歯列矯正の初期費用の相場|矯正全体の費用や支払いシステムも紹介

長期的な治療が多い歯列矯正は、治療途中に費用がかかる場合があります。最初の相談から検査などを含めた金額の目安を知っておくと歯列矯正を検討しやすくなります。歯列矯正にかかる費用や支払い方法について解説します。

公開日:2024/11/07

目次

  1. 歯列矯正の初期費用
  2. 歯列矯正は基本的に公的医療保険適用外
  3. 歯列矯正の費用の支払いシステム
  4. 医療費控除を利用すれば費用の一部が返ってくるかも?
  5. まとめ

歯列矯正の初期費用

歯列矯正では、検査などの項目でクリニック毎にかかる金額が大きく異なります。

初診料

初診料は2,000円~5,000円ほどです。初診後に治療を受けるか受けないかで料金が変わる場合もあるほか、初診料を無料としているところもあるなど、歯科医院によって差があります。

初診で歯並びの悩みやご希望を伝え、歯列矯正の大まかな料金などが説明されます。カウンセリングを受けて本格的な検査に進むことになります。検査内容ですが、歯科医院によって初診でレントゲン検査などを受けられるところもあります。

2024年8月 株式会社メディカルネット調べ

精密検査料・診断料

精密検査では、レントゲン撮影、お口の中の写真撮影、模型を作るための歯型取りなどが行われます。場合によっては、MRI検査もあります。このように、検査内容が異なると料金も異なるため、10,000円~55,000円と料金に幅が出ます。

精密検査の結果をもとに行われる診断の料金は、10,000円~50,000円かかると考えられます。治療計画や方針を決定するもので、治療を進めるうえで診断は非常に大切です。

なかには、診断を無料で設定している歯科医院もあります。

2024年8月 株式会社メディカルネット調べ

歯列矯正全体の費用

歯列矯正は長期の治療で、通院が複数回に及びます。その間に発生する料金を解説します。

装置料

歯列矯正と聞いて多くの人がイメージするのが、歯についている装置(ブラケットやワイヤー)でしょう。これは歯を動かすために装着するもので、料金として300,000円~1,500,000円ほどと差があります。これほど幅があるのは、装置の素材や治療内容、料金設計、システムが異なるためです。

一般的な金属製の装置と、装着したときに目立たない透明なセラミックを使った装置では、金額に大きな差が出ます。また、装置を歯の表側につけるのではなく、裏側につけて目立たなくする治療方法も、料金が高くなる傾向にあります。

2024年8月 株式会社メディカルネット調べ

調整料(通院処置費用)

定期的に通院し、歯の動きを確認しながら装置を調整する必要があります。このときの処置費用は、1回につき3,000円~10,000円ほどになります。

装置の調整は1ヵ月ごとに行われますが、金額が不安な方は治療にかかるすべての費用をはじめに提示してもらう「総額制(トータルフィー)」が安心できるかもしれません。

2024年8月 株式会社メディカルネット調べ

保定期間の装置料(リテーナーの費用)

歯並びや噛み合わせが改善したら、歯が元の位置に戻らないようにするため「リテーナー」という装置を装着します。リテーナーを1年ほど装着することで歯並びが安定します。
歯列を保定する費用は、20,000円~60,000円になります。治療ケースや使用するリテーナーの種類が変わるため、金額にも大きな幅があります。

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保定観察料

リテーナーを装着する保定期間も、定期的に検診を受けて歯の状態をチェックします。およそ3ヵ月ごとに通院し、3,000円~5,000円ほどの料金がかかります。

2024年8月 株式会社メディカルネット調べ

歯列矯正にかかる費用の総額【一覧表】

歯列矯正は基本的に公的医療保険適用外

虫歯や歯周病などの公的医療保険診療とは違い、歯列矯正は自費診療になります。費用は医療機関や地域などによりさまざまです。ただし、下記の場合に限り公的医療保険診療での取り扱いになります。

・咬合異常に対する矯正治療
・前歯と小臼歯のうち3本以上の歯の萌出不全による咬合異常があり、それを改善するための矯正治療
・手術を必要とする顎変形症の手術前、または後の矯正治療


なお、歯列矯正の費用と保険については、矯正歯科ネットの「費用と保険について矯正歯科の相談」で多くの方が相談されています。こちらも参考にしてみてください。

歯列矯正の費用の支払いシステム

歯列矯正は自費診療となるため、多額の費用が発生します。支払い方法は複数あり、患者さんにとって支払いやすい方法を選ぶことが大事です。

総額制(トータルフィー制)

「総額制(トータルフィー制)」は、歯列矯正で発生する費用をあらかじめ提示してもらう制度です。通院のたびに都度料金を支払うのとは異なり、はじめに提示された料金以外は基本的に発生しません。処置別の支払いでは「最終的にいくらかかるの?」という不安をもちながら通院する場合がありますが、総額制であればそのような心配はありません。

このように、料金トラブルが起きにくい制度ではありますが「装置が壊れた場合の緊急対応」などのイレギュラーな費用については含んでいない場合があります。料金を提示された際の内訳はよく確認する必要があります。

処置別支払い制

処置ごとに費用を支払う方法です。もし治療が長引くとそれだけ通院回数が増えるので、費用が想像以上にかさむことがあります。また、最終的な料金がわからず不安を抱きながら通院するかもしれません。

一方で、総額制の場合は多額の費用を支払わなければなりませんが、処置別支払い制は支払う金額が分割されるという利点があります。

また、処置別支払い制であっても上限が設定されるケースもあり、経済的な負担を心配せずに通うことができます。治療が短縮されれば、それだけ費用が軽減されるという場合もあります。

医療費控除を利用すれば費用の一部が返ってくるかも?

歯列矯正は基本的に自費診療になりますが、医療費控除を受けることができます。
医療費控除とは、1年間に支払った医療費が一定の金額(10万円)を超えた場合に所得控除を受けられるというものです。医療費は治療にかかった費用だけでなく、通院にかかった交通費なども含まれます。

医療費控除の対象となるのは「噛み合わせに問題がある」「歯並びによって発音が妨げられている」といった、口腔機能の問題を解消するための治療です。見た目を美しくすることが目的(美容目的)の歯列矯正は、医療費控除の対象になりません。

子どもの歯の矯正治療は成長のために必要とみなされ、基本的には医療費控除の対象になります。

まとめ

歯列矯正にかかる費用でメインとなるのが装置料ですが、相談や検査をする初期の費用、通院ごとの調整費用なども発生します。また、歯並びを整えたあとに行う保定についても同様です。

歯列矯正の支払い方法は、あらかじめ全体の金額を提示される総額制(トータルフィー制)や、処置ごとに料金が設定される処置別支払い制があります。それぞれメリットとデメリットがあるので、患者さん自身に合った支払い方法を選び、無理なく支払えるようにしましょう。