目次
反対咬合を外科矯正で治療した例
【1. 症状】 骨格性反対咬合、上顎両側側切歯の矮小歯、上顎右側65左側5先天欠如
■ 治療前(抜歯前)の口腔内写真
一見すると、あまり難しい反対咬合には見えませんが、実は下顎を無理に後ろに押し下げている状態で普段過ごしています。そのため、顎の関節に不具合が生じていました。
また、上顎には一部乳歯が残っているのですが、もう抜けそうになっていたので、その隙間をどうするかも問題となっていました。それに加え、上顎の2番目の永久歯(側切歯)が通常より幅が狭い「矮小歯」だったので、隙間が開いているなどの問題も重なっていました。
【2. 治療計画の作成】最新CAD技術を応用した矯正治療分析ソフトによる治療経過予測
今回のケースは、様々な問題をふくんでいたので、最新のCAD技術を応用した矯正治療分析ソフトを用いて治療計画を立てて、動画で治療経過予測を説明しました。以下に示しているのは「治療開始時」、「手術直前予測」、「手術後予測」の3段階静止画像ですが、実際のCADでは治療経過を動画で表現しています。
矯正治療分析ソフトによるシミュレーション画像
【正面から見た画像】
【右斜めから見た画像】
【右横から見た画像1】
【右横から見た画像2】
表示を歯だけにして、前歯の変化を分かりやすくしました。
■ 咬合面(上下の噛み合わせの面)の予測CAD画面
上下の噛み合わせの面(咬合面)から見た予測CAD画面です。上から治療前、手術前、治療後の予測です。歯があたる場所に色がついています。治療前よりも手術前のときのほうが、歯があたっていないことが分かります。治療後は均等に噛み合わせが得られるように設定されています。
【3. 治療方針の決定】
上顎の乳歯を抜歯した隙間は歯を動かして閉じ、下顎は抜歯はしないできれいに並べます。
上下顎の歯並びの幅を具合よく調整することが必要であることがCAD分析からもはっきりしました。
そのように歯を動かすと、初診時よりも一時的に反対咬合が著明となります。その後、顎の位置を変化させる手術を併用して、しっかりとした咬みあわせを獲得することを計画しました。また、CADの予測にあわせ、マルチブラケット装置の装着場所を設定しています。これはインダイレクトボンディングという装置の装着方式です。
【4. 治療経過】 マルチブラケット装着後のお口の状態
4-1: 13ヵ月後
初診時よりも反対咬合の程度が強くなっています。
上顎、下顎に装着しているのは手術のときの指標となる補助装置です。?
4-2: 16ヵ月後
マルチブラケット装着後16ヵ月時のお口の状態、手術後3ヵ月時です。
反対咬合が解消されています。
4-3: 21ヵ月後
マルチブラケット装着後21ヵ月時にブラケットを除去しました。 写真は載せていませんが、顔貌も変化しています。
備考:費用についてですが、顎変形症の治療内容や公的医療保険の適応範囲については各種法令によって近年大きく変化してきています。また、手術の術式や入院する施設の状況によって違いもありますので、こちらには記載いたしません。
※治療方法や治療結果は患者様の症状によって異なります。