りゅうさんの相談

カテゴリ:費用と保険について

保健適用の矯正装置について

顎変形症の手術を行うのですが、その前に矯正を行う必要があるとの事でした。保険適用となるとの事です。
そこで知りたいのですが、保険適用で行う手術前の歯科矯正に使用する矯正装置は、目立たない透明な装置を選択することは可能なのでしょうか?
それとも金属のみなのでしょうか?

初めまして、マロニエ矯正歯科クリニックの栗田です。
ご質問に回答いたします。

顎変形症の手術を行う場合、術前・術後に矯正を併用すると保険適応になります。
ただし、これにはいくつかの条件があり、使用装置も含まれます。

まず、矯正治療を行う歯科医院ですが、「厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関のみ」になります。簡単に言うと、国に申請を出している矯正歯科でしか出来ません。
日本矯正歯科学会のホームページから調べることが出来ますが、該当する歯科医院の数はかなり少ないです。
なので、自分の好きな歯科医院ではなく、指定の矯正歯科医院の中から選ぶことになります。
おそらく、口腔外科に先に相談に行っていると思われますが、提携している矯正歯科があるかもしれません。

次に、使用装置ですが、「表側のワイヤー矯正」のみとなります。
目立たない透明な装置が「マウスピース矯正」のことを指すのであれば保険適応外になります。
その場合、「矯正だけマウスピース矯正で自費で行い、手術は保険で行う」といったことは出来ません。
矯正が自費の場合は手術も自費となりますのでご注意ください。
保険の外科的矯正治療を行っている口腔外科では、自費の手術を依頼しても断られる可能性が高いです。
なので、最初から矯正も手術も自費で行っている歯科口腔外科を探すことになると思われます。
保険で矯正を行う場合は、矯正費用・手術費用・入院費用を合計して100万円を越えない範囲になると思いますが、
すべて自費で行う場合は、その3倍ほどは費用がかかるものと思われます。
それでも「マウスピース矯正で自費手術」「裏側矯正で自費手術」「自費手術と自費セラミック」で手術している方もいらっしゃるようです。自費で問題なければ表側のワイヤー矯正以外を選択できます。

目立たない透明な装置が「ブラケット」を指すのであれば、使用している矯正歯科もあると思います。
表側のワイヤー矯正であれば、使用する素材は矯正歯科の判断となり、透明なブラケットの場合もあるでしょう。
もし、矯正歯科医院を探している最中であれば、外科的矯正治療の場合のブラケットは何を使うのかを聞いてみると良いと思います。
ただ、保険点数は一律で決められているために材料費を抑えようとする傾向にあります。
自費治療であれば材料費が高くなる分を患者さん側に負担(料金を上げる)させることが出来ますが、保険では出来ません。
目立たない装置は目立つ金属の装置に比べて高価なので、目立たない装置を希望しても断られる可能性もあります。
ブラケットは透明もしくは白いものを選択できるかもしれませんが、ワイヤーは白ではなく金属になるでしょう。

また、保険の外科矯正は途中でやめられないのでご注意ください。
あくまで、「咬み合わせのために手術をしてまで矯正が必要と判断される」ので保険適応になっています。
顔を変えるための手術ではなく、矯正のために手術を行うので、手術単独が無理なのはこのためです。
保険で矯正を始めたものの、外科手術をやるのが怖くなってやめたい、というのは出来ません。
なので、外科矯正前提で矯正治療を始めたら、絶対に手術をしないといけないということです。
その点をよくご理解いただいたうえで術前矯正に臨みましょう。
厳密に言うと、手術をやめることは出来ますが、保険でやってた矯正をすべて自費に切り替えることになり手続きが大変です。
手術を前提とした場合の歯の動かし方と、矯正単独での歯の動かし方は「真逆」となります。
なので手術前提で矯正をしていた場合に、手術をしないで治す方向に転換できない可能性があります。
また、術前矯正は咬み合わせが悪化するように動かします(反対咬合なら矯正前より強い受け口になる)。
矯正治療自体、最終的に良い咬み合わせになるまでは矯正前よりも咬み合わせが悪い状態が続きます。
なので、矯正治療を始めてしまったら、途中でやめるというのはお勧め出来ません。
一度外科的矯正治療を始めてしまうと、矯正も手術も途中でやめられない点を留意しましょう。

以上を、ご質問への回答といたします。よろしくお願いいたします。

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