たーちんさんの相談

カテゴリ:再矯正

歯の倒れ

  • 投稿者 たーちん さん [18才 女性 ] 2022/09/08/ 00:47
  • カテゴリー その他 再矯正 治療済
  • お悩みの歯 上あご右1番 上あご右2番 上あご右3番 上あご左1番 上あご左2番 上あご左3番 下あご右1番 下あご右2番 下あご右3番 下あご左1番 下あご左2番 下あご左3番

私は5.6年ほど前から2年ほど前までワイヤーでの歯列矯正をしていました。元々顎が小さく歯が大きかった為、顎を広げて歯が入るようにする矯正です。矯正が終わって1年ほど経った時から歯が前に倒れ始めていることに気がつきました。舌の位置が悪いと思い意識したのですが、それでも倒れるスピードが変わりませんでした。ずっと通っている矯正歯科クリニックの院長さんには問題ないと言われますが、私自身噛み合わせも悪くなるし自分のコンプレックスになっています。もう一度歯を抜いて元に戻すといった矯正をした方が良いのでしょうか。

矯正には抜歯、非抜歯とありますが最初の診断で決まります。
顎に対して相対的に歯の大きい方は抜歯のケースになることが多いです。
無理矢理顎を広げて並べる学派もあります。
無理矢理広げると口元も出てきて気にされる方も多いです。
もしかしたらこの方法だったのかもしれませんね。
私は、口元も良くしたいし咬合のことも考えると、4番抜歯での治療をした方が良いのかも、と思います。
初めまして、マロニエ矯正歯科クリニックの栗田です。
ご質問にお答え致します。

非抜歯矯正を行なった後で、だんだんと前歯が前方傾斜し始めているのが気になる、ということですね。
一度崩れた歯並びは基本的には戻りません。前歯を引っ込めるためには再矯正が必要になるかと思います。その際に、歯を抜くかどうかですね。

まず第一に、治療後にはリテーナーを使用し続ける必要があり、リテーナーをやめると必ず歯並びが崩れます。抜歯・非抜歯、治療内容や使用装置に関わらず、矯正治療後は後戻りを起こします。移動させた歯がもともと居た位置に戻りたがるためで、後戻りを起こさないように治療後は必ずリテーナーを使用します。このリテーナーをいつまで使用し続けるか、という点に関しては歯科医師によって言うことが変わると思いますが、必ず言えることは「歯並びは一生ものではない」という事です。

人間は歳を取れば必ず老化します。老化現象の中に「歯並びの崩れ」があります。矯正をやってもやらなくても、人間は勝手に歯並びが崩れるように出来ています。つまり、矯正した後の綺麗な歯並びを一生保つためには、一生リテーナーをし続ける以外には方法が無い、ということになります。歯科医師の考え方や医院のシステムによって、リテーナー使用にゴールを設定している矯正歯科が多いですが、エイジングにゴールが無いのでアンチエイジングにもゴールはありません。
リテーナーを一生やった方がいい、という矯正歯科医師が少数派なので、当然大半の矯正患者さんはリテーナー使用をいつしか止め、結果として「矯正治療をやったのに歯並びが崩れた」という人が後を絶ちません。再矯正を行えば、以前と同じかそれ以上に良い歯並びになると思いますが、再治療後にはまたリテーナー使用が待っており、今度はずっと継続することをおすすめします。

リテーナー使用をしないと必ず歯並びは崩れますが、治療方法によって崩れやすい方法もあります。場合によっては患者さん自身が適切にリテーナーを継続しても崩れてしまうこともあります。なので、治療が完了した瞬間の見た目や咬み合わせだけでなく、治療後の安定も考慮したプランニングをしなければなりません。そして、質問者様の叢生(でこぼこ)な歯並びを前歯を前方傾斜させる事で非抜歯で並べる、という治療方法は、治療後に前歯の前方傾斜を起こしやすい治し方でもあります。

治療前の前歯の前方傾斜度合いや、治療後の前歯の前方傾斜度合いがどれほどかはわかりませんが、非抜歯矯正というのは基本的に出っ歯にして治すことになります。スペース不足によって歯並びがでこぼこになるので、治療の際にはスペースを作る必要があります。スペースを作る方法は全部で5種類。抜歯・側方拡大・ディスキング(歯を削る)・遠心移動・前方傾斜です。抜歯が一番大量にスペースを獲得出来ますが、質問者様は非抜歯治療をされました。質問文中には側方拡大とありますが、側方拡大も限界があります。遠心移動やディスキングなども併用した可能性もありますが、でこぼこを治しきるためのスペースが足りない場合、前歯が前方傾斜してフィニッシュします。なので、抜歯以外の方法ではさほどスペースが作れないので、大半の非抜歯矯正は前歯を出っ歯にし、治療前よりも口ゴボ状態にして終わることになります。

