みーさんの相談

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先天性欠損歯について

右上5番目の歯に永久歯がなく、乳歯がまだ残っています。歯並びと噛み合わせは綺麗な方ですが、数ミリ前歯の正中に隙間があります。抜けたらインプラントと考えていましたが、口元が少し出ているのと口呼吸も改善できるので歯科矯正が良いと歯科医院さんで言われました。矯正は時間がかかるのと、綺麗な歯も抜歯しなければいけない点があるので少し迷っています。ですが、人工物を将来的に挿入するくらいなら自分の歯で治療したほうが良い気もします。いまは乳歯を指で押さえれば少し痛いと言う程度で、食事の際に困ったりはないです。文章では限界があるとは思いますが、このような状況でどのような治療方針が良いでしょうか。

 先天欠損は中央から数えて2番目と5番目の歯に起こりやすいといわれています。
 乳歯が残っている場合、長期間にわたって根の吸収が進まない歯もあれば、根の吸収が進んでしまい抜けてしまう場合もあります。
 みーさんの場合も乳歯を抑えると痛いとのことですから、根の吸収が進んでいることが想定されると思います。
 さらに、口元の突出があるとのことですから、他の永久歯の抜歯が必要になったとしても、口呼吸の軽減や、何より口元に自信が持て笑うことが多くなったといっていただく患者さんを見ていると、十分治療を行った方が将来的な利点が多くあるかと思います。
初めまして、マロニエ矯正歯科クリニックの栗田です。
ご質問にお答え致します。

先天欠如があり、喪失後に補綴して治すか、矯正治療でスペースを閉鎖するかを検討中ということですね。
乳歯は一生残せる歯ではありませんし、人工物も天然歯には敵いません。全て健康な永久歯で歯並びを完成させることは大いにメリットがあることだと思います。
今後の方針について、お話しさせていただければと思います。

まず、矯正をしない場合。
押すと痛みがあるということですが、すでに乳歯の寿命は縮まっているかもしれません。だいたい30〜40歳くらいまで残れば良い方とされているので、あと10年以内くらいには抜けてしまうでしょう。
歯が無くなった後は、すきっ歯にしておくわけにはいきません。本棚から本を抜くと隣の本が倒れてくるように、周囲の歯が動いてしまって歯並び・かみ合わせが崩れてしまいます。
矯正ではないアプローチ法としては、部分入れ歯・ブリッジ・インプラントの3種類があります。歯のダメージは少ないものの、違和感や取り扱いに関して若い方で部分入れ歯を選ぶ人はほとんどいないでしょう。
ブリッジは、両サイドの歯を削ることになります。削ると歯の寿命が短くなりますし、2本支台歯の3本ブリッジだと両サイドの歯にかかる負担も増加します。簡単な方法ですが、やらずに済むなら理想的な方法とは言えません。もって20〜30年くらいです。
インプラントは、チタン製のネジを歯槽骨に埋め込む方法となり、両サイドの歯への負担はありません。1本欠損時には理想的な方法となりますが、手術が必要なことや、結局もって20〜30年程度です。上顎洞が広いなど、歯槽骨の状態によっては処置できません。
人工物は長持ちしないため、複数回作り直しになってしまう可能性があります。今回は先天欠如部のみ言及していますが、他の歯も虫歯などで失えば、同様の展開となります。

では、矯正で治す場合。
欠損部の空間を、歯を動かすことで閉鎖します。歯を動かすのは矯正治療でしか出来ないことです。
ただ、欠損部のみ閉じると全体のバランスが取れないため、欠損部を含め、4本抜歯する必要があります。多くは小臼歯を抜きますが、何本抜歯するのかや、どこの歯を抜くのかは質問者様の歯並び次第となります。歯の本数は減って問題はありませんが、総数が少なくなることを嫌がる方もいます。
また、矯正をすると、全体的な歯並びかみ合わせが改善します。質問者様はかみ合わせは良いとおっしゃっていますが、すきっ歯である以上、完璧ではないはずです。矯正治療をすると現状よりもかみ合わせが良くなり、全体的な歯の寿命を伸ばすことができます。
口呼吸の原因は2つ。鼻の通りが悪いか、口が閉じにくいかです。前者の場合は、矯正で歯を引っ込めても口呼吸は改善しません。後者の場合は、抜歯矯正により歯が引っ込むことで口が閉じやすくなり、鼻呼吸が定着しやすくなるはずです。口元が飛び出して顔立ちが崩れている場合は、口元がスッキリして顔立ちの改善にもつながります。逆に、口元が出ていない人を抜歯矯正すると老け顔になるため、抜歯矯正をすべきではありません。
矯正治療のデメリットは、3年弱かかることです。歯を入れる補綴処置は、数回の処置で完結し、インプラントでも半年程度です。また、歯根吸収・歯肉退縮・歯髄壊死などの副作用もあり、歯磨きもしにくく、痛みもあります。また、治療後はリテーナーで抑えておかないと歯並びは崩れてしまいます。

