ラムさんの相談

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舌小帯について

子供の舌小帯についてご相談させてください。
発音にはとくにもんだいありません 矯正相談に行くときったほうがいいとのことです
メスで切ってぬう か、レーザーでぬわない など病院によってちがうようですが、
どちらのほうがいいのでしょうか レーザーだと瘢痕化する確率が高いとか、メスでぬうほうは、かなりの痛みがあるとかいろいろネットにのっていますがご意見をお聞きしたいです

痛みや出血を考えるとレーザーがいいのではないでしょうか。
初めまして、マロニエ矯正歯科クリニックの栗田です。
ご質問にお答えします。

舌小帯高位付着のため、切除を勧められたということですね。
発音に特に問題が無いのであれば、やらなくても良いような気がします。
矯正治療のために必要であれば、勧めることもあります。

舌小帯が舌の尖端まで伸びていると、舌が動かしにくくなります。
本来、舌が上顎に接するかどうかの位置が正しい舌のポジションです。
舌が持ち上がらないと、低位舌になり、舌が歯に触れるようになります。
通常であれば、何もしていないときは舌は歯に接触していないのが正解です。
特に下の歯ですが、舌が歯に触れていると歯が前に押し出されてしまいます。

舌癖があると、「反対咬合(前歯が逆の咬み合わせ)」
「開咬(前歯が咬み合わない)」「空隙歯列(すきっ歯)」になってしまいます。
これらの不正咬合を治すときに、舌癖が邪魔になり、治しにくくなります。
正しい舌のポジションを習得するために、舌小帯が邪魔になるということです。
ただ、舌小帯高位付着の人はかなりの割合でいらっしゃいます。
そして、舌小帯高位付着でも反対咬合・開咬・空隙歯列じゃない人もたくさんいますし、
舌小帯高位付着でも反対咬合・開咬・空隙歯列を治すこともできます。

つまり、お子様が叢生(でこぼこ)や上顎前突(出っ歯)などであり、上記の歯並びでないのであれば
わざわざ舌小帯を切除してまで舌癖を治す必要がないと思われます。
また、舌小帯を切除したから必ずしも舌癖が改善するわけでもありませんし、
舌癖があっても反対咬合・開咬・空隙歯列は治すことが出来ます。
つまり、矯正治療のために本当に舌小帯切除が必要なのだろうかという話になります。
これは、矯正歯科医師の考え方によって変わってくるとことだと思います。

・反対咬合・開咬・空隙歯列なら舌小帯は切除するべき
・反対咬合・開咬・空隙歯列でも舌小帯は切除しないで良い
・反対咬合・開咬・空隙歯列でなくても、舌小帯は必ず切除すべき

という考えに分けられると思います。
歯並びや咬み合わせも大事だけれど、舌の位置や呼吸なども大事だと考える先生ならば、
どんな患者でも正しい舌のポジションを習得すべきであり、舌小帯も切除すべきと考えるでしょう。
また、重度の反対咬合・開咬・空隙歯列であるなら、少しでも舌癖を改善すべきなので、
治療の難易度を低減するために、舌小帯は切除すべきと考える先生も多いかもしれません。
つまり、お子様の歯並びの種類や、重症度、矯正歯科位の思想で、切除すべきかが変わるということです。

私個人としては、舌小帯高位付着の人なんて山のようにいらっしゃるので、
よっぽどのことが無い限り切除をすすめることはありません。痛い思いをすることになりますから。
まだ、矯正相談の段階であれば、矯正自体をやるかどうか、
その歯科医院で始めるかどうかも決まっていないと思いますので、切除をすべきかも検討ください。
発音が不明瞭であり、聞き取りづらく、本人が気にしているのであれば、やる意義はあると思います。


という前置きのもと、メスかレーザーかのお話ですね。電気メスというのもあります。
正直なところ、どちらでも良いと思います。まず、歯科医院によっておいてある設備が変わります。
レーザーを持っていないところはメスでやるでしょうし、持っていればレーザーでやるかもしれません。
瘢痕などについても、手術をする先生の技量などにも左右されてしまうと思います。
なので、メスかレーザーよりも、担当する先生選びの方が重要です。
信頼できる先生を見つけ、そのうえで、その先生が得意な方を選ぶでしょう。
どちらがいいか迷うのであれば、メスもレーザーも電気メスも置いている歯科医院を選びましょう。

機械が治療をやるのではなく、人間が機械を使って治療をします。
レーザーで瘢痕を残さない先生もいれば、メスで痛みなくやる先生もいるでしょう。
処置を行う先生が、一番効果的で一番安全な方法を選んでくれるはずです。
人間的にも技術的にも信頼できる先生を見つけられれば、安心して治療を受けられると思います。
先生探しが一番難しいのですが、色々相談に行ってみて見つけるしかありません。
口腔外科に精通していて、舌小帯切除術の経験も豊富な先生を探しましょう。

以上を、ご質問への回答といたします。よろしくお願いいたします。
  • ラム(11歳 男性 )
  • 2022年10月09日14時40分
返信いただきましてありがとうございます。
受け口にならないか、下顎がおおきくならないか心配しております
矯正歯科でけんさをしたところ下顎受け口傾向といことでした
受け口ではまだありません
12さいになっているにで
いまさら舌小帯をきってもかわりませんか
またはこれから下顎が成長すると歯科でいわれているのできったほうが下顎が大きく成長するリスクをへらせるのでしょうか

