そらさん（富山県）の相談

カテゴリ：症状の悩み

矯正治療を開始して3年になり、あと2週間でブラケットが取れることになりました。
見た目は全く問題ないのですが、上下の前歯で物を噛み切ることができません。
前・横から見るととてもきれいに、2ミリほど上下の歯が重なり合ってはいるのですが、下から見るとその重なりに数ミリ空間があります。
担当の先生に相談したところ、「通常、前歯で物を噛み切ることはあまりしない、数ミリの空間があることは許容範囲内なので、この状態で治療を終了しても良いとのこと。もし、どうしても噛み切れるようにしたいのなら、上の歯の側面を少しずつ(最大0.5ミリまで)削って微調整しながらやってみる方法がある」と仰られました。
健康な歯を削るのは嫌だったので、このまま治療を終了しようかとは思っているのですが、やはりたくさんの期間とお金をかけて、前歯で噛み切ることができないのは納得できません。

そこで質問です。
�，海里泙渕Ｎ鼎鮟�了した場合、触れ合っていない前歯2本が徐々に抜けおちてくるなど支障をきたすことはありませんか?
　
�∈錣觴Ｎ鼎梁召忘�の状態の歯を噛み合うようにする方法はありますか?
(先生が仰るには、上下にない歯が1本ずつあるのですが、その無い歯の種類が違うため、残っている歯の大きさが違うため、今のような空間が生じているとのこと。)

��もし削った場合、デメリットはありますか?

�ず８紊亮Ｎ鼎砲弔い董△匹Δ垢譴个いい�、アドバイスをお願いします。

お忙しいかと存じますが、ご回答よろしくお願いします。

そら様　こんにちは。

上顎の犬歯は素直に生えてくれないことが多い歯です。単にはみ出して八重歯になるというだけでなく、そらさんのように骨の中で水平になってしまったり、前歯のところに生えたり、小臼歯のところに生えたりと、様々なケースがあります。犬歯は、顎を左右に動かすときにガイドとなる重要な役割を持っています。でこぼこが非常に大きく、歯を抜いて矯正治療を行わなくてはならない場合でも、犬歯の抜歯を選択することは通常ではありません。しかし、無い場合は仕方が無いので、矯正治療により第一小臼歯を移動して犬歯の代わりをしてもらいます。外から見ると見た目にはそれほど違和感はありませんが、咬み合わせの面の形が違うため、顎を動かしたときに下の歯と干渉してしまう場合があります。最終段階で咬み合わせの調整が必要になることも多いですが、それさえきちんと行えば大丈夫です。

ストリッピングについてですが、削るのは「エナメル質」です。全ての歯は表面にエナメル質があり、その内側に「象牙質」があります。エナメル質の厚さは、歯の種類によって異なり、また個人差もあります。エナメル質と象牙質は色も違いますし、歯科医師ならだれでも区別できます。レントゲン写真での写り方も異なるので、削る前に厚みを確認することも可能です。
削りすぎて象牙質が露出してしまってはいけません。冷水や風の刺激で歯がしみたり、むし歯になりやすくなります。ただ、抜くようなことにはなりません。

ストリッピングは、歯と歯のあいだにやすりをかけて本当にわずかずつ削っていきます。0.5ｍｍ削るのにはかなり時間がかかります。削りすぎるよりも削り足りないくらいのことのほうが多いかもしれません。しかし、むし歯などの治療で使用する「タービン」（キーーンいう音がする器械）を使うと削りすぎる危険は高まります。どんな器具を使用しても、削った量を専用のゲージで測定しながら行えば削りすぎは防げます。ご心配であれば、どんな方法でストリッピングを行うのか担当の先生に確認をしてみるのも良いと思いますよ。