もともと口元が引っ込んでいたり、さほどでこぼこが強くない場合は非抜歯矯正がベストプランとなるでしょう。でこぼこがまあまあ強かったり、口元が出気味の人を非抜歯矯正すると、理想的な前歯の傾斜よりも前に倒し込んで治ってしまいます。不適切な非抜歯矯正となると、顔立ちも悪くなり、安定も悪くなってしまいます。もしかしたら質問者様にとって非抜歯矯正は正解では無かったかもしれません。セファロ分析などの適切な検査・診断を経て、抜歯矯正と非抜歯矯正を両方提案され、それぞれのメリット・デメリットや仕上がりについての説明があり、その上で質問者様が非抜歯矯正を選ばれたのなら、仕方がない事です。もし、ちゃんと検査していない、非抜歯矯正しか提案されていなかったのであれば、矯正歯科医師のプランニングや対応が正しかったか疑問があります。

前歯が前に出過ぎると、歯槽骨から歯が飛び出すことになり、歯を支えている骨が少なくなり、歯が動きやすくなります。また、質問者の言うように舌癖も非抜歯矯正の方が出やすくなることもあります。歯を前に出すと口が閉じにくくなり、無意識で口が開くと口呼吸になり、口呼吸をしていると舌が下がりやすくなってしまいます。舌で歯を押し続けていると自分の舌で矯正治療をやっているようなものであり、歯がどんどん前に出てしまうでしょう。前歯が咬まなくなってしまっている様子ですが、開咬になると舌癖は悪化し、より出っ歯により開咬になりやすくなる悪循環に陥ります。

歯は釘と同じく骨にまっすぐ埋まっているので、垂直的な力には強いです。釘を横から叩いていると傾いてきて抜けてしまうように、歯は横からの力に弱いです。なので、矯正治療では理想としている歯の傾斜角度があり、なるべく前歯は立てた方がいいのです。前歯の角度が前方傾斜し過ぎていると、上の前歯は下の前歯によって横から押され、前歯がだんだんと前方傾斜していきますが、これを突き上げと言います。

もしかしたら治療後に前歯が出っ歯になりやすい治し方だった可能性があります。ただでこぼこが治ればいいわけでもありませんし、抜かずに並べばいいわけでも、咬みあっていればいいわけでもありません。前歯の角度や口元の外見、口の閉じやすさ、歯肉の下がりやすさ、術後の安定性なども考慮した上で、様々な要素を総合的に見て治療プランを立てなければいけません。当然、患者さんは抜かないで治す方を希望される事が多いですが、抜歯して歯の本数が減ることは問題がなく、大半の方が抜歯矯正をしているのには理由があります。矯正歯科医師も歯を抜きたいと思っている人はおらず、抜く治療の方が良いから抜歯矯正を提案するわけです。

年齢的に親知らずが第二大臼歯を後ろから押し始めてきて、それによって前歯が出っ歯になっているのかもしれませんし、歯ぎしりなどによっても歯が動くでしょう。もともと舌癖があったのかもしれません。リテーナーの使用を停止していたら歯並びも必ず崩れてしまいます。結果として歯並びは崩れてしまい、再治療せずに元には戻りません。担当の先生が問題ないと言っているのは、問題ないわけではないけれど、再治療するほどではないかという意味です。再治療をするとなると期間もかかりますし、費用の問題もあります。正直めんどくさいわけです。質問者様が希望しないのであれば再治療をしたくないと考えているわけです。前歯が咬んでいれば問題ないですが、咬んでいないのであれば、咬み合わせとしては良い状態では無いはずです。

再治療をしないのであれば、今の状態から悪化しないようにリテーナーをしっかり使うようにしましょう。すでに合わなければ調整するか再作製の必要があるでしょう。
再治療をするのであれば、しっかり検査した上で再プランニングしましょう。非抜歯のままであれば、1回目の治療とほとんど同じ前歯の位置、顔立ちになるでしょう。期間もそこまで長くはかからないかもしれません。抜歯矯正をするとしたら、また2〜3年の治療期間がかかりますが、前歯は引っ込み、口元も引っ込められます。非抜歯矯正をしたけれど、口元を引っ込めたいから抜歯矯正をやり直したい、という方はよくいらっしゃいます。本来はこういうことにならないように、最初のプランニングの時点で歯科医師・患者のコンセンサスを得ておくべきなのです。

再治療を希望するときに、1回目の矯正を行った矯正歯科に相談するのが費用的には良いと思います。全額矯正治療費を取ることはないでしょうから、ある程度値引いた金額で出来ると思います。歯並びが崩れたことに責任を感じているなら、安価か無料で再治療してくれるかもしれません。
そちらの矯正歯科が信用できない、とするなら他院で行うことになるかと思います。その際は、信用できる矯正歯科を選ぶべきで、慎重になりましょう。矯正治療費用を全額取る所が多いと思いますが、ある程度値引いてくれる矯正歯科もあるかもしれません。
現状、コンプレックスになってしまっているのであれば、しょうがないと諦めて気にしないようにするか、再治療して前以上に良い歯並びにするかどちらかになると思います。質問者様の納得のいく形になればいいと思います。

以上を、ご質問への回答と致します。よろしくお願いします。

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