顎関節症の検査と治療方法

食事をする時に顎がガクガク鳴ったり、口をあける時に痛くなったり、時には口が開かなくなる症状の呼び名です。

公開日:2019/10/01  更新日:2021/11/16

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目次

  1. 顎関節症 [がくかんせつしょう] とは
  2. 診断と治療法の手順
  3. 1. 検査
  4. デジタルレントゲン・模型
  5. 重心動揺検査
  6. 顎運動解析診断
  7. 2. 治療
  8. 理学療法(筋肉電気刺激装置)
  9. スプリント治療
  10. 矯正治療
  11. 顎関節症における矯正治療の症例

顎関節症 [がくかんせつしょう] とは

顎関節症[がくかんせつしょう]は、口をあける時に顎が痛くなったり、耳元でカクカク音が鳴ったり、時には口があかなくなる症状の診断名です。
顎関節症の症状には様々なタイプがあり、原因も異なります。
例えば、顎を動かすとカクカクと音がする場合は、顎関節の軟骨の異常が考えられます。また、食べ物をかむときに顎周辺が痛む症状の場合は、顎の筋肉や神経が炎症をおこしている場合があります。このため、顎関節症治療を行っている歯科医院(または大学病院口腔外科など)で診察と所定の検査をして、治療計画をたてる必要があります。
「自分は顎関節症なのでは?」と気になる方は、下記に当てはまる項目はないか、チェックしてみましょう。

【顎関節症の症状】
・口をあけるとカクカク音がする(顎関節音、クリック音)
・肩こりがひどい、または腰痛がひどい
・咬み合わせがよくない、咬み合わせに違和感を感じる 
・食事のとき、片方の歯だけでよくかむ
・よく偏頭痛がする
・よくほおづえをつく
・うつぶせ寝の癖がある
・耳鳴りがしやすい
・歯ぎしりをよくする

診断と治療法の手順

顎関節症治療の流れをご紹介します。

1. 検査

デジタルレントゲン・模型

まずは、デジタルレントゲンや歯の模型、お顔の写真を撮って基本的な検査を行います。
※必要に応じて、顎運動検査や重心動揺検査を行います。

重心動揺検査

歯の咬み合わせが良くないとき、身体全体のバランスに影響がおよぶ場合があります。このため、咬合異常による身体バランスの崩れがないか、重心動揺計で観察します。咬合異常の程度は、日本人の健常値スタンダードデータと患者様の計測結果を比較して決定します。見た目の咬み合わせを治すだけでなく全身的な咬合を考えて治療していきます。
(参考:「噛みしめが重心動揺に及ぼす影響に関する研究」/顎機能誌/1998.4)

顎運動解析診断

顎関節症などの患者様は咬む位置を診るだけでは検査が不十分です。顎の動きや物をかんだときの動きに異常がでるのが顎関節症です。食事や喋る時などの顎の開閉時に、音(クリック音)がでたり、顎の動き方や速さに異常が出たりします。 このため、顎の運動を解析する顎運動解析診断を行って、顎の開閉が正常に機能するように治療計画をたてます。
(参考:「矯正治療の咬合改善に必要な咬合の理解とその実際」/山下敦/日本矯正歯科学会大会セミナー/2005.10)

2. 治療

※「1」の検査結果に応じて、適切な処置・治療を行います。

理学療法(筋肉電気刺激装置)

神経筋に電気刺激を与えて痛みを軽減したり、顎関節や顎の運動に関係する筋肉の緊張をほぐしたりする理学療法器具を用いて治療します。

スプリント治療

スプリントとは顎関節症用のマウスピースのことです。スプリントが必要と診断された場合は、まず歯形を取り、患者様一人ひとりの症状や目的にあわせて3種類のスプリントを使い分けて治療をします。

矯正治療

歯並びや不正咬合が原因で顎関節症をおこしている症例では、矯正治療によって筋肉的に安定した咬合(咬み合わせ)を作り、症状を改善させます。

顎関節症における矯正治療の症例

【成人矯正】抜歯をしないで乱くい歯(叢生[そうせい])を治療して顎関節症を改善した症例

下顎の中心(正中)が右へ4?ずれていて、顎関節症を訴えていた患者様の治療例をご紹介します。
永久歯を抜かない矯正治療で、上下の顎の正中を合わせました。治療後、初診時に訴えていた不定愁訴も改善されました。



※治療結果は、患者様によって個人差があります。