山ちゃんさんの相談

カテゴリ：装置・治療法

顎関節円板のずれは戻せないですか?

15才の娘が矯正歯科で顎関節のMRIを撮りました。
MRI検査で顎関節の関節円板が転位していた場合は、スプリント療法で転位を治せますか?

顎関節を重視する矯正歯科の先生は、スプリントで顎関節をいい位置に戻した状態で矯正治療を行う方がいい。と仰います。
なるほどと思ったのですが、転位した関節円板はスプリントを使っても戻せないとも仰いました。MRIを撮ったのは現在の円板の位置を確認し、将来的に悪くならないかを確認していくだけだそうです。スプリントの目的は関節頭をいい位置に戻すだけのようです。


他の矯正歯科のHPでスプリントを使って前方転位した円板が戻ったという治療例も見たのですが、実際にはスプリントで、転位した顎関節円板の位置は戻せないのでしょうか?
よろしくお願いします。

山ちゃん　様

顎関節はMRIを撮影しないと円板の位置を確認する事はできません。レントゲンには写らないからです。MRIを撮影したと言うことは何か症状があっての事ですね。

開閉口時にクリック音がするということでしょうか？説明があったかと思いますが口を開けていくと円板が下顎頭前方へ移動します。下顎頭の上に円板が復位（正常な位置に戻る事を言います）した時に音がなります。そして口を閉じてくる時にも大きな音ではないですが、復位した円板が前方に落ちます。元の状態に戻るという事です。この時もかすかに音がなる事があります。行きと帰りで音がするのが普通ですが、帰りは音が小さいので気がつかない事が普通です。

円板には血管や神経はありません。自己再生しない組織です。そこでMRIの検査結果で円板に変形がない。また15歳と言う年齢も考慮してスプリントを入れれば復位したままになると判断できれば行う価値はあると思いますが、すでに変形しているようなら行っても仕方ないと判断できます。自己で修復する能力のない組織だからです。

実はそれ以上前方に円板が移動してしまい、復位しない位置に達してしまうと音はしなくなります。MRIが現れる前にはこの状態を治ったと勘違いしていたようです。

現在は口も開くし、痛みもなければそれほど治療の対象にしないというのが一般的です。MRIの画像によると思います。スプリントで改善するぐらいであれば行う価値はあると思います。
  • 山ちゃん(15歳 女性 学生 ）
  • 2016年02月16日01時22分
アイ矯正歯科クリニック
　福井 一美先生

ご回答ありがとうございます。

精密検査をした矯正歯科は、ロススタディクラブという会に所属されている顎関節をとても重視する先生です。
パノラマでは左に比べ右の関節頭が少し細くなっていたものの、今は顎関節の症状は何もありませんが、その医院では全員にMRIを撮っています。娘は福井先生のご指摘通り、口を閉じた時に円板が前方へ転位し、開口時に戻るという状態でした。その医院では全員にスプリント治療をして顎の位置を整えてから矯正治療に入るそうです。

一方他の矯正歯科では今現在顎関節の症状がなければ、スプリントまでするのはオーバートリートメントなので、今噛んでいる顎の位置で歯を並べるそうです。こちらの医院でも既に検査済で、とてもよい治療方針を提案していただいた(矯正だけを考えたらこちらの医院がいい)のですが、顎関節に対する考え方の違いでどちらの医院にお願いするか決めかねています。

MRIで関節円板が前方にずれてることがわかりましたが、ロスの先生が言われるようにスプリントで円板の位置を戻すことができないのであれば、今症状もないので、スプリントをする必要もないような気がしますが、福井先生はどう思われますか?

このままスプリントしないで矯正すると、顎関節の症状が悪化することもあるでしょうか?

またMRIの画像から、円板の変形が読み取れるものですか?
スプリントを入れれば復位したままになる状態とはどのような状態のことでしょうか?
質問ばかりで恐縮ですが、ご回答いただけると助かります。よろしくお願いします。


山ちゃん　様

私もロスの講習会に参加した経験があります。また私どもが矯正治療を始めた約30年ほど前には顎関節症への治療がはやりのような状態でした。私も色々な講習会に行っては勉強しました。それは今の臨床には役に立っています。ロスグループの先生方は噛み合わせに特に本来の顎の位置を大切に考えられています。