余計なことかもしれませんが、いろいろと心配なことが多い場合には、言いたいことを先生になかなかうまく伝えられず、お互いに誤解を生じてしまうことも多いものです。できれば、質問を整理し紙に書いて先生にお渡しすると良いと思いますよ。そうすれば担当の先生も答えやすいですし、そらさんも理解しやすいと思います。
そらさんにとって良い方向に進むと良いですね！
  • そらさん［富山県 33才 女性］
    • 温かいお返事ありがとうございます。
    犬歯の咬み合わせの件ですが、右上の犬歯は若干前に寄りぎみですが、下の犬歯と小臼歯の間にほぼ咬み込んでいます。左側ですが、犬歯がないのでどう考えていいのかわかりませんが、３番目の上の歯と下の犬歯と小臼歯はうまく咬み合っています。
    私の場合、左上の犬歯はもともと生えずに、鼻の下方に水平埋伏した状態だったため、矯正を始めるにあたって全身麻酔して手術で取り除きました。
    その取り除いた歯が犬歯だったんだと今気づきました。犬歯は抜いてはいけないと聞いたことがあるのですが、犬歯がないと何か大きな問題があるのでしょうか？話が本題からそれてしまって申し訳ありません。
    本題のことですが、次の受信日に前歯で咬み合うまで治療を続けたいという思いを伝えてみようと思います。それで、削る方法しかないなら削ろうと思います。象牙質0.5ミリしか削れないということですが、もともと削られていたりして象牙質の厚みがないかもしれないこととかはないのでしょうか？歯科の先生なら象牙質とエナメル質の違いがわかるのでしょうか？私の場合、削るとするなら前歯ですよね？前歯に象牙質の部分はあるのでしょうか？削りすぎてしまった場合、どうなるのでしょうか？素人には失敗がわかるのでしょうか？その歯はもう抜くしかなくなるのでしょうか？
    きりのない質問になってしまいましたが、先生のご意見いただきたいです。よろしくお願いします。
    そら様　こんにちは。

    咬み合わせが犠牲になるということについてですが、理想的な状態から少々ずれてしまうということで、実際には、日常生活レベルでは支障は無いと思います。矯正治療を受けていない人の多くは、咬み合わせが多少なりともずれているものです。しかし、わざわざ矯正治療をしたのならば、咬み合わせは理想を追い求める必要があります。
    実際にはそらさんのように、個々の歯の問題で理想的にならない場合もありますが、私が最優先に考えるのは、犬歯の咬み合わせが良いことです。具体的には、咬み合わせたときに斜め45度くらいから見て、上顎の犬歯の先が、下の犬歯と一本後ろの小臼歯の間に咬み込んでいる状態を目標とします。歯の数や大きさ、形に問題が無ければ、これで前歯も奥歯も同時にきちんと咬み合います。歯の問題がある場合、この関係を作るためにストリッピングを行うこともあります。
    先ほども申し上げましたが、この犬歯の関係も、多少ずれたからといって咬みにくさを自覚することは無いかもしれません。しかし、術後の安定性や、顎の動きにも関わることなので、私は重要視しています。

    前歯3本が咬み合っていなくて問題ないかということについて。この場合の「問題」は隣の歯に強い力がかかってダメージが出る、ということであるとすれば、担当の先生が問題ないと判断されたならそうだと思います。咬み合わせが強すぎればもちろんダメージとなりますが、咬み合わせの強さの良否は歯科医師ならば判断できるはずです。上下全ての歯が咬み合っていないからといって必ずしもダメージが生じるわけではありませんし、こればかりはお口の動きも含めて診察をしないと判断できません。

    前歯のすき間が後戻りに及ぼす影響については、非常に難しい判断になります。そらさんはもともと前歯にでこぼこが無かったようですので、それほど戻らないかもしれません。歯は、周りからの力が安定した位置に落ちつこうとします。上の前歯であれば、表からは唇の力、裏からは、舌の力、下顎の歯が咬みこむ力、これらのバランスがとれた所で安定します。そらさんの場合、下の歯の力がかかっていないので、上の歯が下の歯に当るまで後ろに動きやすいとも考えられますが、もし治療前から上下にすき間があったとすると、舌を前に出す癖がある可能性も考えられます。この場合、舌の力が強く影響し、現在のすき間がそのまま残る可能性があります。
    しかしながら、いろいろな可能性ばかりの話になってしまうので、正直何とも申し上げられません。

    あくまで個人的な意見ですが、現在犬歯の咬み合わせが良い状態なら、ストリッピングした方が良いでしょう。上顎の犬歯が前にずれている状態なら、上の歯列全体を後方へ移動するのがベストではないでしょうか。（さらに長い期間がかかりますが）
    私の意見はお口も拝見しないでの勝手なものでもありますので、まずは担当の先生のご意見を優先にご検討下さい。

    たくさん悩んだ上での治療だったようですので、いろいろとご心配はおありだと思います。ただ、心配しなくても良いことを考えすぎてしまうと苦しくなってしまいます。細かいことでもひとつひとつクリアにして、最後には楽な気持ちで満足して終われれば良いですね。担当の先生には遠慮なく質問してみましょう。もちろんこの場でのご質問もご遠慮なく！
  • そらさん［富山県 33才 女性］
    • 丁寧なご回答ありがとうございます。
    私もやはりストリッピングには抵抗があるので、まずは上顎を少し後ろへ引っ込めることができないか聞いてみようと思います。

