表側矯正にかかる費用は? 種類によって値段は変わる?
歯並びが悪いのが気になるから矯正治療をしたいけれど、治療費はどのくらいかかるのだろう。
矯正治療は高額と聞くけれど、自分で支払える程度の金額なのだろうか。払えないならばカウンセリングを受けに行ったとしても無駄になってしまう…。
自分自身の矯正治療にかかる費用は気になりますよね。
最もメジャーな矯正治療の「表側矯正(ワイヤー矯正)」の場合、いくらくらいかかるのでしょうか?
ひとくちに表側矯正といっても様々な種類があり、それぞれかかる費用が異なります。
表側矯正の費用や種類について紹介します。
公開日:2023/07/14
監修医師
歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。
目次
表側矯正の費用の相場はどれくらい?
表側矯正は、全部の歯を矯正するか、特に気になる歯だけを部分的に矯正治療するかで大きく費用が異なります。
矯正治療で使用される矯正器具の種類によっても費用が変わっていきます。
全部の歯を矯正する全体矯正場合、85~110万円が費用の相場とされています。
あとで紹介しますが、これは表側矯正(ワイヤー矯正)でメタルブラケットを使用した場合の平均費用です。
特に気になる部分だけを矯正する部分矯正の場合、30~50万円が費用の相場です。
全体矯正の半額ほどの相場なので、費用をおさえて矯正治療をしたい人には部分矯正は向いているかもしれません!
ただし、部分矯正は矯正する範囲や矯正する部分の歯並びのガタツキ具合などによってできないことがあれば、費用も大きく変わる傾向にあるので注意してくださいね。
また、大人と子供では矯正にかかる費用が異なる点もポイントです。
子供の場合は全体矯正(1期治療)の相場が35万円程度で、大人の全体矯正に比べて半分以下の値段で矯正が可能となっています。
ですが、1期治療のみで大人の矯正治療を受けずに終了するとは限りません。
子供は骨格が成長する時期で、さらに乳歯から永久歯へと歯が生え変わるため、1期治療だけでは歯並びが完全にきれいにならないこともあります。
その場合、1期治療の費用に加えて2期治療と呼ばれる成長期が終わってからの矯正治療が必要となり、こちらはいわゆる大人の表側矯正と同じものです。
1期と2期治療の両方に費用はかかるので、大人になってから矯正治療を始めるよりも高額な費用がかかるケースもあるようです。
子供の頃に受ければ矯正費用が安く済むんだ!と思わず、まずはカウンセリングを受けて、子供の矯正のメリット・デメリットを確認しましょう!
矯正治療費用の内訳が知りたい!
矯正治療は高額ですが、その内訳は一体どのようなものなのでしょうか。
矯正歯科治療は原則自由診療。
それぞれの費用は歯科医院が独自に決定することができるため、歯科医院によって異なります。
カウンセリング・検査代
矯正治療は、治療を開始する前から費用が掛かる場合があります。
まず、矯正治療の相談やカウンセリングを受けるために数千円程度の費用がかかります。無料で相談を受け付けている歯科医院も多くあります。
カウンセリングを受け、実際に矯正治療を始めようかな…と思ったら、お口の中の状態を確認するための精密検査を受けます。
精密検査は3~5万円ほどかかる歯科医院が多いようです。
やや高額にも思えますが、患者さん一人ひとりにあった矯正治療計画を決めるために欠かせないものです。
抜歯代
矯正治療では、歯を並べるスペースを作るために抜歯するケースが多いです。
この矯正治療での抜歯(便宜抜歯)は、歯周病などが原因で抜くわけでは無いので、公的医療保険が適用されません。
便宜抜歯だと1本あたり5000円~1万5000円とクリニックによって値段設定が大きく異なります。
矯正装置代
矯正装置代は矯正治療をするうえで欠かせない費用が含まれています。
歯に直接装着するブラケット、ブラケットを歯に固定するための接着剤、ブラケットに通すワイヤーなどが該当します。
矯正装置を適切に使用するための費用がかかります。
使用する器具の滅菌や、滅菌をしてくれるスタッフのお給料、歯科医院の家賃や光熱費などもかかりますよね。
また、矯正装置や器具を患者さんに取り付け、適切に矯正治療を進める歯科医師の技術がタダでではありません。
矯正装置代には矯正装置の実費だけではなく、矯正治療を受けるうえで必要なさまざまな費用が含まれていると考えておきましょう!
