梅星さんの相談
カテゴリ:
矯正と被せ物について
- 投稿者 梅星 さん [42才 ] 2023/06/18/ 22:27
- カテゴリー 治療中
- お悩みの歯 下あご右5番 下あご右6番 下あご左7番
虫歯治療中なのですが矯正を考えていて別の専門医院に初診相談に伺ったところ、治療中の歯にセラミックアンレーを入れる予定なのですが矯正治療をすると歯が動くので噛み合わせが変わってしまうことがある、装置を接着する際にセラミックだと取れやすくなる、なので仮歯かレジンなどを詰めたほうがよいとの回答をいただきました。虫歯治療の先生は今はかなり強力な接着剤があるので正確に型取りをしてしっかり嵌めれば大丈夫と仰っていましたが…。正直セラミックは安くないのでせっかく作っても無駄になってしまうのは避けたいですが、治療箇所は奥歯で長い矯正期間を仮歯などで過ごすのは強度と虫歯になりやすいのではという不安もあり……悩んでいます。
- マロニエ矯正歯科クリニック
- ( 埼玉県 草加市 )
- 2023-06-19 13:25:00
はじめまして、マロニエ矯正歯科クリニックの栗田です。
ご質問にお答えします。
矯正前にセラミックを装着すべきかどうかを検討しているということですね。
矯正歯科医師も一般歯科医師もお互いのスタンスで正しいことを言っていると思います。
先にセラミックを入れるケースもあれば、矯正後にセラミックを入れるケースもあるので、
双方の話を総合的に考えて結論を出すことになると思います。
まず、矯正歯科医師の言い分ですが、咬み合わせを考えれば矯正後セラミックの方が良好です。
セラミックを入れる瞬間の咬み合わせに合わせて、セラミックを作製することになります。
なので、先にセラミックを入れてから矯正をすると、完璧な状態で咬み合いません。
矯正治療は緻密な治療ではありませんので、補綴処置のように精密に咬み合わせを作れないからです。
矯正前に100点の咬み合わせでセラミックを入れ、矯正すると95点の咬み合わせになります。
矯正前に仮歯を入れて95点の状態にしておき、矯正後にセラミックを入れると100点の咬み合わせになります。
そもそもが「補綴処置(被せもの)は矯正後に行う」のが基本的なルールです。
矯正歯科医師が並べた歯並びに合わせてセラミックを入れた方が、絶対に出来がいいからです。
矯正後の咬み合わせを予測して事前にセラミックを作製するのは不可能なので、理想は矯正後セラミックです。
また、治療のやりやすさとして、セラミック(銀歯も)はブラケットが接着しにくく外れやすいです。
おそらく、矯正歯科医師が取れやすくなると言ったのはセラミックではなく、ブラケットの事だと思います。
セラミック自体は、矯正前に入れたばかりであれば、よほど出来が悪くない限り外れません。
天然歯は問題なくブラケットを接着できますが、人工物は相性が悪いので治療がしにくくなります。
仮歯はレジンという樹脂で出来ており、レジン歯なら比較的ブラケットが外れにくいです。
なので、矯正治療のしやすさという点においても、一度仮歯にした方がメリットがあります。
セラミックにブラケットを装着する際に多少セラミックを傷つててしまう可能性もあります。
では、一般歯科医師側の意見についてですが、やはり仮歯は強度が悪く壊れやすいです。
自費の補綴物と同じ精度で作製されませんし、外す予定のもので接着剤も弱いものを使用します。
適合もバッチリではなく、接着剤の劣化もあり、矯正治療中に外れることもあるでしょう。
隙間から菌が入り込んで虫歯になってしまうリスクもセラミックよりも高いです。
素材としてもレジンは柔らかいので削れたり割れたりするリスクもあるでしょう。
歯として安定していて欲しいなら、最終補綴物であるセラミックを被せてもいいでしょう。
ただ、前述のように矯正前の咬み合わせに合わせて作製されるため、矯正後は完璧な咬み合わせではないでしょう。
