大人の矯正Q&Aまとめ!よくある質問をわかりやすく解説
矯正治療を受けたいけど、治療の疑問や不安がたくさんあって治療を始められないまま時間が経っていませんか?
身近に矯正治療を受けた人がいなかったり、歯科医師に質問できない消極的な性格であったり、知りたいことがうまく検索できなくて答えが出てこないなどで知りたいことがわからないと、歯科医院へ行くのも治療を始めるのも悩みますよね。
この記事では、大人の矯正治療でよくあるQ&Aについて歯科医師が回答していきます!
公開日:2024/03/11 更新日:2024/03/25
監修医師
歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開
目次
- 大人の矯正に関するよくある質問Q&A
- 大人の矯正治療の検討・開始について
- 大人の矯正治療に年齢制限はある?
- 大人の矯正治療と子どもの矯正治療の違いは何?
- 妊娠中でも矯正治療はできる?
- 差し歯があるけど矯正治療はできる?
- 転勤・引っ越しの可能性があるけど矯正治療を始められる?
- 転勤・引っ越しの可能性があるけど矯正治療を始められる?
- 上顎だけor下顎だけの矯正治療はできる?
- 矯正治療で抜歯は必須?
- 虫歯や歯周病があるけど矯正治療は受けられる?
- 大人の矯正治療の費用や期間について
- 費用の目安はどのくらい?
- 治療期間はどのくらいかかるの?
- 公的医療保険はきかないの?
- 治療にかかった費用は医療費控除の対象になる?
- 医療費控除の対象になるのは治療費だけ?
- 大人の矯正治療全般について
- 矯正装置をつけると発音や食事がしにくくなるの?
- 矯正治療中は歯が痛むの?
- 矯正していても楽器の演奏やスポーツはできる?
- 矯正装置が外れることはあるの?
- 結婚式や発表会のときに一旦、矯正装置は外せる?
- 矯正治療中は虫歯になりやすいの?
- 治療後にまた歯並びが悪くなることはある?
- まとめ
大人の矯正に関するよくある質問Q&A
ここでは3つのテーマ、「矯正治療の検討・開始について」「費用や期間について」「矯正治療全般について」のよくあるQ&Aに回答していきます。
大人の矯正治療の検討・開始について
まずは大人の矯正について、治療はできるのか?どんな治療になるのか?などよくあるQ&Aをみていきましょう。
大人の矯正治療に年齢制限はある?
大人が矯正治療を始めるのに年齢制限はありません。
基本的に何歳でも、矯正治療を始めることができます。
ただ、年齢にかかわらず、歯肉や歯を支える歯槽骨などが痩せてしまったり、歯周病が進行している、自分自身の歯がほとんど残っていないなど、お口の中の健康が損なわれていると矯正治療ができないことがあります。
年齢が高くなるにつれて歯周病や虫歯が進行しているなど、お口の状態が悪くなっている可能性も高くなり、矯正治療より先に治療が必要になることが大半です。治療が完了し矯正治療ができる状態になれば矯正治療を始めることができます。
大人の矯正治療と子どもの矯正治療の違いは何?
基本的に、大人になると顎の成長は既にとまっています。そのため、今あるスペースに歯を並べることを考えて矯正治療を行っていきます。スペースが足りなければ、抜歯をしたり、IPRと呼ばれる歯をわずかに削りスペースを作る方法などが選択肢となります。
一方、子供の顎はまだ成長する可能性が高いでしょう。
その場合、顎の成長に合わせて歯列を広げたり、顎の成長を促進・抑制することで歯を並べるスペースを確保していく方法が選択肢に入ってきます。抜歯をしたり、歯を削らずにスペースを作り出せる可能性があることが大きな違いです。
また、子供の矯正治療は歯が生え変わる前(顎の成長が見込まれる段階)と歯が生え変わった後(顎の成長がこれ以上見込まれない段階)の二段階に分けて行われることが多く、大人よりも治療期間が長くなる傾向にあります。
妊娠中でも矯正治療はできる?
