの装着が必要な期間

歯並びや噛み合わせなどの患者さんのお口の中の状態、加齢・生活習慣、治療内容や期間などにより保定期間の長短が変わる傾向のため、気になる方は事前に担当医に相談することをおすすめします。

参考:東北大学病院

リテーナーを装着している間の通院頻度

リテーナーの使用開始以降は、1~2年の間は数か月に1度のペースで通院することが多いです。歯並びが安定するにしたがって通院の頻度も少なくなる傾向ですが、リテーナーを適切に使用しなかった場合は歯の後戻りが生じてしまい、通院頻度や期間が増加する可能性があります。

通院を行う最大の目的はお口の中の経過観察であり、歯並びや噛み合わせの状態が安定しているか否かを確認します。加えて、歯の着色を落としたり、歯石を除去したりといった、お口の中を綺麗にする処置も必要に応じて行います。

リテーナーを最初から夜だけ装着した場合のリスク

リテーナーを使用し始めてからしばらくは、1日のうち20時間程度は装置を使い続ける必要があります。仮に使用開始直後からリテーナーの装着を夜だけに限定してしまうと、以下に挙げる5つのデメリットが生じる可能性が出てきます。

後戻りする

リテーナーを担当医の指示通りに使用しなかった場合、歯の後戻りが生じる可能性があります。矯正治療後の歯並びを何もせずに放っておくと最初の歯並びに戻ってしまいますが、リテーナーにより後戻りを防ぎます。リテーナーの装着をさぼってしまうと、歯並びが治療前の状態に戻るリスクが大きく増します。

リテーナーが合わなくなる

リテーナーの装着を正しく行わないと、歯の後戻りが生じ、リテーナーが歯に合わなくなってしまう可能性が高まります。

装着したときに痛みが生じる

後戻りによってリテーナーが歯に合わなくなると、装着した際に痛みが生じます。後戻りが少なければ装置の使用を継続できますが、後戻りが大きい場合は、装置による痛みが強く装着できなくなってしまうことがあります。

リテーナーを作り直すことになる

リテーナー装着をさぼった期間が長くなればなるほど、歯の後戻りも大きく進みます。さぼるとリテーナーが歯に合わなくなり、装着が不可能になったらリテーナーの調整を行います。後戻りの程度によってはリテーナーの作り直しが必要になり、さらなる追加費用が生じます。

再度の矯正治療が必要になる

歯の後戻りが大きく進むと、リテーナーを用いた保定だけではどうにもならないケースがあります。矯正治療をもう一度受ける必要もあるかもしれません。せっかく長い時間と多額の費用をかけた矯正治療をやり直すことになれば、当然ながら患者さんにとっての負担も大きいです。

リテーナーの装着が夜だけで良くなったときの注意点

リテーナー 夜だけ

保定期間が順調に進み、リテーナーを装着するタイミングが夜だけで良いとしても、安心してしまってはいけません。紹介する3つのポイントを意識して後戻りしないように気をつけましょう。

忘れずに装着する

保定期間が始まったばかりの頃はリテーナーの装着を強く意識していたとしても、1日あたりの装着時間が減ってくるにしたがって、リテーナーの装着を忘れやすくなるケースは少なくありません。せっかく安定してきた歯並びや噛み合わせを維持するためにも、夜になったらリテーナーをきちんと装着するというルーティンを習慣づけるとよいでしょう。

矯正歯科ネットに投稿された過去の質問「リテーナーの付け忘れ」に対する回答によると、装着しない期間が3日程度であれば装置が少し入りにくい程度で済みますが、1週間にわたって装着を怠ってしまうと、歯が大きく動いて装着が難しくなることが多いです。夜だけの装着となってからも安心することなく、毎日装着することが求められます。

紛失しないようにする

リテーナーを紛失してしまうと、歯科医院でリテーナーの再製作が必要です。そうなると、装置作製費が追加で必要となるだけでなく、リテーナーを装着できない期間において、歯の後戻りが進んでしまうリスクも生じます。

後戻りを避けるためにも、装置の紛失が起きないように日頃から注意しましょう。具体的には、リテーナーを外した後は必ず専用のケースに入れるように心がけ、ケースの置き場所も決めておくなどです。紛失してしまった場合はすぐに歯科医院に連絡を入れ、今後の対処について担当医の判断を仰ぐことが望ましいです。

清潔な状態で保管する

リテーナーの破損などを防ぐため、常に清潔な状態で装置を保管することも重要です。使用しない時はケースに入れて衛生面に気をつけ、使用後にリテーナーを洗浄して保管することによって、装置をより清潔な状態に保つことが可能となります。

リテーナーを洗う際には、歯磨き粉や熱湯は使用せず、軟らかい歯ブラシを使って、装置を傷つけないようにしながら汚れを落としましょう。また、矯正装置専用の洗浄剤は装置の除菌や悪臭の予防といった効果を持つため、興味のある方は使用を検討してもいいかもしれません。超音波洗浄器もおすすめです。

まとめ

リテーナー 夜だけ

矯正治療が終了してからしばらくは、リテーナーを長時間毎日装着し続ける必要があります。夜だけの使用でも問題なくなるのは、後戻りが落ち着き、歯の動揺もなく安定してからになるため、最初のうちは一日の大半(20時間目安)を装着して過ごすことになります。

リテーナーの装着が夜だけで良くなったとしても、毎日忘れずに装着したり、紛失しないように気を配ったり、装置をできる限り清潔に保ったりといった点に注意しなければなりません。せっかく矯正治療で綺麗に並んだ歯を後戻りで無駄にしないためにも、保定期間中はリテーナーを適切に扱うことを心がけるようにしていきましょう。

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