加齢とともに歯並びが悪化! 原因と対処法を解説

加齢とともに歯並びが悪化! 原因と対処法を解説

他人から見られた時も、自分で見た時にもきれいだ、健康だと思える口元になりたいですよね。

子供の頃から歯並びも良くて口元が気になったことなんてなかったのに、大人になったら急に口元が気になるようになった…。
でも、もう大人なのにそんなに急に口元が変わることなんてあるの?

そう思っていませんか?
口元は大人になるにつれて変化したり、大人になったからこそ変化することもあるんです!

大人になってから口元が変わる原因や、その対処法をご紹介します。

監修医師

記事監修:古川雄亮

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開

目次

  1. 大人なってからでも歯並びは悪化する?
  2. 歯並びが悪化する原因9つ
  3. 歯並びを悪化させないためには?
  4. 既に悪化している歯並びの場合
  5. まとめ

大人なってからでも歯並びは悪化する?

大人なってからでも歯並びは悪化する?

身長や骨の成長は大人になったら止まるとよく言いますよね。

それなら歯並びも、永久歯に生え変わり成長期を過ぎたら歯並びや顎の骨格は変わらないのでは?
と、思われる方も多いかもしれません。

ですが、口元は大人になるにつれて、年齢を重ねるからこそ、成長とは別の理由で歯が動いたり口元の印象が変わることがあるんです。

よく耳にするのは、口周りのたるみによる印象の変化や、歯茎の衰えによる見た目の変化ですよね。
これらも確かに、大人になるにつれて起こる口元の変化です。

しかし、大人になってからの口元の変化はこれだけではありません。
「歯並び」が変化することもあり得るんです。

もう成長していないのになぜ歯並びが変わるのでしょうか?
大人になってからの歯並びの変化は老化によるものだけではありません。
大人になってから歯並びが変わる原因をみていきましょう。

歯並びが悪化する原因9つ

歯並びが悪化する原因9つ

大人になってから歯並びが変わってしまう原因はさまざま。
代表的なよくある原因9つを紹介します。

頬杖をつく

頬杖をつく

授業中や仕事中、ボーっとしているときに、つい頬杖をついていませんか?

頬杖をついている間、顎の骨や手が当たっている部分の歯は押され続けています。
成人の頭の重さは約4~6㎏と言われており、それだけの力が長時間歯に加わるので、歯が動いてしまうことがあります。
また、顎の骨の位置が歪むことで歯並びが悪く見えるようになることも。

毎日のうつぶせ寝や横向き寝も同様に、歯並びが悪くなる原因になりますよ。

爪を噛む

爪を噛む

爪を噛む動作は、上の前歯を前後に動かす力が加わってしまうため、歯並びを悪くする傾向にあります。
爪の噛み癖によって、上下の前歯がうまく噛み合わなくなることも。

唇を噛んでしまう癖がある場合も同様です。下唇を噛むと、上の前歯が前に動く方向に力が加わります。
また、爪を噛むことで歯がすり減ってしまい、見た目が悪くなることもあります。

歯ぎしり

歯ぎしり

噛む力(咬合力)は人間の体重くらい強い力がかかります。無意識に歯ぎしりをすることで歯が動いてしまい、歯並びが乱れることがあるかもしれません。

また、歯がすり減ったり欠けることで歯の形が崩れて見た目が悪くなることがあるほか、歯の根が割れてしまい抜歯になり、歯並びに影響を及ぼすこともあります。

口周りの筋力の低下

口周りの筋力の低下

高齢になるにつれて、身体だけではなく口周りの筋肉も衰えていきます。

舌の筋力が低下すると、舌が下の前歯を押してしまい歯並びが悪くなることがあります。
飲み込むときに上の前歯を押すようにして飲み込む癖がついてしまい、出っ歯になることも。

また、通常は舌が歯を押す力と頬や唇が歯を押さえる力でバランスがとれていることで歯並びが保たれています。
舌の筋力が弱くなると歯が内側に傾きやすくなり、頬の筋力が弱くなると歯が外側に傾く可能性があります。

そのほか、口周りの筋肉が衰えることで、口角が下がったり口周りにしわができて口元の左右非対称感が強まり、歯並びが悪く見えてしまうこともあるかもしれませんね。

歯周病

歯周病

歯周病は歯茎が下がるだけではなく、歯を支える骨(歯槽骨)も溶けてしまいます。
そのため、支えられなくなった歯がぐらついて傾くなど、歯並びが悪くなることがあります。

また、歯周病によって歯槽骨が溶けることによって歯茎が痩せ、歯と歯の間の隙間が大きくなったり見た目が悪くなることも。
歯周病が進行すると、最悪の場合、歯が抜けてしまうこともあり、歯並びが悪くなる原因となります。

虫歯の放置

虫歯の放置

虫歯を放置してしまい、歯が溶けてなくなる・歯を抜くことになると、虫歯で抜いた歯と隣り合う歯は、なくなったスペースに移動していきます。
虫歯の歯と噛み合っていた歯は、少しずつ伸びて出てきます(これと挺出といいます)。

また、虫歯の痛みを避けるために虫歯がないほうばかりで噛んでいると、噛む筋肉やお口周りの筋肉のバランスが崩れ、歯並びが悪くなることがあります(顎関節症の原因にもなり得ます)。

