口ゴボの治療・改善 整形と外科矯正の違い
口元が盛り上がっている口ゴボ。
口ゴボを治すためにはさまざまな治療法があります。
顎の骨の位置から治す口ゴボの治療は、整形と外科矯正で何が違うのでしょうか?
どちらを選べばいいかお悩みの方も多いはず。
今回は整形と外科矯正の違いや、それぞれのメリット・デメリットについて紹介します。
公開日:2021/08/30
監修医師
歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。
目次
口ゴボ治療は整形と外科矯正で違う?
整形(美容整形)
整形による口ゴボ治療は、見た目を改善するために行うものです。
基本的に誰でも治療を受けることができますよ。
ほかの美容医療と同様に、公的医療保険が適用されることはありません。
また、歯並びや噛み合わせを考慮することは少なく、とにかく見た目を理想通りにするための手術と言えるでしょう。
整形は歯や顎、お口のプロではなく美容整形(見た目を整える)のプロが行います。
整形を受けたい場合は歯科・口腔外科ではなく、整形外科・美容整形クリニックの受診となります。
外科矯正
外科矯正の場合は、顎変形症と診断された場合は公的医療保険を適用して治療を受けることができますよ。
公的医療保険は「お口の機能の改善」のために適用されます。
お口の機能の改善には歯並びや噛み合わせの治療も含まれているため、外科矯正では歯列矯正を併用して行われるケースがほとんどです。
手術前に手術のための歯並びにする矯正治療、手術後にはお口の機能を十分に発揮するための歯列矯正を行うため、整形に比べて長期間かかります。
外科矯正治療では見た目も含めた噛み合わせの改善を行うことが大きな特徴です。
口ゴボを整形で治すメリット
外科矯正と比べた整形のメリットをご紹介します!
口ゴボの整形は治療期間が短期間で終わる傾向
外科矯正と違って手術前後の矯正期間が存在しないため、治療期間は早ければ1日以内とかなり短く済みます。
また、ケースによっては入院が不要なことも。
外科矯正は約2~3年と長期間に及ぶ治療方法であるため、整形はそれに比べるとかなりの手軽さがあります。
口ゴボの整形は入院の必要がない可能性もある
また、外科矯正を行う場合は手術に備えて入院する必要があります。
その一方で、整形の場合は施術内容によって治療自体が短期間で終了するため、入院する必要が生じない点もメリットとなります。
外科矯正手術に比べて安価になることも
整形には公的医療保険は適用されませんが、施術内容によっては金銭面での負担は軽くなる傾向にあります。
整形では歯並びを治さないため、その分外科矯正よりも安価に済むことも多いようです。
顔の見た目・綺麗さを考慮した手術ができる
整形の場合は歯並びや噛み合わせよりも、見た目のきれいさやバランスを優先して手術を行うことができます。
口ゴボで見た目にコンプレックスを感じている場合は、理想の見た目になれるというのは大きなメリットですよね。
口ゴボを整形で治すデメリット
口ゴボを整形で治すメリットをご紹介してきたので、外科矯正よりも整形のほうがいい!と感じた方も多いのではないでしょうか。
たしかに見た目をきれいにしてくれる整形が理想的に思えますよね。
でも、整形による口ゴボ治療にはデメリットもあります。
いい点だけではなく悪い点もしっかり理解して治療を選んでくださいね。
嚙み合わせを考慮してもらえない可能性がある
整形治療で重視するのはあくまで顔の見た目です。
理想の見た目にしたために、うまく噛み合わない、一部の歯に強く負担がかかる噛み合わせになってしまうことも。
手術直後には見た目に満足していても、期間が経つにつれて違和感が出てきたり、過剰に力がかかっている歯の根が割れるなど最悪歯がダメになってしまう可能性もあります。
歯を削る可能性がある
外科矯正は、できる限り天然歯を大事にする方向で治療を進めます。
そのため、歯を削る事態を極力避けることができます。
しかし整形の場合は、短期間で見た目の改善を図ることが目的となります。
全体のバランスを整えたり、理想の見た目に近付けるために歯を削って治療をおこなうこともあります。
また、整形の後に被せ物で噛み合わせを調整することもあり、被せ物を被せるために大きく歯を削られてしまうこともあります。
歯の間に隙間が空いたままになる
外科矯正の場合は、術前・術後に歯列矯正を行うため、抜歯した部分や隙間が空いた部分を最終的には調整してなくすことができます。
しかし、整形では歯と歯の間の隙間が残ることがあります。
抜歯後に顎を動かしても、隙間がすべて埋まるとはかぎりません。
また、この隙間を埋めるために被せ物で治療することもあり、結果的に歯の寿命を短くしてしまうことも考えられます。
以上のように、口ゴボを整形で治療するにはデメリットも多くあります。
見た目にこだわりたいのは悪いことではありませんが、それだけで安易に整形を行ってしまうのは避けたほうがいいかもしれませんね。
「じゃあ結局整形と外科矯正どちらを選んだらいいの?」という方に向けて、選ぶ時に考えてほしいポイントをご紹介します。
整形と外科矯正で迷ったら理想のお口を考える
整形と外科矯正にはそれぞれメリット・デメリットが存在し、絶対にこちらを選ぶべき!というものではありません。
治療を選ぶのは、患者さんの希望次第なのです。
整形と外科矯正のどちらの方がより自分の理想に近い結果となるかを考えて選んでください。
自分自身の歯を大事にしたい、口ゴボを治すことでお口の機能を改善したい、健康を重視したい場合など、見た目だけではなく健康を考える方は外科矯正を選んでみてはいかがでしょうか。
とにかく理想の見た目になりたい、治療期間に矯正器具を付けることが強いストレスとなるなど、お口の機能よりも見た目を重視したい場合は整形を選んでみてはいかがでしょうか。
どちらの治療にもメリットデメリットは必ずあります。
迷う場合は医師へ相談し、よく理解し考えたうえで治療を選択してくださいね。
歯列矯正では治らない口ゴボ
手術に抵抗があるため歯列矯正だけで口ゴボを治したい、歯列矯正だけで治った人を見たというご相談が多くあります。
確かに歯並びが問題で口ゴボになっている場合は歯列矯正のみで口ゴボを改善することができますが、骨格に原因がある場合は歯列矯正では口ゴボを治すことはできません。
歯列矯正のみを行っても、やや改善するか治らないという結果になってしまいます。
骨格が原因の口ゴボは、整形や外科矯正での治療が必要です。
自分の口ゴボの原因や、口ゴボの程度が軽度なのか重度なのかについても確認しておくと良いでしょう。
また、歯列矯正で治ると言われた場合、見た目にどのくらいの変化が生じるのか、どの程度理想の口元に近付くのかをよく相談してみてくださいね。
まとめ
一概に口ゴボといっても、患者さんの口ゴボの程度や顎の状態によって最適な治療異なります。
合わない治療法を選んでしまうと、後々後悔するかもしれません。
「韓国などで安く整形ができるから」「早く治療が受けられるから」といった理由で安易に選ばず、治療後の理想をよく考えて後悔しない選択をしてくださいね。
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