妊娠中も矯正治療を受けることはできます。
ただし、つわりの時期や出産直前は歯科医院への通院はあまり推奨されていません。一般的には、安定期の間と出産後に通院することになるでしょう。妊娠したと伝えることで、通院できない期間を踏まえた治療方法や治療方針に変更してもらえるため、継続して矯正治療を負担なく続けることができます(治療方法や方針の変更に伴い、追加の費用がかかる場合があります)。
ですが、もしも妊娠中に新しく矯正治療を始めるという場合はよく考えてから始めましょう。出産後は子育てが始まり、通院には周囲の協力が必要です。妊娠中だけでなく、出産後も長期的に通院ができるかどうかもポイントとなります。
また、妊娠中はレントゲン撮影や麻酔の使用は控える傾向にあります。そうした検査や治療に不安がある場合は、妊娠中は矯正治療は始めない、または中断し、出産後に開始・再開することになります。
差し歯があるけど矯正治療はできる?
差し歯とは、自分自身の歯の根に土台を立て、被せ物をしている歯のことで、ほとんどのケースで矯正治療が可能です。自分自身の歯の根であれば、差し歯にしていない歯と同じ作用で歯を動かすことができます。
ただし、矯正治療後には歯並びや歯の向きが変わるため、被せ物の作り直しをしたほうがきれいな歯並びになる、理想的な治療結果になることがあります。ブラケットなどの矯正器具が材質によって外れやすいなども注意です。被せ物の作り直しについては、治療前・治療中に担当の歯科医師と相談しながら進めることをおすすめします。
※差し歯はインプラント(人工歯根)とは異なります。
インプラントの場合は矯正治療ができない場合があります。
転勤・引っ越しの可能性があるけど矯正治療を始められる?
転勤や引っ越しの可能性があっても、矯正治療を始めることはできます。
ただし、「近いうちに必ず」転勤する予定が決まっている・引っ越すことが決まっている場合は、矯正治療は引っ越し先で始めるほうが良いかもしれません。
引っ越し先で新たな矯正歯科で治療を始めるには、紹介状や転院のための資料の用意などで費用がかかります。
また、治療途中の転院となると、装着している矯正装置を取り扱っている歯科医院を探す必要があり、歯科医院選びに注意です。矯正装置の付け替えが必要となることが多く、余分に費用がかかったり、治療計画が最初からになってしまうこともあります。
矯正治療は長期的な治療計画を立てて行う治療のため、できる限り治療開始から保定期間の終了まで、同じ歯科医院で治療を受けることが望ましいといわれています。すでに転勤などによる引っ越しで通院できなくなる予定がある場合、引っ越し先で歯科医院を探してみてはいかがでしょうか。
また、各地に歯科医院を構えるグループ歯科医院では診療情報や検査結果が共有できるため、転勤先や引っ越し先から近い別のグループ院への通院に変更できる歯科医院もあります。一刻も早く治療を始めたいけど転勤や引っ越しが決まっている、という場合は、そうした転勤や引っ越しに対応している歯科医院を選ぶことも選択肢のひとつです。
転勤・引っ越しの可能性があるけど矯正治療を始められる?
転勤や引っ越しの可能性があっても、矯正治療を始めることはできます。
ただし、「近いうちに必ず」転勤する予定が決まっている・引っ越すことが決まっている場合は、矯正治療は引っ越し先で始めるほうが良いかもしれません。
引っ越し先で新たな矯正歯科で治療を始めるには、紹介状や転院のための資料の用意などで費用がかかります。
また、治療途中の転院となると、装着している矯正装置を取り扱っている歯科医院を探す必要があり、歯科医院選びに注意です。矯正装置の付け替えが必要となることが多く、余分に費用がかかったり、治療計画が最初からになってしまうこともあります。
矯正治療は長期的な治療計画を立てて行う治療のため、できる限り治療開始から保定期間の終了まで、同じ歯科医院で治療を受けることが望ましいといわれています。すでに転勤などによる引っ越しで通院できなくなる予定がある場合、引っ越し先で歯科医院を探してみてはいかがでしょうか。
また、各地に歯科医院を構えるグループ歯科医院では診療情報や検査結果が共有できるため、転勤先や引っ越し先から近い別のグループ院への通院に変更できる歯科医院もあります。一刻も早く治療を始めたいけど転勤や引っ越しが決まっている、という場合は、そうした転勤や引っ越しに対応している歯科医院を選ぶことも選択肢のひとつです。
上顎だけor下顎だけの矯正治療はできる?
