神宮前矯正歯科

歯列矯正リテーナー|種類目的からトラブルまで一挙まとめ

矯正治療の費用相場と医療費控除のポイントを解説

歯列矯正は装置が外れたら終わりではなく、リテーナー(保定装置)で歯や噛み合わせを維持させる期間があります。この期間を「保定期間」といいます。実はこの保定期間がとても大切。この期間の過ごし方によって、きれいな歯並びを長く保てるかが決まります。

ここではリテーナーの目的や種類、期間、なくした時や壊れた時のトラブル対処法についてもご紹介しています。既にリテーナーをご使用中の方、これから矯正を始める方に役立つ内容となっています。

更新日:2019/11/19

リテーナー(保定装置)とは

矯正装置で動かした歯を安定させる大切な装置

矯正装置を取り外した直後の歯は周囲の骨が安定していないため動きやすく、治療前の元の位置に戻ろうとします。これを「後戻り」と呼んでいます。リテーナーは治療後の後戻りを防ぐ装置として、歯や周囲の組織を正しい位置に維持させることを目的としています。つまり、 リテーナーは矯正で整った歯並びや噛み合わせをキープし、治療の仕上げを担う大切な装置。この保定期間を経てやっと「矯正が終了した」といえるのです。

そもそも、なぜ後戻りは起こるの?

矯正装置によって一定の力を掛け続けると、歯の周りの骨(歯槽骨)が溶けはじめ、その溶けてできた隙間に新しい骨ができることで歯が動きます。そのため、歯列矯正が終了した後もしばらくは、歯の周りの骨がしっかり詰まっておらず不安定な状態です。さらに、歯と歯茎を結んでいる繊維は変化しにくく、矯正前の歯の位置を記憶しています。だから、治療によって歯の位置が変わっても、周囲の組織は以前の記憶を残したまま。そのため、歯列矯正で歯並びがきれいに並んでも治療前の歯並びに戻ろうとする力が働きやすく、後戻りが起きやすいのです。

周囲の組織に 「ここが新しい位置ですよ!」と記憶をアッデートさせ馴染ませるには時間がかかります。だからこそ、矯正装置を外した後は「リテーナー」でしっかりガードして、正しい位置に歯をとどめておく必要があるのです。

リテーナーの種類と特徴について

リテーナーは大きくわけて2つの種類があり、歯並びやお口の状態によって使用する種類が異なります。以下にて、それぞれの特徴を解説します。

可撤式リテーナー(ベッグタイプ・ホーレータイプ)

可撤式のリテーナーは取り外しができることが特徴です。ワイヤーで歯を抑えながらプラスチックで歯茎を覆うタイプ(ベッグタイプ)や、後戻りがしやすい前歯のみを抑えるタイプ(ホーレータイプ)、歯列全体を透明なマウスピースで覆うタイプがあります。どのタイプの可撤式リテーナーも着脱が面倒なことが難点ですが、食事や歯みがきの時は外せるのでスッキリ。きれいに清掃できるので、清潔な状態を保つことができます。

固定式リテーナー(フィックスタイプ)

固定式タイプのリテーナーは「フィックスタイプ」とも呼ばれており、細い針金を歯の裏側に接着します。固定式のフィックスタイプは歯の裏側に針金を固定するので正面から見えず、取外しの面倒もありません。ただし、歯の裏側に固定されているので歯みがきが難しく、針金の周囲に歯垢が溜まりやすいことが欠点です。日頃の丁寧な歯磨きはもちろんのこと、歯医者さんで定期的なクリーニングが必要です。

ベッグタイプリテーナー(可撤式)

一般的に多く使われている取り外しができるリテーナーです。ワイヤーが表側の歯並び全体を包み、裏側からは、透明なプラスチックのプレートが歯列を抑えます。

ホーレータイプリテーナー(可撤式)

べックタイプリテーナーと同様、歯の表側をワイヤーで抑え、裏側をプラスチックのプレートで抑える取り外し可能なリテーナーです。後戻りのしやすい前歯のみを表側からワイヤーで抑えています。

クリアリテーナー(可撤式)

リテーナーの中には、取り外しのできるマウスピースタイプのものがあります。別名、「ソフトリテーナ」、「インビジブルリテーナー」、「トゥースポジショナー」などともいわれています。アクリル樹脂やラバー系の材料でできており、透明で目立ちにくいのが特徴です。

フィックスタイプ (固定式)

自分では取り外しのできないタイプのリテーナーです。歯の裏側に専用の接着剤でワイヤーを固定して後戻りを防ぎます。取り外し式のリテーナーよりも装置が小さく、目立ちにくいのが特徴です。

リテーナーは一生使うの?装着期間はどれくらい?

歯列矯正によって移動した歯が後戻りを起こさないように、歯の周囲の骨や筋肉を安定させる期間を「保定期間」といいます。リテーナーはこの保定期間に使用します。保定期間(リテーナーの装着期間)は個人差がありますが、一般的には矯正期間と同じくらいの期間が必要であるといわれています。

リテーナー卒業までの流れ

歯列矯正が無事に終了しリテーナーを使い始めたばかりの頃は、食事の時と歯みがき時を除く24時間の装着がより良いとされています。半年~1年が経過した頃から「夜だけ」「寝るときだけ」「週2~3日だけ」というように徐々に装着時間を短くしていき、1週間のうち数時間程度の使用となるように装着時間を減らしていきます。最終的にはリテーナーも卒業。晴れて歯列矯正が完了となるのです。

「後戻りのしやすさ」は歯並びや口周囲の筋肉、舌癖、生活習慣などの影響を受けやすく、個人差があるため、リテーナー卒業までの期間は人によってバラツキがあります。場合によっては一生使い続けた方が安心なケースもあります。

長期的な継続をおすすめする理由とは?