一般歯科医師の気持ちとしては、仮歯はだいして儲からず、早くセラミックを入れて利益を得たいというのもあるでしょう。
矯正後に必ず自院でセラミックを入れてくれる保証なく、利益を逃す可能性もあります。
矯正歯科医師が作り上げる咬み合わせに興味は無く、早くセラミックを入れたいのでしょう。
では、費用と手間はさておき、矯正前にセラミックを入れ、矯正後にまたセラミックを入れるのはどうでしょうか。
補綴物をやり直すときは、少なからず歯にダメージがあるので、頻繁に作り直しはすべきではないです。
なので、矯正前にセラミックを入れてそのままにするか、仮歯にしておいてから矯正後にセラミックを入れるべきです。
ここで、「アンレー」というのがポイントになります。インレーでもクラウンでもなくアンレーを入れます。
インレーは咬頭を含まない詰め物で、クラウンは全体的に削って被せる被せものですが、
アンレーはその中間で、咬頭を含むがある程度歯質を残した被せものとなります。
インレーでは治せないが、クラウンだと歯を削り過ぎてしまうケースに適用しますが、
アンレーは辺縁が劣化しやすかったり、外れやすかったりしてあまり長持ちしません。
アンレーにするくらいならクラウンの方が長持ちするので、あまりアンレーは選択されないことが多いです。
一般歯科の先生のポリシーで、なるべく歯の切削量を減らすためにアンレーを選んでいるのだと思いますが、
アンレーにするなら、仮歯を作るのが困難であり、矯正前に装着せざるを得ないと思います。
インレーなら矯正前後どちらでも影響はない、クラウンなら前述のように先に被せるかどうかを考えなくてはならない、
セラミックアンレーを入れるなら、おそらく咬み合わせは別にして先に入れざるを得ないでしょう。
そもそもアンレーという選択が正しいのか、クラウンだとやり過ぎなのか、今虫歯治療すべきなのか、
コンポジットレジン修復で簡易的に治せないレベルなのか、残っている歯質の量がどの程度なのか、
という一般歯科的な問題があり、正解を導くためにはそちらの是非も考えなくてはなりません。
その点に関しては、担当している一般歯科医師と矯正歯科医師しかわからないことになります。
一番いいのは、歯科医師同士で相談して方針を決めることなので、可能なら歯科医師同士で話してもらいましょう。
歯科医師同士で話し合ってくれないなら、質問者様が決めることになると思います。
まとめると、
・咬み合わせを考慮するなら、矯正後にセラミックを入れた方が良い。
・矯正治療中はセラミックより仮歯の方がやりやすい(アンレーの形によっては左右されない)
・仮歯は長持ちせず、矯正治療期間中に歯への悪影響があるかもしれない
・アンレーはおそらく仮歯作製が出来ないので、アンレーなら先に装着になる
となります。アンレーの選択が歯科の一般論としてはレアケースなので、少し複雑化しています。
そもそもセラミックを入れてない天然の歯も、生まれつきの形態のまま動かして矯正するわけですから、
先に歯を入れてしまって形を確定してから矯正しても問題は無いでしょう。
双方、質問者様の健康を考えての見解と思われますので、双方の意見が正解と言えると思います。
出来れば、よく歯科医師と話しあった上で結論を出すといいと思います。
以上を、ご質問への回答といたします。よろしくお願いいたします。
ご質問にお答えします。
矯正前にセラミックを装着すべきかどうかを検討しているということですね。
矯正歯科医師も一般歯科医師もお互いのスタンスで正しいことを言っていると思います。
先にセラミックを入れるケースもあれば、矯正後にセラミックを入れるケースもあるので、
双方の話を総合的に考えて結論を出すことになると思います。
まず、矯正歯科医師の言い分ですが、咬み合わせを考えれば矯正後セラミックの方が良好です。
セラミックを入れる瞬間の咬み合わせに合わせて、セラミックを作製することになります。
