さくらさんの相談

カテゴリ:その他

骨が細くなっていても歯を動かせますか...

こんにちは。
いきなりご相談すみません。

3年前に虫歯が悪化しもう抜歯するしかないと診断され奥歯の6番を左右抜きました。
そのまま歯並びが悪いため矯正を勧められて、矯正の病院に通っていたのですが持病の悪化してしまい、行けなくなり3年もたってしまいました。
器具をつける前だったのですが、このままではまずいと思い2件の歯医者に相談に行きました。
そのうちの1件に骨が細くなっているため歯は動かせない・インプラントにした方がいいと診断を受けました。
骨が細くなってしまったら歯は動かせないのでしょうか。
本当にインプラントにするしかないのでしょうか。
自宅に帰りいろいろ調べたのですがこれだといった記事が見つからず...お力お借り出来ればと思います。
長々と長文すみません。
よろしくお願いします。

上下第一大臼歯の6番を抜歯されたということですね。
骨が細いところに移動しても、歯茎が下がるリスクがあるのと、歯の移動距離が大きいので移動に時間がかかるので、現実的にはインプラントかブリッジ、もしくは入れ歯などで治療された方がリスクが少ないと思います。
初めまして、マロニエ矯正歯科クリニックの栗田です。
ご質問にお答えいたします。

3年前に抜歯した部分の歯槽骨が痩せて矯正治療が出来ないかもしれない、と言われたということですね。
30才で抜歯後3年であれば、よほど急速に骨が減っていない限りは矯正可能と思います。
そもそも骨が痩せていてはインプラントも出来ないはずで、本当に矯正できないほど痩せているのでしょうか。
相談した歯科医院が一般歯科であれば、矯正では自院の利益にならないためにインプラントに誘導しようとしたか、
相談した歯科医院が矯正歯科であれば、大臼歯抜歯の矯正が億劫だから暗にお断りされたのだと思います。
もちろん、抜歯した部位を実際に見て、CT画像も確認しないと可能不可能の判定は出来ませんが。

抜歯をすると、その部分に歯槽骨が存在している必要が無いので、徐々に骨が痩せていきます。
御病気があったので仕方ありませんが、抜歯後は骨が痩せる前に矯正かインプラントをすべきなのです。
抜歯したのが上6か下6かわかりませんが、比較的若い方であれば3年で矯正不可能なレベルまで痩せないと思います。
上6であれば、歯槽骨は減りにくく、骨も柔らかいのでスペースを閉鎖出来ないケースは滅多にありません。
副鼻腔の一つである上顎洞が低下していると、歯槽骨が薄くなって動かすのが困難になります。
下6であれば、歯槽骨が減りやすく、骨も硬いので、歯を動かすのが困難になってきます。
抜歯直後だとしても下顎大臼歯部のスペースを閉鎖するのは大変です。

通常抜歯するのは4番や5番の小臼歯ですが、これは比較的価値が低い歯であることと、治療がしやすいのが理由です。
すでに抜歯しているのですが、大臼歯抜歯の場合、全体の歯の移動量がかなり増加してしまいます。
4番抜歯の場合は、3番を後退させ、前歯4本を後退させる2ステップでスペースを閉鎖します。
6番抜歯の場合は、5番を下げ、4番を下げ、3番を下げ、前歯4本を下げ、4ステップも必要になります。
純粋に歯の移動の合計が増加し、それだけ治療期間も延長します。
7番を動かすことにもなりますが、大臼歯は歯根の本数も多く、大きいので、歯の移動速度は遅いです。
なので、6番抜歯の時点で矯正治療の難易度はぐっと上がり、治療期間もかなり長期化します。
なるべく短期間で簡単に治療したいと思っている矯正歯科医師もいますので、嫌厭された可能性もあります。

骨が痩せている状態でスペースを閉じられないかと言えば、強引に動かせば閉鎖できないことはありません。
ただ、骨が無い場所に歯を動かしていくと、その歯にくっついている歯槽骨が減って歯肉が下がってしまいます。
動かせないことはありませんが、5番7番の歯肉が退縮するリスクはあるかもしれません。
あまりにも歯槽骨が無い場合は、スペース閉鎖が不可能になるので、部分入れ歯、ブリッジ、インプラントになります。
矯正不可能なレベルで骨が無いなら、インプラントも無理なので、部分入れ歯かブリッジが適応でしょう。
骨増生する方法もありますので、骨を再生してからインプラントできるようにする方法もあります。

矯正をやろうと思った矯正歯科医院には戻らずに他院に相談に行っている理由はなぜでしょうか。
文脈からは大臼歯抜歯を勧めたのはその歯科医院で、矯正不可と言ったのは他院と思われます。
歯科医師によって考え方の違いもあり、得意不得意も、上手い下手もあります。
1人の歯科医師の言葉を鵜吞みにせず、複数の歯科医院で情報を集めるのも悪くありませんが、
矯正歯科治療の基礎知識のない一般人の方が正しい情報を見抜くのも困難かと思われます。
論理的で患者思いで親身になってくれる歯科医師を見つけたら、信頼して方針を決めましょう。

以上を、ご質問への回答といたします。よろしくお願いいたします。

相談を投稿する