歯や歯茎、顎の骨などは加齢とともに変化するものです。だからこそ、可能な限り長期的な使用をおすすめします。年齢によるお口の変化に合わせてリテーナーを微調整すれば、整った歯並びを維持できるほか、後戻りのセルフチェックも可能です。「ちょっときついな」「ゆるくなってきたな」など、ちょっとした口腔内の変化にも気づきやすく、万が一後戻りが起きた場合でも小さな修正で済みます。

保定期間が終了したあとも、定期的に歯医者さんで後戻りのチェックを受けることもきれいな歯並びを維持するポイントです。「もう大丈夫だろう」と勝手に判断せずに、歯医者さんの指示に従ってくださいね。

リテーナーのよくあるトラブルと解決法

ブラケットが外れたときの応急処置

リテーナーが矯正後の後戻りを防ぐ大切な装置であることはお分かりいただけたかと思います。可動式のリテーナーは自分のタイミングで自由に取外しが可能なため、ついつい装着をさぼりがちになってしまう方も多いのではないでしょうか。 もし、リテーナーをさぼってしまったら、うっかり失くしてしまったら、あるいは壊れてしまったらどのように対処すればよいか。以下にて解決のヒントをご紹介します。

リテーナーをさぼった

まずはリテーナーを装着してみましょう。多少「きつさ」を感じても、以前と変わらず装着できれば後戻りが起きている心配はないでしょう。微細な歯の移動は再びリテーナーを装着することでリカバリーできます。歯の移動を軌道修正し、もとの正しい歯列に誘導することもリテーナーの役割のひとつです。

もしも、リテーナーの装着に「痛みを感じる」「浮いている」「ピッタリフィットしない」などといった違和感や痛みがある場合は、さぼった期間に「後戻り」が進んでしまったのかもしれません。リテーナーを装着していない期間が長ければ長いほど歯並びに影響が出てきます。状態によっては治療のやり直しになる可能性もあるため、できるだけ早いタイミングで歯医者さんのチェックを受けてください。

リテーナーが壊れた

「ワイヤーが歪んでいる」「プラスチックが割れた」など、明らかなリテーナーの破損はもちろんのこと、ちょっとしたヒビやたわみもできるだけ早いうちに歯医者さんに相談してください。リテーナーはきれいに並んだ歯並びや噛み合わせを維持できるように、お口にフィットするように作られています。ですから、僅かなヒビやヒズミ、ワイヤーのゆがみであっても歯並びに影響が生じる可能性があります。

小さな破損であれば簡単な修理で済むため、その日のうちに元通りに。亀裂や歪みが大きくなればなるほど修理も複雑化し、一から作り直しとなる可能性もあります。現在お使いのリテーナーに何らかのトラブルがある方は無理に装着し続けず、できるだけ早めに歯医者さんを受診するのが得策です。

リテーナーを失くした

リテーナーが壊れてしまった時と同様に、失くしてしまった場合も至急歯医者さんに連絡しましょう。リテーナーを新調するに際し、ある程度時間を要するとお考えください。まずは、かかりつけの歯医者さんに相談し指示を仰いでみましょう。新しいリテーナーが仕上がるまでの暫間的な処置を行ってくれるはずです。

破損や紛失からガードする「リテーナーケース」がおすすめです

ブラケットが外れたときの応急処置

リテーナーの破損や紛失の多くは持ち運びの際に発生するケースが多いようです。外出先での置き忘れや、ポケットやバッグの中でヒビや変形が生じてしまうトラブルが多くみられます。このようなリテーナーの破損や紛失などのトラブルを防ぐためにリテーナーケース(専用ケース)を使いましょう。リテーナーを取り外したあとにきちんとケースに戻す癖をつければ、衛生的かつ安全にリテーナーを持ち運べます。

リテーナーは長期的に使う大切な装置。破損や紛失を回避するためにも丁寧に扱いましょう。小さな食品用の保存ケースでも代用できますが、リテーナーがきちんと収納できる専用ケースがおすすめです。カラフルな色合いの映えるケースも販売されていますよ。

まとめ

「やっと歯列矯正が終わった」と、ひと休みしたい気持ちやリテーナーの装着を面倒に思う気持ち、これから始まる保定期間への不安もあるでしょう。ですが、保定期間も大切な治療の一環。この保定期間の過ごし方によって今後の歯並びの良し悪しが決まります。せっかく時間もお金もかけて整えた歯並びです。リテーナーの装着不足でせっかくのきれいな口元が後戻りしてしまうのは「もったいない」ですよ。

整った歯並びと何でもよく噛める噛み合わせは一生ものの財産です。歯列矯正で手に入れた整った歯並びを守るため、どうかリテーナーの着用を忘れないでくださいね。

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