調整費用
矯正治療は、一度矯正装置を装着して終わりではありません。
歯の動きに合わせて3~4週間に1度の細かな調整をするため、費用がかかります。上記の矯正装置代などと含まれていることもあります。
保定装置代
矯正治療が終了した後は、きれいな歯並びになった歯が元に戻ってしまわないように保定します。
歯を保定するために使用する保定装置の費用がかかります。
保定装置の種類や数などにもよりますが、3万~6万くらいが相場のようです。トータルフィー制度(最初に矯正代金を全額払う)であれば、料金が予め含まれていることもあります。
保定装置が壊れてしまったり、なくしてしまったら再作製の費用がかかるので注意したいですね。
また、保定期間のお口の中のチェックのための通院、保定装置の調整にも費用がかかることが多いです。
費用の支払方法はライフスタイルに合わせて選ぼう
矯正治療は基本的に高額になるので、現金一括で払える患者さんはそう多くはないでしょう。
無理に現金一括で支払う必要はありません。無理のない支払い方法を選択しましょう。
一括払い
現金、銀行振込、クレジットカード払いで治療費を一括払いする方法です。
必要な治療費を全額用意できている場合は、一括で支払うことで分割にすることによる手数料や金利を節約することができますよ。
トータルフィー制度(かかる治療費を治療前に全額支払っておく制度)の場合、一括払いを選択すれば歯科医院に通院する際の支払いの手間もなくなります。
デンタルローン
矯正治療にかかる費用を一括で払えない場合、分割払いを選んでみてください。
お金を全額貯めてから治療を始めようとすると治療開始が遅くなってしまいますが、分割払いを選択することで経済的な余裕が生まれて早く矯正治療を開始することができるかもしれません。
また、「デンタルローン」と呼ばれる、歯列矯正などの歯科治療を受けるためのお金を借りることができる特別なローンが使用できます。
通常のローンと同じように金利や分割払いの手数料が生じますが、通常のローンよりも低金利で安くローンを組むことが可能です。
ローン会社が歯科医院へ一括で治療費を支払ってくれ、患者さんはローン会社へ月々返済をしていく仕組みです。
デンタルローンは事前に審査があり、学生や未成年者は審査に通りづらいため、保護者の方と相談してから申請しましょう。
クレジットカードでの分割払い
クレジットカード払いが可能な歯科医院であれば、クレジットカードの分割払いを活用することで矯正治療費用の分割払いが可能です。
クレジットカードの分割払いであれば、特別な審査や手続きは必要ありません。
ただし、クレジットカードの分割払いには手数料がかかります。
クレジットカード会社によって手数料は異なりますので、自分自身の使用しているカードの会社に問い合わせましょう。
※分割回数が多いと、金利や手数料で元々の矯正治療費用よりもかなり高い金額を支払うことになるかもしれません。
後から費用が増える!?
矯正歯科クリニックのHPなどで「トータルフィー制度だから追加費用がかからなくて安心」などの広告を見たことはありませんか?
矯正治療を受けていたら通院が長引いてお金がかかった、予定にない矯正装置を使うことになって追加費用がかかったなどの体験談も目にしますよね。
追加費用がかかるのは、思わぬ出費となり避けたい患者さんも多いでしょう。
追加費用がかからないトータルフィー制度とは一体何なのでしょうか。
トータルフィー制度(治療費総額制)
トータルフィー制度とは、矯正装置の料金に加えて、調整料や保定装置料といった費用も含めて治療前に全額支払うシステムのこと。
矯正治療を始める前に費用の説明を受け契約します。契約時に提示された費用に、すべての費用が含まれているという考え方です。
そのため、基本的には患者さんは追加で矯正治療費を請求されることはありません(ローンや分割払いを利用した場合、その支払いは生じます。矯正装置の紛失や矯正計画の変更を希望する場合などは例外的に追加費用が発生することがあります)。
矯正治療の途中で追加で必要な矯正装置があった場合や、治療が想定よりも長引き通院が必要になった場合、矯正装置が取れやすく頻繁に通院する場合も、トータルフィー制度であれば基本的には追加費用はかから無いケースが多いでしょう。
繰り返しになりますが、患者さんの希望で追加で矯正装置を使用したり、矯正治療の方針を変えた場合は追加料金がかかることもあります。
トータルフィー制度にどこまでの費用が含まれているかは歯科医院によって異なりますので、カバーされる範囲をしっかり確認しておきましょう。
都度払い制
トータルフィーとは異なり費用を都度支払っていく方式を、「都度払い制」と呼びます。
矯正装置代はそれぞれお口の中に取り付けた時に、調整費用は通院の度に支払うイメージです。
