いろいろな矯正装置
自分に合った治療法を見つけよう!
「矯正装置」というと、ギラギラした大きな金属が歯についている様子を思い浮かべる人もいるでしょう。
「もっと快適に治療したい」という患者様の声に応えて、矯正装置の開発は進み、現在は、目立たない装置や見えない装置など、いろいろな治療法が誕生しています。
装置の種類によって、特徴やメリット・デメリットが違います。あなたの歯並びやライフスタイルに合った矯正装置を見つけましょう。
ワイヤ―やブラケットを使う矯正や、ワイヤーを使わないワイヤレス矯正、歯の裏側につける舌側矯正など、いろいろな矯正装置があります。患者様のご希望によって治療は様々です。まずは代表的な6タイプの装置の特徴をご紹介します。
金属ブラケット
歯の表側に接着する装置で、金属製のブラケットです。矯正治療と聞いて多くの人が想像するのが、この金属製のブラケットではないでしょうか。
- 金属製のブラケットは丈夫で、特に表側矯正はいろいろな症状の不正咬合治療に対応することができる
- 他の装置に比べて安価なため、治療費を抑えることができる
- 装置が銀色のため目立つ
- 近年小型化されつつありますが、他の装置と比較すると目立つ
審美ブラケット
白や透明色の目立たない色のブラケットを審美ブラケットといいます。金属ブラケットよりも目立ちませんが、表側につけるので、装置自体は見えます。
- 金属ブラケットと同様に多くの種類の不正咬合に対応することができる
- 非金属製のブラケットなので金属アレルギーの人でも使用が可能
- 金属ブラケットに比べ、費用はやや高額
- 金属ブラケットと比較すると、多少強度が弱い
セルフライゲーションブラケット
(ローフリクション)
従来の表側矯正装置よりも、ワイヤーとブラケットの摩擦力をより軽減させた設計の装置。痛みが軽減したり、効率的に治療できるといわれています。
- ワイヤーとブラケットの摩擦が少なく、痛みが少ない
- より効率的に歯が動くので、従来の装置より通院頻度が少ない
- 従来の表側装置と比べて、費用はやや高額
- 従来の表側装置よりも装置のサイズが大きい
裏側矯正
(舌側矯正/リンガルブラケット)
歯の裏側に装着するブラケットです。
表からは見えないので、周囲の人から気付かれずに治療できます。特殊な装置なので歯科医師の経験が必要です。
- 周囲の人から気付かれにくい
- 歯の裏側は虫歯になりにくい特性があり、表側矯正より虫歯になりにくい
- 舌癖(自然に舌で歯を押す癖)が改善しやすい
- 慣れるまで違和感を感じたり、発音がしにくい場合がある
- 表側矯正とくらべて料金が高い
ハーフリンガル矯正
表側矯正と裏側矯正とを併用した矯正治療です。
上顎の歯は裏側に、下顎の歯は表側に装置をつけて治療します。
- 人から見えやすい上顎は、歯の裏側に装置をつけるので目立ちにくい
- 話すときに舌があたる下顎は表側装置なので発音の邪魔になりにくい
- 裏側矯正とくらべて料金が安い
- 表側矯正とくらべて料金が高い
- 裏側装置と同様に、治療経験と技術がある歯科医院が少ない
マウスピース矯正
ワイヤーやブラケットを使わず、透明で薄いマウスピース型の装置を用いて歯を動かします。装置は自分で取り外し可能です。
- ワイヤーやブラケットを装着しないので、発音障害や不快感が少ない
- マウスピースは薄くて透明なので、周囲の人からほとんど気づかれない
- 指定された装着時間を守らないと治療の結果に影響を及ぼすことがある
- 治療できる症状が表側矯正よりも限定されている
キレイになるまでの治療期間や、治療中の痛みの感じ方には、個人差があります。
患者様の歯並びの状態、程度によっても異なるので、どの矯正装置が一番優れているということはありません。
実際に精密検査をして、矯正医とよく相談して、あなたに合った矯正装置を選ぶことが大切です。
金属ブラケット | 審美ブラケット | セルフライゲーション ブラケット |
裏側矯正 | ハーフリンガル | マウスピース | |
---|---|---|---|---|---|---|
治療費 | ◎ | ○ | ○ | × | △ | △ |
治療期間が短い | ◎ | ◎ | ◎ | ○ | ○ | △ |
装置が目立たない | × | △ | 材料による 金属×、審美△ |
◎ | ○ | ◎ |
症状の適応範囲 | ◎ | ◎ | ◎ | ○ | ○ | △ |
装着時の違和感 | △ | △ | △ | × | △ | ○ |
通院頻度 | 4〜6週間/1回 | 4〜6週間/1回 | 4〜12週間/1回 | 4〜6週間/1回 | 4〜6週間/1回 | 2〜12週間/1回 |
虫歯の治療 | 難(装置を外す) | 難(装置を外す) | 難(装置を外す) | 難(装置を外す) | 難(装置を外す) | ○ |
取外しできるか | × | × | × | × | × | ○ |
話のしやすさ | ○ | ○ | ○ | △ | ○ | ◎ |
金属アレルギー | × | ○ | 材料による 金属×、審美△ |
× | × | ◎ |
歯磨きのしやすさ | △ | △ | △ | △ | △ | ◎ |
問題点 | 治療の過程で使用する針金やゴムにより、違和感や不快感を感じたり、口内炎になることがあります。 | 複雑な構造上、従来型の表側装置(金属製・セラミック製)と比較して、装置に少し厚みがあります。 | 装置が歯の裏側(舌側)に接着するため、発音がしにくいことがある。 | 笑った時や話す時に下の歯が見えやすい方は、下顎の表側装置が見える。 | 重度の治療には 不向き。 装着時間を守らない場合は治療が長引きます。 (1日17時間以上) |
|
製品例 | ビクトリーシリーズ エイベックスMX、 メタルブラケット 等 |
インスパイアice、
クリアティ、 エイベックスCX 等 |
デーモンシリーズ、 クリッピーC、 クイックブラケット 等 金属・審美タイプあり |
インコグニート、
STb ライトリンガル、 カーツリンガル 等 |
― |
インビザライン、 クリアアライナー、 アクアシステム 等 |
備考 | 表の評価はあくまで目安です(全顎矯正の場合)。製品や患者様の症状、歯科医院の治療計画によって異なります。 |