単純に歯を入れるだけにするのか、全体的に歯を動かしてかみ合わせ・見た目を根底から改善していくのか、どちらが良いかを決めるのは質問者様自身です。一般歯科であえて矯正を勧められたということは、歯科医師から見るとあまり良いかみ合わせではないかもしれません。欠損部のことだけ考えるのであれば、補綴処置がシンプルです。欠損部以外のことも良くしたいのであれば、それは矯正治療にしか出来ないことですから、矯正治療をやりましょう。お金と時間とストレスに見合う価値があると思えばやるべきです。

おそらく、まだ矯正歯科には相談に行ってらっしゃらないかと思われますので、一度矯正歯科に相談に行き、どうするかを決めるといいと思います。
また、今は矯正をやらないと判断しても、いつか乳歯がダメになる日が来ます。そのタイミングが最終決定の時期となります。欠損した状態で放置していると歯槽骨が痩せてしまい、インプラントも矯正も出来なくなってしまいます。また、インプラントやブリッジをすると矯正治療が出来なくなりますので、歯を失った時に完全に方向性が定まります。
歯槽骨さえ健康であれば、何歳からでも矯正は出来るので、乳歯が無くなる時にどっちにするか決める、というのでも良いと思います。もちろん、早く始めた方が早く終わります。

以上を、ご質問への回答と致します。よろしくお願いします。
  • みー(29歳 女性 )
  • 2022年08月03日00時16分
とても詳しく説明して頂きありがとうございます。
何件か歯科矯正カウンセリングに行きました。治療方として4本抜歯する方法と、私が健康な歯を抜くのを心配した発言をしたこともあり、歯並びや噛み合わせは良い方なので乳歯だけを抜いてその奥歯を手前に矯正し、少し歯を削って全体的に歯並びを整える方法を説明していただけました。もし矯正治療を選択するなら一般的な4本抜歯の方法のほうが良いのでしょうか。また、矯正後の後戻りや副作用の心配もあるため、前歯を下げたいと強い希望がないならインプラントでよいという先生もいました。後戻りはリテーナーをつけたら良いとは思いますが、基本的にはいつかはリテーナーをつけずに生活できると考えていて大丈夫でしょうか。
ご回答いたします。

歯を減らしたくないと発言すれば、大半の矯正歯科医師はベストプランではなく非抜歯プランを提示します。
抜歯プランを選ばないなら矯正をしないでいいという矯正歯科医師も出てくるでしょう。
プランが提示される前に強い要望を伝えると、歯科医師の診断を捻じ曲げる可能性があるので注意しましょう。
決めるのは質問者様ですから、歯科医師に診断させたうえで、納得いくプランを選べばいいのです。
そうなると、ほとんどの矯正歯科医師が4本抜歯プランを提案していると思いますが。
数値的におそらく抜歯ケースなのと、乳歯を処分できるというメリットもあります。

前回、提示しませんでしたが、非抜歯矯正プランというのもあります。
前述のように、現状はパーフェクトな咬み合わせではないと思いますし、咬み合わせの改善になります。
また、上顎第二乳臼歯と、上顎第二小臼歯は形が違います。乳歯のままではいい咬み合わせにはなりません。
良好なインプラントを入れるためには、抜歯後に抜歯空隙を矯正で第二小臼歯の幅にするのがベストです。
良いインプラントを入れるために、矯正治療がプラスになります。
質問文にある、6番と7番を前に移動してくるというのは、とてもとても大変で、現実的ではありません。
アンカースクリュー必須で、時間もかかりますし、失敗する可能性もあるのであまりおススメではないです。

矯正治療は時間もかかりますし、費用もかかりますので、もちろんやらないのもいいと思います。
リテーナーの使用は、一生と思ってください。なぜなら、人間の歯並びは老化現象で必ず崩れます。
矯正治療後に歯周組織が安定するのに1年ほどかかるので、後戻り期間はだいたい1年ほどです。
多くの矯正歯科が約2年ほどリテーナーを使用するように説明していると思いますが、
2年たってリテーナーを止めると、そのうち歯並びは崩れていきます。
人間はエイジングで歯並びが崩れるようにできており、リテーナー無くして歯並びをキープすることは不可能です。
最初は毎日ですが、最終的には週一回就寝時のみとなると思います。それを継続しましょう。
矯正をやってもやらなくても歯並びは崩れますので、「崩したくなければ一生使う」と思ってください。
もちろん、矯正治療をやらずにインプラント単独でも、そのうち歯並びは崩れます。
ご相談ありがとうございます。
 右上5番目の永久歯がない部位の乳歯が抜けた場合、インプラント治療か矯正治療がどちらが良いかというご質問ですね。
 ご相談者様の文章がら推測しますとどちらかの治療法ではなく両方の治療が必要ではないかと思います。
 この場合、インプラント治療にも矯正治療にも精通している歯科医に診て頂く必要があると思われます。
 治療そのものよりも本当に両方の治療ができる歯科医もしくは人材の揃っている歯科医院を探す事が患者様にとって難しい問題と思います。
 しかし、頑張って何とか両方が可能な歯科医院を探されてご相談されるのが良いと思います。
 ちなみに自分は日本口腔インプラント学会専門医且つ日本成人矯正歯科学会認定医且つ日本舌側矯正歯科学会認定医でもあります。

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