治療が予定より早く終われば治療費を安くすませることができますが、治療が長引くと費用がかさんでいきます。
また、治療を進めるうえで追加で必要な矯正装置が生じた場合も費用がかかります。
一括で大きな金額を支払わなくてすむというメリットがありますが、都度支払っていたら気が付いたら相場よりも高い費用を支払っていた…なんてこともあり得ます。
表側矯正には種類がある
表側矯正(ワイヤー矯正)は最もメジャーな矯正ですが、実は細かい違いがあります。
矯正装置の種類が異なることが主になりますが、矯正装置の見た目や特徴の違いだけでなく、費用にも差が出てくるのです。
ブラケットの種類
表側矯正(ワイヤー矯正)で最も大きな違いは「ブラケットの種類」です。使う材料により見た目で大きな影響が出ます。
メタルブラケット
メタルブラケットは昔ながらのワイヤー矯正で装着する金属製ブラケットです。
金属製のため歯につけるとやや目立ちやすいですが、数あるブラケットの素材の中では安く、矯正治療を少しでも安くすませたい患者さんにもおすすめです。
プラスチックブラケット
プラスチックでできたブラケットのことです。
プラスチックのため半透明で、歯につけても目立ちにくくなります。
メタルブラケットよりはやや高額になる傾向にありますが、次で紹介するセラミックブラケットやジルコニアブラケットに比べると安価にすみます。
ただし、プラスチックのため着色しやすく、矯正治療が長くなるにつれてブラケットに色がついてしまうことがあります。
セラミックブラケット
セラミックでできたブラケットのことです。
セラミックとはお茶碗やお皿などのような陶器をイメージすると分かりやすいです。
プラスチックブラケットに比べ、陶器のため着色がしにくいのも特徴です。硬くて頑丈でもあります。
メタルブラケット・プラスチックブラケットよりも高額ですが、歯の色に近いため目立ちにくい表側矯正を受けることができますよ。
セラミックブラケット
セラミックでできたブラケットのことです。
セラミックとはお茶碗やお皿などのような陶器をイメージすると分かりやすいです。
プラスチックブラケットに比べ、陶器のため着色がしにくいのも特徴です。硬くて頑丈でもあります。
メタルブラケット・プラスチックブラケットよりも高額ですが、歯の色に近いため目立ちにくい表側矯正を受けることができますよ。
ジルコニアブラケット
セラミック同様白いブラケットですが、セラミック以上の強度が期待できるのがジルコニアブラケットです。
ジルコニアはダイヤモンドと同等の硬さを誇るといわれており、白く審美的なブラケットの中では壊れにくい素材です。
値段はプラスチックブラケット・セラミックブラケットに比べて高額ですが、強度が高く、見た目が良いメリットの両方を兼ね備えています。
ワイヤー
ブラケットの次に見た目で目立ちやすいのが、ブラケットの中を通されているワイヤーではないでしょうか。
ワイヤーも太さ、強度、色などさまざまな種類があります。
ここでは、費用に影響しやすい「ワイヤーの色」についてご紹介します。
メタルワイヤー
メタルワイヤーは一般的な矯正治療で用いられる銀色のワイヤーです。
メタルブラケットと同じく目立ちやすいですが、ワイヤーの中では安くすみます。
ホワイトワイヤー
ホワイトワイヤーは見た目が白いワイヤーです。
基本的にはメタルワイヤーに白い金属でコーティングしているため、硬いものを食べたりしてコーティングが剥がれると金属のワイヤーが見えることがあります。
治療費はメタルワイヤーに比べて割高ですが、歯と同じ色をしているため目立ちにくい点が大きなメリットです。
ピンクゴールドワイヤー
ピンクゴールドワイヤーは、ややピンク色に寄せた金色のワイヤーです。
ホワイトワイヤーとは異なり歯と同じ色ではありませんが、歯が黄色がかっている場合にピンクやイエローのゴールドワイヤーの方が見た目が目立ちにくいです。
ワイヤーの色を隠すよりも口腔内と調和させて目立血にくくする色味が特徴的なワイヤーです。
イエローゴールドワイヤー
イエローゴールドワイヤーは黄色に寄せた金色のワイヤーです。
口の中全体が明るくなるため、自然光の中では目立ちにくくなります。
まとめ
矯正治療の費用は各歯科医院によってさまざまであり、また、使用する器具や患者さんのお口の状態によっても大きく金額が異なります。
相談や検査が有料の歯科医院もあり、複数の歯科医院で相談することを避けたいと思うかもしれませんが、高額な治療だからこそ、複数の歯科医院で相談して医師の意見を聞き、自分が納得できる治療計画を提案してくれる歯科医院で矯正歯科治療を受けてみてくださいね。
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