歯科医院の判断や噛み合わせの状態にもよりますが、患者さんの希望にあわせて治療が可能です。
矯正治療は歯の見た目だけでなく、噛み合わせを整えることも重要です。見た目だけを治す治療をしてしまうと、前歯で噛み切れない、奥歯が噛み合わないなど、お口の機能を損なう可能性があります。上下の顎のバランスによっては、上下どちらかの歯の矯正のみの治療を受けると噛み合わせが崩れてしまうこともあります。
悪い噛み合わせは、左右どちらかの筋肉だけ発達してお顔の見た目が悪くなる、顎関節症になる、きちんと噛めずに胃腸への負荷が大きくなるなどさまざまな悪影響が生じることが考えられます。
上顎だけ、下顎だけの治療を希望する場合はまずはお口の中の検査を受け、よく相談・確認したうえで治療を検討してください。
矯正治療で抜歯は必須?
大人の矯正治療では抜歯の必要なケースが多いですが、必ずしも抜歯をするわけではありません。
歯を綺麗に並べるためのスペースが足りない場合、噛み合わせに大きくずれがある場合、出っ歯を後ろに下げたい場合など、さまざまな理由によって抜歯の必要性が判断されます。そのため、必要性については歯科医師によって判断が分かれる場合もあります。
「健康な歯をできるだけ残したい」との思いから抜歯をしたくないかもしれませんが、必要な抜歯をしないで矯正治療を進めてしまうと、噛み合わせや横顔、笑顔の変化などによって満足のいかない治療結果になることもあります。
抜歯の必要性や有無に関しては、抜歯のメリットデメリットや抜歯後に求める結果について、歯科医師とよく相談して決めていきましょう。
虫歯や歯周病があるけど矯正治療は受けられる?
虫歯や歯周病がある場合、矯正治療を始めるより前に虫歯や歯周病の治療を行います。矯正治療を始めるのは、虫歯や歯周病の治療が完了した、または小康状態になってからとなるでしょう。
ただし、大人の矯正では抜歯が必要なケースが多く、虫歯の治療をしてから矯正歯科に行ったら、「治療した歯を抜歯する」と診断されることもあります。また、矯正治療の内容によっては、寿命の短い歯、今後治療が必要な歯を優先して抜歯する治療計画を立ててもらえることもあるのです。
虫歯の治療と矯正治療を計画的に行うためにも、まずは矯正歯科でお口の中の検査を受け、治療が必要な歯、抜歯をする歯を相談してから虫歯や歯周病の治療を受けることをおすすめします。
大人の矯正治療の費用や期間について
次に、矯正治療で気になる費用や期間についてよくあるQ&Aをご紹介します。
費用の目安はどのくらい?
矯正治療の費用は、上下の顎全体のワイヤー矯正で70万円~120万円が目安です。裏側矯正にすると100万円~150万円が目安とやや高額になる傾向にあります。
矯正治療は原則自費診療で、各歯科医院が独自に費用を決定することができます。歯科医師の技術費用や使用する器具の費用、保証が含まれているかどうか、歯科医院の利益の割合などさまざまな条件によって費用が異なります。
そのため、具体的な治療費については通院したい歯科医院でお口の中の状態など検査を受けたうえで確認をしてください。また、トータルフィー制度(治療費がすべて明示されている)か、通院のたびに調整費がかかるかなどによって最終的な費用は異なります。
2024年3月 株式会社メディカルネット調べ
治療期間はどのくらいかかるの?
全体矯正の場合、治療期間は1年~3年が目安です。矯正治療の方法や治療前のお口の中の状態によって異なります。
また、虫歯や歯周病の治療が必要な場合や抜歯が必要な場合は、目安よりも期間が延びる傾向にあります。
公的医療保険はきかないの?
原則、矯正治療は公的医療保険は適用されません。治療費は全額患者さんの自己負担で行います。
顎変形症や唇顎口蓋裂(しんがくこうがいれつ)など、国が認める59の疾患に当てはまる場合は公的医療保険が適用されます。ただし、公的医療保険を適用した矯正治療は定められた歯科医院でのみ受けることができ、希望する歯科医院で治療が受けられない場合があります。
治療にかかった費用は医療費控除の対象になる?
