矯正は老後のお口のためになる!将来に備える矯正のすすめ

矯正は老後のお口のためになる!将来に備える矯正のすすめ

80歳まで20本の歯を残す「8020運動」と呼ばれる考え方がありますが、8020を叶えるためには具体的にはどのような対策をすればよいのでしょうか?長く健康な歯を保つためには、日々の歯磨きや定期検診などはもちろんですが、歯並びに問題を抱えている場合は矯正治療も有効です。
歯並びをきれいにすることで歯ブラシが隅々まで届くようになるので虫歯や歯周病の予防になるほか、噛み合わせが改善改善することで胃腸への負担も小さくなることがあります。老後も天然歯で食事を楽しみ、健康にもつながる生活を送るためにも、矯正治療を受けることで、将来においてどのようなメリットやデメリットがあるのか知ったうえでご検討いただきたいと思います。

監修医師

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。

目次

  1. 歯列矯正治療が将来のお口に与えるメリット
  2. 歯列矯正治療が将来のお口に与えるデメリット
  3. 抜歯したことを後悔しない?
  4. 将来・老後を考え歯のことで後悔しないために

歯列矯正治療が将来のお口に与えるメリット

歯並びをきれいにすることで、隅々まで歯ブラシの毛先が届くようになったり、フロスを使いやすくなることで、より効率的に歯磨きができるようになり、虫歯や歯周病の予防効果が高まると考えられます。また、噛み合わせも良くなるので噛むことによる力が全部の歯に分散されて歯や顎への負担が少なくなり、肩こりや(緊張型)頭痛といった症状も改善することもあります。
既に歯を失ってしまっている部分がある場合には、矯正治療で歯並びを整えることによって義歯や被せ物をせずに治療ができることがあります。
また、ブリッジや入れ歯を装着するために歯を削ることによって残っている天然歯(自分自身の歯)へ負担がかかります。ブリッジや入れ歯をすることにより残っている天然歯を残せなくなることもありますが、矯正治療を行うことで老後まで天然歯だけで過ごせる場合、より良い治療といえるかもしれません。


歯を失う原因としては歯周病や虫歯などが考えられますが、歯周病は初期段階では自覚症状が少なく、気付かないうちに進行していることがあります。定期的に歯科医院へ通って精密検査を受け、歯周病などの早期発見・早期治療につなげましょう。

歯列矯正治療が将来のお口に与えるデメリット

矯正治療はメリットばかりではなく、デメリットもあります。
まず、矯正装置を取り付けることで歯を磨きづらくなり、矯正治療中に虫歯や歯周病になりやすいという欠点があります。そのため、矯正治療を始める前に虫歯や歯周病の治療から始めるケースもあります。
また、矯正治療だけが原因ではありませんが、患者さんの状態や治療内容によっては、歯茎が下がっていくこと(歯肉退縮)のリスクを高まります。
そのほか、歯根吸収(歯の根に刺激が加わることによって短くなる)を促す可能性や、大人になってから側方拡大を行うことによって噛み合わ悪化などのリスクが挙げられます。
しかし適切な矯正治療を受ければ、デメリット以上に大きなメリットがあるでしょう。
矯正治療はここに挙げたような副作用が必ず起きるわけではありません。矯正治療を行う上で心配なことがある場合は、歯科医師に相談しましょう。

抜歯したことを後悔しない?

矯正治療では、歯を動かすためのスペースが不足している場合、健康な天然歯を抜歯することがあります。しかし、インターネットなどでは「抜歯をするのは良くない」といった意見も見られます。
「健康な歯を抜歯したら、将来後悔することにならないか」とお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
矯正治療では、基本的に天然歯はなるべく残す治療方法が重視される傾向にあります。
健康な歯を抜かなければならないと歯科医師が判断した場合は、抜歯の必要性などを患者さんに説明し、患者さんが納得してから治療をするという形が一般的だと思われます。

矯正治療では、抜歯した部分に親知らずを移植することがあります。また、矯正治療では親知らずを抜くケースが多く見られます。
親知らずは、歯並びや噛み合わせにはそれほど貢献している歯ではありません。そのため、親知らずを抜いたとしても、歯やお口の機能にはそれほど影響がないと考えられています。また、外科矯正が必要である場合や奥歯を後方に移動させたい場合など、症例によっては親知らずが残ったままでは矯正ができない場合も存在します。

一方で、親知らずを抜歯することのリスクとしては、親知らずの根っこの近くを通っている顎の血管や神経を傷つけてしまう可能性が挙げられます。そのほか、痛みや腫れといった症状が長く続くことがあるなど、予後が悪いケースもあります。心配な場合は、診察時に親知らずの状況について歯科医師に確認するとよいでしょう。

将来・老後を考え歯のことで後悔しないために

矯正治療は、治療期間が長期にわたるだけでなく、矯正した歯の位置から後戻りしないように保定期間(観察期間)が設けられています。長い時間をかけて矯正しても、歯並びが元に戻っては後悔してしまうことになるので、矯正後の保定をしっかり行いましょう。
保定期間はリテーナーと呼ばれる保定装置を、歯科医師の指示に従って装着するようにしてください(取り外しができない固定式のリテーナーの装着の場合、半永久をオススメします)。また、しっかり歯磨きをすることや、定期検診を受けて後戻りしていないかチェックを受けることも大切です。
また、矯正治療後に虫歯や歯周病が進行すると歯並びが乱れる可能性もあります。虫歯や歯周病が気付かないうちに進行しないようにするためにも、定期検診を受けましょう。

矯正治療を行っている歯科医院はたくさんあるため、選ぶのは難しいかと思います。歯科医院選びのポイントとしては、矯正治療の治療方針やメリット・デメリットを詳しく説明してくれるという点が挙げられるでしょう。
ひとつの歯科医院だけでなく、複数の歯科医院でお話を聞くこともおすすめです。
矯正治療は老後の健康にも影響します。長く歯を守っていくためにも、まずはご自身の歯並びがどのような状態になっているのか歯科医院で診てもらってはいかがでしょうか。

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