抜歯後の放置

抜歯後の放置

歯は、あいているスペースに移動する性質があります。

虫歯や歯周病以外でもぶつけて歯がとれたなどの理由で歯を失った後にそのままにしていると、抜歯した場所の隣の歯が傾いてきたり、移動して歯並びが悪くなる原因になります。

親知らず

親知らず

親知らずが横を向いて生えている場合や、親知らずが生えるスペースが十分にない場合、前から7番目の歯(親知らずを含めて奥から2番目の歯)の第二大臼歯を親知らずが押してしまい、歯並びが悪くなると言われています。

詰め物や被せ物が合わない

詰め物や被せ物が合わない

虫歯の治療などで詰め物や被せ物の高さが合わない、何日経っても歯と歯の間が窮屈な感じがするなどの不具合があるまま放置すると、歯並びが変わってしまう可能性があります。

歯並びが悪くなる気付いていない原因

大人になってから歯並びが悪くなってしまう原因は意外とたくさんありますよね。

知らず知らずのうちにしてしまっている癖や習慣が歯並びを悪くしているかも。
また、患者さん自身が気が付いていないうちに罹っていたり、これくらいなら放っておいても…と放置している虫歯や歯周病が原因のこともあるかもしれません。

歯並びを悪化させないためには?

でも、少しでも歯並びが悪くならないよう、見た目が悪くならないようにしたいですよね。

どうしたら、大人になってからの歯並びの悪化を防げるのか?
対処法をご紹介します。

癖を直す

癖を直す

まずは無意識のうちに頬杖をついていないか、眠る姿勢はどうか、爪や唇を噛んでしまっていないか、などを確認してみましょう。
癖に気が付いたら、意識して癖を改善してくださいね。

爪を噛んでしまう場合は、マニキュアを塗るなどして噛めない爪にしてしまうのも効果的。
唇を噛んでしまう場合は、マウスピースを装着したり、リップメイクをしてみるのがおすすめです。

舌の癖は自分ではわかりにくいもの。
MFT(口腔筋機能療法)を行っている歯科医院では、舌の癖の検査や診断、癖の改善のための治療やトレーニングを受けることができますよ。

対症療法を利用する

対症療法を利用する

歯ぎしりは寝ているときや集中しているときに無意識に行っていることも多く、意識的に治すのはなかなか難しいもの。
そのため、マウスピースを装着して歯への負担をなくすなど対症療法がおすすめです。

歯科治療を中断しない

歯科治療を中断しない

歯科治療を中断してしまうことは、歯並びを悪くする大きな原因です。

虫歯はきちんと最終的な詰め物・被せ物を入れるまで治療を受けましょう。
また、詰め物や被せ物に違和感がある場合は担当の歯科医師と相談し、必要があれば再治療を受けてくださいね。
歯周病も同様に、途中で治療中断してしまうと再び歯周病が悪化して気づいたら歯が動揺しているなんてこともあるので、注意してください。

抜歯をした場合は、抜歯をして終わりではなく、失った歯を補う治療を行いましょう。入れ歯やブリッジ、インプラントなどの処置が必要です。
親知らずや第二大臼歯など、失った歯を補う必要がないと医師が判断しない限り、抜いたまま放置するのは歯並びや噛み合わせを悪くしてしまいます。

患者さんとしては、痛みがなくなったら終了など治療を自己判断で中断したくなるタイミングもあるかもしれませんが、最後までしっかり歯科治療を受けるようにしてくださいね。

定期健診を受ける

定期健診を受ける

定期検診を受けることで、患者さん自身が気付いていない虫歯や歯周病などが発見され、歯並びが悪くなる前に歯科治療を開始できる可能性があります。
被せ物や詰め物が合っているかどうかなどのチェックを受けることもできますよ。

また、もしも歯並びが悪くなってきていた場合も、定期検診で早めに発見されることで対症療法で解決できたり、癖を直して悪化を防げるかもしれません。

定期検診は歯並びはもちろん、お口の中の状態を良好に保つためにもぜひしっかり受けたいですね。

既に悪化している歯並びの場合

既に悪化している歯並びの場合

既に歯並びが悪化している場合も、まずは癖を直しておきましょう。

悪くなってしまった歯並びは矯正治療で治すことになりますが、癖があるままでは矯正治療後もまた歯並びが悪くなってしまいます。
癖を直しておくことで、思うように治療が進まないといったトラブルの予防や、治療後の後戻りを軽減することができますよ。

矯正治療で悪くなった歯並びを治す時は、治療のゴールを明確に決めておきましょう。
歯並びが悪くなる前の状態に戻したいのか、より理想の歯並びがあるのかによって治療方針が変わることも。

大人になると矯正できない、高齢だと矯正できないと耳にする事もありますが、基本的に矯正治療は何歳でも受けることは可能です(患者さんのお口の中の状態や飲んでいる薬によっては治療が受けられないこともあります)。
まずは、矯正歯科医院で相談してみましょう!

まとめ

歯並びの悪さは遺伝や子供の頃の習慣だけでなく、大人になってからの癖やお口の状態によって起こることもあるんですね。

歯並びを含めた口元はその人の印象や顔の印象を大きく左右する部分とも言われています。
歯並びを悪化させないためにも、日々の癖やちょっとした動作を気を付けてみましょう。

既に歯並びが悪くて口元が気になる方も治療で改善できるかも。
まずは歯科医院で気になる点を相談してみてくださいね。

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