結論から言うと判断は難しいですね。残念ですが結論を下させる先生はいないと思います。

私が日常の臨床でどう行っているか？という事も記載させて頂きます。これは二件の医院に限った話ではありません。これを前置きさせてください。

私は自分の患者様の顎関節症について判断する時は痛みがない事、最大開口量が40�舒幣紊△觧�、さらに運動制限がない事を判断します。現在私は音だけでは加療していません。お嬢様も噛んだ状態で顎を前に出してその後お口を開ければ音は消えるはずです。MRIを撮影しなくても前方に転位している事は比較的容易にわかります。患者様に現在の症状と治療の可能性について説明させてただきます。そして希望する場合はやはりMRI撮影をします。そしてその結果で加療するかどうかを判断をしますが、私はそこで口腔外科医か補綴科（ほてつと読みます。元来は入れ歯や大きなかぶせ物をする科で噛み合わせに詳しい）の先生に相談し治療を依頼します。私自身でシーネやスプリントを入れる事はしていません。それは私に症状の判断というか現状はわかるのですが、やはり専門家に治療に関して譲ります。正直に記載しました。私はまず加療する必要があるか？ないか？の判断をする事だけでにとどめています。

現在は顎関節症が噛み合わせが原因だという意見と全身から来ると言う意見があります。この両者の間で結論は出ていません。また私も様々な要因で顎関節症は起きていると信じています。関節ですから膝の関節や腕の関節もそうですね。単純な物ではないです。ただし顎関節は安静にしておいたりギブスをしたりすることはできません。常に動き続けています。

スプリント治療をする先生はMRIを撮影し顎関節が正常な位置に復位するという判断をなさっているのですね。前回記載したように音は消えますが関節円板は前方に落ちてしまっていたと言う事もあります。これは現在の状態でで山ちゃん様にはっきりとしたアドバイスをできるほど歯科医学は進んでいません。復位できると言うのならスプリント治療も是だと思うし、後者の先生が言われるように治療の必要はないと言うのは現在は多い意見かもしれません。実際に私もその判断に近いです。

迷わせるだけになってしまったかもしれません。ロスグループの先生はスプリントを入れられるとは思います。長文になって申し訳ありません。しかも結論を出せない事をお詫びいたします。

もう一つ問題はお嬢様がきちっとスプリントを使用してくれるか？と言う事もあります。使用するのはお嬢様です。そのことを含めて話し合ってみてください。
  • 山ちゃん(15歳 女性 学生 ）
  • 2016年02月16日12時07分
アイ矯正歯科クリニック
　福井 一美先生

詳しいご説明ありがとうございます。
ロス所属の先生は、スプリントを使っても転位した円板は元には戻せないと仰るので、娘にとってスプリントをやる意味が見いだせなく迷っています。
娘は、現在クリック音も痛みも開口障害もありません。

心配なのは、閉口時の円板の転位と、右側の関節頭の変形です。
関節頭の変形に関しては、実は13才直前から半年間だけ機能的矯正装置で下顎の前方誘導を行いました。その時の検査では下顎が右にずれているということで、右側がより成長するように装置を作りましたので、もしかしたらそれが原因で右の関節頭が変形してしまったのではと思っています。(関節円板がずれてしまったのも機能的矯正で関節頭を引っ張ったせいかも知れません。)
関節頭の変形(左に比べ少し細い)は治療の必要性はあるでしょうか?

ロス所属の先生は、スプリントでは円板の転位は治らないと仰いますが、治る場合もあるのでしょうか?
何度もすみません。よろしければご教授お願いします。






山ちゃん　様

円板は前方を外側翼筋（がいそくよくとつきん）、後方を後部靱帯で引っ張っています。ただ円板がそこにあるだけではありません。円板が前方に落ちていても関節頭の上に何もないとは限りません。

また顎を前方に成長させる装置は下顎を前に出します。そのため顎関節症とは関係ないと思います。起きた原因を明らかにするのも難しいです。そして治療するのも同様です。

これは私の感覚ですが治癒するのは難しいと思います。機能していて痛みがない。その状態で治療するかどうか？がこの問題の焦点ですね。

これは私でも判断できません。いまだに色々な意見と考え方があります。クリアになっていない部分です。お力になれずにすみませんでした。
  • 山ちゃん(15歳 女性 学生 ）
  • 2016年02月16日13時44分
ご相談に乗っていただきありがとうございました。
はじめましてやまちゃん。
銀座矯正歯科の深沢と申します。
ご相談内容拝見致しました。

残念ですがスプリント治療で関節円板が戻ることは一般的には
成功率は低いですね。
戻ることは少ないと言われております。
ただ上手な先生がやれば可能性は高まりますから、その可能性を信じてスプリント治療をされるというのも一つかもしれません。
ただし、仮に戻ったとしてもそれが安定するかどうかは
また別の話で、難しいですね。
ご参考になれば幸いです。

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