    そこで、ご回答について、２点伺いたく投稿します。

    先生が仰る「側方〜奥歯の咬み合わせが犠牲になる」とはどのようになることなのでしょうか？
    まったく咬めなくなるのでしょうか？部分的に咬みにくくなるのでしょうか？
    先生なら、前歯と奥歯どちらを優先するでしょうか。
    実は、なんとなく上前歯が全体的に前にでているような気がしていたので、
    今度提案してみようと思っています。
    今日、担当医に電話してまだ迷っている旨を伝えました。次回の受診時にブラケットをとるか決めてもいいと言われたので、自分の目で前回撮った写真と模型を見せてもらって確認するつもりです。

    それとは別に、昨日、前歯２本の隣の歯１本も上下に空間があることに気づきました。
    そのためか、最近歯をとじると前歯３本に両隣接する歯に強く力がかかっているような気がします。
    担当医に聞いてみると、問題はないとのことなのですが、本当に３本もかみあっていなくても問題はないのでしょうか？

    私は矯正を開始する時、ヒビがはいっている歯があり、その歯を１本亡くしました。
    もう歯を駄目にはしたくないので、今の状態だと部分的に力が加わりすぎてヒビがはいらないかとても心配です。

    ��回答にございました「今のまま治療を終了すると治療前の状態にもよるが歯並びが安定せず徐々に戻ってしまう可能性がある」という言葉についてですが、”治療前の状態”は、上前歯はほとんど変動していないと思います。

    上下の中心がずれていたので、その中心を合わせるのに少し動いたかもしれません。
    （けれど、上顎が前へでたような気がします。）

    この状態だと、戻ってしまう可能性は高いでしょうか？
    実際に歯を見てもらっていないのに答え難い質問をして申し訳ありません。
    けれど、今、本当にどうしていいのかわからずに迷っています。
    矯正をはじめるのに５年迷い、結局周囲から反対されて始めました。（今も応援してはくれません。）
    この状態で終わりにしたくはないけれど、リスクがあるストリッピングには決心がつきません。

    お答えできる範囲で構いません。お手数かと思いますがもう一度回答お願いします。
    そら様
    はじめまして。伊東と申します。メール拝見いたしました。

    さっそく質問にお答えいたしますが、まず、このままで前歯が抜け落ちるということはまず考えられませんので心配はいりません。しかし、「上下の前歯が咬み合っていること」は矯正治療を終了する際の基準のひとつとして重要なことです。そらさんのように数ミリ開いているままだと、噛み切れないだけでなく、歯並びが安定せず徐々に戻ってしまう可能性があります。（治療前の状態にもよりますが）

    そらさんの場合、上下で種類の異なる歯が足りないのが原因とのことですね。たしかにこの場合、奥歯の咬み合わせを良くしても、歯の大きさのバランスが合わずに前歯の咬み合わせがうまくいかないということがあると思います。担当の先生が仰るように、歯と歯の間をわずかに削る方法（ストリッピング）で対応するか、上顎の歯列全体を後方へ移動させるかです。この場合、側方〜奥歯の咬み合わせが犠牲になることがあります。

    ストリッピングは、私個人的には積極的に行いたくはない方法ですが、患者さんにとって有効と判断すれば行います。
    その際に注意することは、

    ・エナメル質の幅を超えて削りすぎないよう、確認しながら行うこと（隙間の量を測るゲージがあります）。
    ・削った面が滑らかになるよう、良く研磨をすること。
    ・削った面があまり平坦になり過ぎないようにカーブをつけること。

    デメリットとしては、削る量にもよりますが、隣あった2本の歯の根が近づきすぎると、将来的に歯周病にとって悪影響を及ぼします。レントゲンで、歯の形や根の状態に注意して行えば大きな問題はないと思います。

    実際にそらさんの状態を拝見していませんのでなんとも申し上げられませんが、矯正治療は見た目だけでなく、良い咬み合わせを作ることが大きな目的ですので、このまま終了するのは良いことではないと思います。奥歯の咬み合わせが良いのであれば、ストリッピングを行うのも良いと思います。

    せっかく長い間頑張ってこられたのですから、納得のいくかたちで治療を終了したいですね。担当の先生ともう一度良くご相談してみてください。
    ご不明な点がございましたらまた遠慮なくご質問下さい。失礼致します。

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