歯列矯正中ですさんの相談

カテゴリ:症状の悩み

歯列矯正最終段階だけど唇がとじずらい・・

歯列の乱れとディープバイトを主訴として矯正治療を受けています。

上顎4番を抜歯し矯正を行い、3年ほどが経過します。先日、特に気になるところがなければ、終了との説明を受けました。

< 唇がとじずらく、梅干しじわも消えていない >
現在ははずれていますが、かみ合わせが深かったため、矯正期間中の大半をバイトアップの状態で過ごしました。期間中は唇がとじないのは、しょうがないのだろうと思っていましたが、バイトアップ(青色の詰め物)がはずれた現在も、口をとじた状態で、唇が力を入れないととじない状況です。また、顎の梅干しじわができている状態で気になっています。唇をとじるためには力が必要なため、人中の間延びなど顔貌の変化(悪化)が心配です。

(治療開始前に歯列の乱れとガミースマイルは相談しましたが、梅ぼしじわが気になるとは、相談はしなかったと記憶しています)

矯正最終段階の今上記を相談をして、これは改善できるものなのでしょうか?
改善するためには、他院でのやり直し等が必要になってしまいますでしょうか?

アドバイスよろしくお願いいたします。

初めまして、マロニエ矯正歯科クリニックの栗田です。
ご質問にお答え致します。

上4番を抜歯、というのは上4番を左右2本抜歯し、下は抜かないで治す「二級仕上げ」という治し方ではないでしょうか。
出っ歯の治療で選択される方法ですが、前歯の後退量が少なく、口元があまり引っ込まないのが特徴です。
下の前歯の位置に合わせて、上の前歯が後退します。つまり、梅干し(オトガイ筋の緊張)が出るほどに口唇閉鎖不全であるならば、下の歯も抜歯し、最大限に上の歯を引っ込める必要がありました。
どのような検査・説明・同意があったか不明ですが、プランニングの際にあまり前歯が引っ込まない点に関しては明確な説明が無かったと言うことでしょうか。
今から引っ込めることは不可能ではありません。簡単な方法なら短期間で出来ますが、あまり引っ込みません。大変な方法ならかなり前歯を引っ込められますが、年単位の治療が必要になります。

上の奥歯に対して、下の奥歯が前に来ている状態を一級と言い、基本的にはこの咬み合わせをゴールとします。質問者様は出っ歯(上顎前突)だったので、おそらく奥歯の位置がずれて二級になっていたのだと思います。一級よりも上の歯が前に来ている状態を二級と言います。
上下抜歯であれば、この二級状態を一級にする必要があるので、上の奥歯を後方移動したり、下の奥歯を前方移動させて、一級にする必要があります。二級の程度が強ければ、一級にするのは難しくなります。
上だけ抜歯し、下の奥歯よりも上の奥歯が前に来ている完全なる二級状態にするのを「二級仕上げ」と言いますが、ケースによっては下は抜かずに二級仕上げに持っていく方が治しやすいことがあります。下を抜かない分、上の前歯もさほど引っ込まないので、治療前の出っ歯の程度が強い人の場合は、治療後も口元が出た口ゴボ状態で仕上がってしまいます。質問者様はこちらのプランを選択されたということです。

二級仕上げも一つのゴールなので、誤診とは言えません。しかし、セファロ分析の数値的に、また横顔の口元の突出度合いや、正面から見た口唇の緊張が残ってしまったのであれば、ベストプランではなかったかもしれません。
おそらくは、上下抜きがベストプランであり、二級仕上げはベタープランだったことでしょう。ちゃんと分析・診断をしているならば、二級仕上げでは完璧に前歯が下がり切らないことは分かっていたはずです。なので、上下抜きプランも提案され、2つのプランのメリット・デメリット・仕上がりについて説明があり、その上で質問者様が選ぶ、というのが本来あるべき形だったと思います。
いわば妥協案しか提示されていなかったために、仕上がりに関して不満が噴出してしまったわけです。

ただ、簡単な治療法を選んでいるのに3年もかかってしまっているわけです。質問者様は難症例であり、ベストプランを選んでいたらもっともっと時間がかかっていた可能性があります。上下抜きと言うことは、一級仕上げにする必要があります。上の奥歯の後方移動も、下の奥歯の前方移動も、矯正治療としては難しい動きになります。最初の診断時に、上下抜きをするととても治療が大変になると予測し、妥協案である二級仕上げを選択したのだと思います。