なので、先にセラミックを入れてから矯正をすると、完璧な状態で咬み合いません。
矯正治療は緻密な治療ではありませんので、補綴処置のように精密に咬み合わせを作れないからです。
矯正前に100点の咬み合わせでセラミックを入れ、矯正すると95点の咬み合わせになります。
矯正前に仮歯を入れて95点の状態にしておき、矯正後にセラミックを入れると100点の咬み合わせになります。
そもそもが「補綴処置(被せもの)は矯正後に行う」のが基本的なルールです。
矯正歯科医師が並べた歯並びに合わせてセラミックを入れた方が、絶対に出来がいいからです。
矯正後の咬み合わせを予測して事前にセラミックを作製するのは不可能なので、理想は矯正後セラミックです。
また、治療のやりやすさとして、セラミック(銀歯も)はブラケットが接着しにくく外れやすいです。
おそらく、矯正歯科医師が取れやすくなると言ったのはセラミックではなく、ブラケットの事だと思います。
セラミック自体は、矯正前に入れたばかりであれば、よほど出来が悪くない限り外れません。
天然歯は問題なくブラケットを接着できますが、人工物は相性が悪いので治療がしにくくなります。
仮歯はレジンという樹脂で出来ており、レジン歯なら比較的ブラケットが外れにくいです。
なので、矯正治療のしやすさという点においても、一度仮歯にした方がメリットがあります。
セラミックにブラケットを装着する際に多少セラミックを傷つててしまう可能性もあります。
では、一般歯科医師側の意見についてですが、やはり仮歯は強度が悪く壊れやすいです。
自費の補綴物と同じ精度で作製されませんし、外す予定のもので接着剤も弱いものを使用します。
適合もバッチリではなく、接着剤の劣化もあり、矯正治療中に外れることもあるでしょう。
隙間から菌が入り込んで虫歯になってしまうリスクもセラミックよりも高いです。
素材としてもレジンは柔らかいので削れたり割れたりするリスクもあるでしょう。
歯として安定していて欲しいなら、最終補綴物であるセラミックを被せてもいいでしょう。
ただ、前述のように矯正前の咬み合わせに合わせて作製されるため、矯正後は完璧な咬み合わせではないでしょう。
一般歯科医師の気持ちとしては、仮歯はだいして儲からず、早くセラミックを入れて利益を得たいというのもあるでしょう。
矯正後に必ず自院でセラミックを入れてくれる保証なく、利益を逃す可能性もあります。
矯正歯科医師が作り上げる咬み合わせに興味は無く、早くセラミックを入れたいのでしょう。
では、費用と手間はさておき、矯正前にセラミックを入れ、矯正後にまたセラミックを入れるのはどうでしょうか。
補綴物をやり直すときは、少なからず歯にダメージがあるので、頻繁に作り直しはすべきではないです。
なので、矯正前にセラミックを入れてそのままにするか、仮歯にしておいてから矯正後にセラミックを入れるべきです。
ここで、「アンレー」というのがポイントになります。インレーでもクラウンでもなくアンレーを入れます。
インレーは咬頭を含まない詰め物で、クラウンは全体的に削って被せる被せものですが、
アンレーはその中間で、咬頭を含むがある程度歯質を残した被せものとなります。
インレーでは治せないが、クラウンだと歯を削り過ぎてしまうケースに適用しますが、
アンレーは辺縁が劣化しやすかったり、外れやすかったりしてあまり長持ちしません。
アンレーにするくらいならクラウンの方が長持ちするので、あまりアンレーは選択されないことが多いです。
一般歯科の先生のポリシーで、なるべく歯の切削量を減らすためにアンレーを選んでいるのだと思いますが、
アンレーにするなら、仮歯を作るのが困難であり、矯正前に装着せざるを得ないと思います。
インレーなら矯正前後どちらでも影響はない、クラウンなら前述のように先に被せるかどうかを考えなくてはならない、
セラミックアンレーを入れるなら、おそらく咬み合わせは別にして先に入れざるを得ないでしょう。
