townさんの相談

カテゴリ:装置・治療法

上顎の前方牽引の適応年齢

10才の息子が骨格性下顎前突の矯正治療を検討中です。

しかし検査を受けた医院の担当医から、10才だと脳みそはほぼ完成している。上顎の成長もほぼ終わっているので骨格にはアプローチできない。と言われました。ちなみに検査結果はANBが約0度でした。

今後の治療法としては、前歯の被覆を正常(上の前歯をかなり傾斜させて、下の前歯に被せる。)にした後で、フェイスマスクを使用するみたいですが、その目的が骨格ではなく歯槽骨にアプローチするというのです。同じフェイスマスクを使用しても、力のかけ方で効果が違う(骨に対しては300g、歯槽骨に対しては100gの力をかける。)とのことでした。

親としてはまだ10才なので骨格的な治療(上顎の牽引)を切望したのですが、この年齢からフェイスマスクで上顎を牽引しても骨ではなく、歯が出てきてしまうのでやりたくない。歯が出てきてしまっても責任が取れないから。の一点張りでした。

10才男子だと上顎の成長はもう終わってしまったのでしょうか?
10才からフェイスマスクを使用しても、上顎の前方成長にはほとんど効果はないのでしょうか?
少しでも上顎を前方に引き出せるような器具や方法がありましたらぜひともご教授ください。
よろしくお願いします。

town 様

記載されている内容はよく理解できます。

上顎骨は脳の成長に影響を受けます。息子様は10歳と言っても11歳に近いのでしょうか?脳の大きさはそれを覆っている頭蓋や頭蓋底などに影響を与えます。頭の骨は神経型の成長をすると言われていて、脳の成長と同期します。上顎骨はその下に縫合でわかれています。神経型の影響を受ける一般型という分類になります。そこで担当医の先生は脳の大きさが成人に近づく時期に上顎骨の成長はほぼ終わると判断したのだと思います。

詳細にわたる検査の内容がないので何とも断定的な事は言えないと言うこと前置きさせてもらいます。私なら上顎骨前方牽引装置(じょうがくこつぜんぽうけんいんそうち)を使用します。ただし半年、一年使用してみて上顎骨の成長に変化がなければその時点で中止します。

上顎骨前方牽引装置は記載されているフェイスマスクタイプの物とホルンタイプの2種類があります。上顎骨の成長促進を主に行うのがフェイシャルマスクタイプです。さらに下顎骨の成長抑制も兼ねるタイプの物がホルンタイプです。

私はホルンタイプの使用例の方が多いです。ANBの値が記載されています。ANBは上下顎骨の相対的な位置関係です。従って上顎と下顎の位置を比較しているとお考えください。従ってホルンタイプの方が私はよく使用します。

担当医の先生が言われるのも事実です。とても厳密に決めている先生ですね。私ならと言う事を記載させてもらいました。理由は骨格的な成長がいつ止まるかと言うのは今の歯科医学をしてもわからないからです。予測がつかないからです。半年、一年前方牽引装置を使用してみてほとんど変化がなければその後結果を説明させて頂いて、これ以上行っても無駄ですから使用をやめましょうと決断します。

私ならこうすると言う事を記載しました。骨格的な作用を期待する装置はいつ使用を停止するかという時期を見定めるのは非常に難しいです。担当医の先生のご判断も否定はできません。
  • town(10歳 男性 学生 )
  • 2016年03月02日19時09分
早速ご回答いただきありがとうございます。

上顎の成長時期について私なりに色々調べてみると、確かに下顎よりは早く終わるけれど、10才で90%と言っている資料もあれば、65%という資料もあり、担当医の言う神経系の発育より遅いことは確かなようでした。
なので上顎へのアプローチが全く無駄であるとは思えなくなってきていました。そこへ先生からのご回答を拝読し、ますますその思いが強くなりました。ちなみに息子は現在10才と2ヶ月を過ぎたところです。

先生にもう少し質問があります。
先生のご経験では、小学校高学年に上顎前方牽引装置を使用するとどの程度効果がみられそうですか? (すみません。感覚的なことで結構です。)

フェイスマスクを使用すると、骨は全く動かず、歯だけが出てきてしまう場合も多いのでしょうか?
マスクを使用して上下の前歯に前後差が出た時、それは骨が出たからなのか、歯が出たからなのか、先生方には解るものでしょうか?
担当医は、上顎はもう成長しないと決めつけているので、歯だけが出てくることを大変恐れているようです。出た歯を下げるには抜くしかないと言われました。
もし歯だけが出てしまった場合、もうどうにもならない事態(二期治療の段階でも不可能)に陥ってしまいますか? 

もう一度担当医に掛け合ってみるつもりです。
取り返しのつかないことにさえならないのなら、成長発育を利用して骨格のバランスを整えたいです。
担当医にどう話せば承諾を得られるかアドバイスをいただけると嬉しいです。
長々とすみません。よろしくお願いします。

Q & Aのスタイルでお答えします。

Q: 先生のご経験では、小学校高学年に上顎前方牽引装置を使用するとどの程度効果がみられそうですか? (すみません。感覚的なことで結構です。)

A:私の経験ですが上顎骨は前方に出てきます。ただしそれがどの患者様にも当てはまるわけではありません。人によって違いがあります。将来お子様がどれだけ成長するか?と言う事について明確な答えを持っている人はいないはずです。従って私なら半年使用してみます。もちろん毎月チェックはします。それで半年後に横顔のレントゲン写真を撮影して上顎骨が前方に成長したかどうかを確認します。その結果によって継続するかどうか判断しても遅くはありません。

Q: フェイスマスクを使用すると、骨は全く動かず、歯だけが出てきてしまう場合も多いのでしょうか?

A: そんな事はありません。上顎骨を前に成長させる目的なあ前歯が前に出て来ないような装置を装着します。目的が上顎骨の前方成長ですから歯は出てほしくありません。そういった工夫をします。

Q: マスクを使用して上下の前歯に前後差が出た時、それは骨が出たからなのか、歯が出たからなのか、先生方には解るものでしょうか?

A: セファログラム(側面頭部X線規格写真)を撮影すればわかります。記載されているようなANBを計測した方法です。歯の傾斜角度もわかります。私なら半年使用して撮影してすべて計測します。その結果で客観的に判断します。

Q: 担当医は、上顎はもう成長しないと決めつけているので、歯だけが出てくることを大変恐れているようです。出た歯を下げるには抜くしかないと言われました。もし歯だけが出てしまった場合、もうどうにもならない事態(二期治療の段階でも不可能)に陥ってしまいますか? 
A: 何度も同じ事を記載する事になりますが。私なら半年使用します。その結果で判断します。もちろんその間患者様の状態は注視して行きます。前歯だけが前に出るようなら装置の使用は中止します。それで手遅れなんて事はありません。それほど緩やかな効果しかありません。


担当医の先生は実際に患者様に会っています。私が記載しているのは実際に会っていない歯科医がアドバイスしている事を忘れないでくさい。もし不安ならセカンドオピニオンをされたらどうですか?他の矯正専門医院に行って先生の意見を聞いてみて下さい。まだ治療が始まっていないなのなら是非行うべきです。セカンドオピニオンは現在は普通の行為です。

ご自身で納得して治療を始めないと良い結果得られません。歯科医とご家族の方の協力、本人の努力が治療には絶対に必要です。
  • town(10歳 男性 学生 )
  • 2016年03月03日16時10分
詳しい説明をいただき大変感謝しています。
マスクを使用して、例え前歯だけが出てしまっても手遅れにはならないことを伺えて安心しました。
ありがとうございました。

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