また、切除のリスク、デメリットもありましたらお聞きできると助かります
お答えいたします。

おそらく、今から舌小帯を切ったとしても、お子様が受け口になるかどうかに影響はないと思います。
舌小帯が突っ張ると、舌の位置が下がり、舌で下の歯を押す舌癖が出やすくなります。
舌癖があると下顎前突になりやすく、下顎前突だと舌癖が出やすくなります。
下顎前突と舌癖は密接な関係にありますが、「舌癖を治せば下顎前突にならない」わけではありません。

お子様が下顎前突になるかどうか、というのは生まれる前からほとんど決まっています。
お子様の遺伝子、DNAがどんな顔になるかをすでに決定しています。舌癖の有無は関係ありません。
元々の骨格性の特徴にプラスアルファで、後天的に癖の問題で下顎前突をより悪化させているに過ぎません。
舌癖が無くて下顎前突の人もいれば、舌癖があって正常の骨格の人もいます。
なので、お子様を受け口にならないようにしようなどと、基本的にコントロールできるものでは無いのです。
成長初期の小学生低学年くらいから矯正治療を始めており、骨格へのアプローチをしていて、
かつ舌癖を辞めさせるトレーニング(必要なら舌小帯切除)を行っていればある程度予防できた可能性はあります。

また、お子様はこれから次第に成長とともにだんだんとしゃくれた顔になっていきます。
これはお子様だけの問題ではなく、人間がそう成長するように出来ているからです。
生まれてから6才ころまでは、上顎骨の方が下顎骨よりも成長します。
6才を過ぎると下顎骨の方がより成長するようになるので、6才以降は基本的に全員しゃくれていきます。
上顎骨は12才で成長を止め、男性であれば下顎骨は18〜20才ころまで伸び続けます。
お子様の上顎はもうほぼ成長せず、下顎骨だけが伸びていくので、しゃくれるのを防ぐことは出来ません。
前述の早ければ受け口予防になる、というのは上顎骨へのアプローチが可能なのが6〜8才までだからです。
下顎骨の成長を抑えることは不可能で、受け口の治療というのは上顎骨を伸ばして治すものなのです。

自然成長でお子様はしゃくれていきますが、舌癖があるとよりしゃくれやすくなります。
なので「受け口にしない」ではなく「受け口の程度を軽減する」という意味では舌小帯切除は無意味ではありません。
ただ、舌小帯を切除すれば舌癖が突然改善されるわけではなく、そのうえで舌のトレーニングが必要です。
12年間低い位置で楽をしていた舌を高い位置でキープするための筋トレが必要です。
筋トレをご本人がしっかり継続して行えば舌癖は改善されますが、怠れば治りません。
舌の位置などは外から見て誰にもわからず、本人が自分の意思で継続する必要があります。
思春期・反抗期にさしかかる12才男児が自主的にキツくて面倒なトレーニングを継続できるでしょうか。
矯正歯科にかかるのであれば、矯正歯科医師と親御さんとご本人とが協力してトレーニングを行います。
舌小帯を切れば勝手に舌癖が治って下顎前突にならない、と簡単に楽観的に考えないようにしましょう。
お子様が無意味に痛い思いをするだけになる可能性もあるので、過度な期待は禁物です。

お子様を受け口にしないようにするのは困難で、時期的にも無理でしょう。
心配してもどうしようもないので、受け口になった後でどうするかを考える方が建設的です。
顔を変えたいのなら、外科的矯正治療を受けましょう。咬み合わせだけ治すなら矯正治療単独で十分です。
ご本人がしゃくれた顔をコンプレックスに感じるようでしたら、手術で骨格ごと動かせば改善されます。
人生を左右することですし、全身麻酔の手術で入院も必要ですから、よく考えましょう。
顔立ちは今のままで問題が無く、咬み合わせを改善するのであれば、骨はそのままで歯だけ動かします。
すでに矯正歯科で検査・診断を行っているようですので、担当の先生とよく話し合いましょう。
外科的矯正治療を選ぶなら、下顎骨の成長が止まってから行った方が良いでしょう。
矯正治療単独でも、治療中に下顎が伸びて治療しにくい場合は成長終了を待つこともあります。

治療方針については担当医と相談していただき、そのうえでご質問にお答えします。
舌小帯切除のメリットは、前述のように舌が動かしやすくなることで、発音と舌位置の改善を見込みます。
デメリットはありませんが、リスクとして拘縮して余計に舌が動かしにくくなる可能性があります。
もしくは、舌癖や下顎前突に対して大きな意味が無いなら、手術自体が無意味であり、それがリスクでしょう。
ただ、矯正治療をやっていく上で、舌癖があると下顎前突を治しにくく、後戻りしやすくなります。
治療効率や治療後の安定性を考慮し、担当の先生は舌小帯切除を進めているのでしょう。
適切に処置し、手術が成功すれば、もちろんプラスには働くので、手術し損は無いとは思います。
矯正歯科医師から舌小帯を切った方が良いというくらいですから、おすすめの紹介先などあるのではないでしょうか。
お子様にとって大事なのは、舌小帯をどうするかではなく、いつ、どうやって治療するかです。

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