「横顔をきれいにしたい」「機能面で異常はないけれど歯並びを整えたい」など、美容的な目的での矯正治療は医療費控除の対象になりません。
咀嚼や発音の改善など、機能的な問題を解決するための矯正治療であれば、医療費控除の対象になります。また、子供の矯正治療は機能面の向上を目的とする可能性が高いため、医療費控除の対象となることがほとんどです。
医療費控除の対象になるのは治療費だけ?
通院のための交通費も医療費控除の対象に含まれます。ただし、電車やバスなどの公共交通機関を利用した場合のみで、自家用車のガソリン代や駐車場代は対象外です。
大人の矯正治療全般について
最後に、大人の矯正治療に関するさまざまなQ&Aをご紹介します。
矯正装置をつけると発音や食事がしにくくなるの?
矯正装置を装着した直後は、発音や食事がしづらいと感じる患者さんも多くいます。特に、歯を動かす力が初めて加わるため数日間は強い痛みを感じ、食べ物の咀嚼がしづらい患者さんが多いようです。
矯正装置をつけている状態に慣れると、発音や食事のしづらさは気にならなくなっていきます。
矯正治療中は歯が痛むの?
矯正装置をつけてから数日間は、矯正力により痛みを感じやすくなります。慣れてくると痛みを感じなくなります。
痛みを感じる間は固いものを噛まないようにし、歯に負担をかけないようにしましょう。痛みが強い場合は痛み止めの服用や、冷えたタオルで冷やすと痛みが緩和することが多いです。
矯正していても楽器の演奏やスポーツはできる?
マウスピースやリードを使う楽器は、慣れるまで演奏時に違和感を覚える可能性が高いでしょう。歯の表側にブラケットとワイヤーを装着する表側矯正では、特に楽器の演奏に違和感を感じることがあります。
スポーツはほとんどの場合問題ありませんが、競技中に食いしばった際に痛みを感じたり、矯正装置が外れてしまう可能性があります。
矯正装置が外れることはあるの?
ワイヤー矯正の場合、硬い物や粘着性のある物を食べたとき、歯に装着しているブラケットやワイヤーが外れることがあります。
矯正装置が外れた場合には、お口の中を怪我したり歯の移動に影響が出る恐れがあるため、歯科医院で調整してもらいましょう。
結婚式や発表会のときに一旦、矯正装置は外せる?
ワイヤー矯正の場合、矯正装置の取り外しは想定されていません。ただし、治療開始時や治療途中で事前に歯科医師に相談していれば対応してもらえる可能性が高いでしょう。
その場合、ワイヤーとブラケットの取り外しには時間がかかります。また、装着にも時間がかかるため、治療費とは別に費用が掛かることがあります。
矯正治療中は虫歯になりやすいの?
ワイヤー矯正の場合、矯正装置を患者さん自身で外すことはできません。矯正装置の周りは歯ブラシが当てづらく、汚れが残り、虫歯や歯周病のリスクが高まります。また、歯が徐々に移動していくため、歯磨きの仕方も都度変える必要があり、虫歯や歯周病になりやすいといえるでしょう。
マウスピース矯正であれば患者さん自身でマウスピースを外すことができるため、矯正治療をしていないときと同じように歯磨きをすることができます。
治療後にまた歯並びが悪くなることはある?
矯正装置を外した直後は、歯が矯正治療前の位置に戻ろうとする「後戻り」という現象が起こります。後戻りを防ぐためのリテーナーという装置を装着していない場合、歯が少しずつ元の位置に戻ってしまう可能性が考えられます。
矯正治療後はリテーナーを使用し、きれいになった歯並びを保つための期間が必要です。
まとめ
基本的に何歳からでも矯正治療は受けられます。矯正装置をつけた直後は、痛みを感じたり、発音や食事に影響が出たりすることもありますが、数日程度で気にならなくなるケースがほとんどのため、過度に心配する必要はありません。
矯正治療について無料で相談できる矯正歯科も多くあるので、治療前・治療中に不安や疑問があれば気軽に相談してみてはいかがでしょうか。
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