奥歯のずれが強すぎたり、過蓋咬合が強すぎると、上下抜きをすること自体が不可能であり、口元があまり引っ込まないことを分かった上で二級仕上げしか選択できないこともあります。場合によっては外科手術を併用して治療しないと理想値に治すことが出来ないケースもありますので、担当医がただ楽をしようとしたわけではないと思います。上下抜きプランも提案した上で、いかにベストプランが困難であるかも最初に説明しておけば、今回のように治療の仕上がりに満足できないようなことはなかったかと思います。

では、今からもう少し歯を引っ込めるためにはどうすべきか。
一つは、歯の側面部を削るディスキングを行うことです。問題ない範囲で歯を削り、生まれたスペースを利用して前歯を後退させる方法であり、最後の最後にダメ押しで口元を引っ込める際に行います。削り過ぎなければ歯のダメージもありませんが、そこまで大量にスペースが作れるわけではないので、前歯を引っ込められたとしても1〜2ミリ程度です。梅干しが消滅するほど口元が引っ込んだりはしないと思うので、今よりはややマシになる程度だと思います。3〜6ヶ月ほどかかると思います。技術的に、思想的にディスキングをやらない先生もいるので、担当の先生がディスキングをやらないのであれば選択できません。

もう一つは、上の奥歯の後方移動を行い、臼歯関係を二級から一級に戻し、その上で下の歯を2本抜歯する、という方法です。今の状態からベストプランの方に切り替えていくということです。すでに治療が完了直前ということは、完全なる二級になってしまっていると思います。上の歯全体を数ミリ後方移動するのは容易ではありません。特殊で専門的な治療法を用いて、かつ長大な治療期間を要します。おそらく、今から2〜3年はかかると思います。べらぼうに時間がかかるので、担当医は難色を示すと思いますし、技術が無ければ不可能だと思います。今までの治療がある意味無駄になるので、選択には覚悟が必要です。

とにかく、下の歯を引っ込めなければ上の歯は引っ込まず、口元も引っ込みません。梅干し、口ゴボを改善するためには上記の方法以外にあり得ません。質問者様が望まない治療結果になってしまうことは、本来避けるべきであり、事前のプランニングの擦り合わせが不完全であったと言えます。もちろん、質問者様には知識が無いので、担当医が提案しなかったことが原因です。ベストプランが面倒だったか、ベタープランでしか治療をしたくなかったという担当医の思惑があると思いますが、であるならば理想値まで口元は引っ込まない、ということを最初に説明しておくべきだったと思います。

質問者様のように他院で上の歯のみを抜歯し、二級仕上げでフィニッシュしたものの口元が突出しているので再治療を行いたい、という方が数名当院にいらっしゃっています。やはり、前医院では上下抜きの話は出ておらず、仕上がりに満足いかないご様子でした。その方達は、当院で上の歯を後方移動し、下の歯を2本抜歯する、というベストプランで再治療を行っています。
どのような仕上がりにするのか、治療後にトラブルにならないように、治療前の段階でコンセンサスを得ておくべきであり、そのために検査・診断があるはずです。どのプランにするか、やるかやらないかの決定権は患者さん側にあり、あくまで歯科医師側はプランを提示するのみ、というのが正しいと思います。

決して今のフィニッシュが間違いではなく、ひとつのゴールではあるものの、本当は大変だけどもっと口元が引っ込むゴールもあった、それを事前に知らされてなかった、ということです。
これを受けて、担当医に相談しましょう。ブラケットを外せば少しは口は閉じやすくなります。もう少し下げたければディスキング、たくさん下げたければ後方移動と追加抜歯をしましょう。現担当医が受け入れてくれない、信頼関係が崩れている、と言うことであるならば、他院でセカンドオピニオンを受けても良いと思います。ここに書いてあることと同じような事を言われると思います。転院となると治療費の問題もあるので、出来れば現医院で解決するのが望ましいと思いますし、他院が良ければ費用と期間を覚悟して転院も検討ください。

以上を、ご質問への回答と致します。よろしくお願いします。
こんにちは、さわだ矯正歯科クリニックです。

歯科矯正用アンカースクリューを使えば、上下顎歯列全体を後ろに下げたり、圧下する(骨に埋め込む)ことで、口を閉じやすくできる可能性があります。
ただし動かしすぎることで、骨から歯が飛び出してしまうような場合等、上記治療が勧められない患者さんもおられます。

担当の先生に、一度相談してみてはいかがですか?
矯正治療中ですさんが、後悔のない結果となることをお祈り申し上げます。

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