そもそもアンレーという選択が正しいのか、クラウンだとやり過ぎなのか、今虫歯治療すべきなのか、
コンポジットレジン修復で簡易的に治せないレベルなのか、残っている歯質の量がどの程度なのか、
という一般歯科的な問題があり、正解を導くためにはそちらの是非も考えなくてはなりません。
その点に関しては、担当している一般歯科医師と矯正歯科医師しかわからないことになります。
一番いいのは、歯科医師同士で相談して方針を決めることなので、可能なら歯科医師同士で話してもらいましょう。
歯科医師同士で話し合ってくれないなら、質問者様が決めることになると思います。
まとめると、
・咬み合わせを考慮するなら、矯正後にセラミックを入れた方が良い。
・矯正治療中はセラミックより仮歯の方がやりやすい(アンレーの形によっては左右されない)
・仮歯は長持ちせず、矯正治療期間中に歯への悪影響があるかもしれない
・アンレーはおそらく仮歯作製が出来ないので、アンレーなら先に装着になる
となります。アンレーの選択が歯科の一般論としてはレアケースなので、少し複雑化しています。
そもそもセラミックを入れてない天然の歯も、生まれつきの形態のまま動かして矯正するわけですから、
先に歯を入れてしまって形を確定してから矯正しても問題は無いでしょう。
双方、質問者様の健康を考えての見解と思われますので、双方の意見が正解と言えると思います。
出来れば、よく歯科医師と話しあった上で結論を出すといいと思います。
以上を、ご質問への回答といたします。よろしくお願いいたします。
- 梅星(42歳 )
- 2023年06月19日17時26分
ご丁寧にご返信いただきありがとうございます。
セラミックアンレーに関してですが最初はジルコニアクラウンを予定していましたがジルコニアは滑りやすいので矯正装置が外れやすいのではと一般歯科の先生に相談したところそれではセラミックアンレーにしましょうかという経緯になったのです。
ちなみにクラウン/アンレーを被せる歯は歯髄保存療法という治療をした箇所で虫歯も結構深かったそうなのですがコンポジットレジン修復等は難しそうでしょうか。なんとなく仮歯よりも詰め物のほうが耐久度が高そうで噛んでいて違和感がなさそうという印象があるのですが。
一般歯科の先生は詰め物に関して矯正先で指定したい素材があれば検討しますと仰っていましたし、矯正相談の先生も私がどうしたいのかが大事だと仰っていたので結局は私次第だとわかっていたのですが病院を跨いでいることもあり気後れしてしまいなかなか相談できず迷っておりました。
ですが栗田先生が矯正と一般の視点を合わせてご説明してくださったことで少し気が楽になりました。自分の歯と気持ちにとってなるべく最良の方法を選べたらと思います。ありがとうございました。
セラミックアンレーに関してですが最初はジルコニアクラウンを予定していましたがジルコニアは滑りやすいので矯正装置が外れやすいのではと一般歯科の先生に相談したところそれではセラミックアンレーにしましょうかという経緯になったのです。
ちなみにクラウン/アンレーを被せる歯は歯髄保存療法という治療をした箇所で虫歯も結構深かったそうなのですがコンポジットレジン修復等は難しそうでしょうか。なんとなく仮歯よりも詰め物のほうが耐久度が高そうで噛んでいて違和感がなさそうという印象があるのですが。
一般歯科の先生は詰め物に関して矯正先で指定したい素材があれば検討しますと仰っていましたし、矯正相談の先生も私がどうしたいのかが大事だと仰っていたので結局は私次第だとわかっていたのですが病院を跨いでいることもあり気後れしてしまいなかなか相談できず迷っておりました。
ですが栗田先生が矯正と一般の視点を合わせてご説明してくださったことで少し気が楽になりました。自分の歯と気持ちにとってなるべく最良の方法を選べたらと思います。ありがとうございました。