あなたにピッタリの矯正歯科の選び方 | 矯正歯科ネット

矯正治療を受けようと思っているけれど、歯科医院を選ぶ際に何を重視すべきかわからない。できれば自分に合った歯科医院で治療を受けたいけれど、そのためにはどうしたらいいの?そんな悩みをお持ちの方も、いらっしゃるのではないでしょうか。

矯正治療を受ける歯科医院を選ぶにあたっては、重視すべき要素が数多く存在します。今回は、歯科医院を選択する際にとりわけ注目すべき11個のポイントについて、それぞれ詳しく解説します。

公開日:2024/10/21

監修医師

見立 英史 先生
所属:大学臨床講師 一般歯科医院
保有資格:日本口腔外科学会 指導医・専門医 日本口腔科学会指導医
歯科医師免許取得後、大学病院をはじめ、病院歯科、開業歯科医院等で勤務。専門は口腔外科、一般歯科診療をはじめ、親知らずの抜歯、嚢胞、粘膜疾患、薬剤性顎骨壊死の診断・治療をはじめ、周術期口腔機能管理、緩和ケアなどにも参画している。

目次

  1. 矯正歯科医院選びで後悔しないための11ポイント
  2. 1.矯正治療を担当する歯科医師の経歴を確認
  3. 2.日本矯正歯科学会の認定医または専門医
  4. 3.診療内容や治療方針を確認
  5. 4.費用や公的医療保険適用の可否について確認
  6. 5.口コミや評判を調べる
  7. 6.希望の治療が受けられるかどうか
  8. 7.急患対応の有無を確認
  9. 8.カウンセリングに行く
  10. 9.引っ越しした場合も家から通いやすいか確認
  11. 10.治療のメリット・デメリットの説明が受けられる
  12. 11.院内の設備を確認する
  13. まとめ

矯正歯科医院選びで後悔しないための11ポイント

この項目では、歯科医院を選ぶ際に重視すべき11個のポイントについて紹介します。各ポイントの概要と、それぞれの要素を確認する方法については、下記の表の通りとなっています。

1.矯正治療を担当する歯科医師の経歴を確認

矯正治療を担当する歯科医師の経歴は、歯科医院のホームページなどで確認することが可能です。そのため、担当医が矯正治療に関する団体、学会、スタディグループなどに所属しているかどうかを確認することによって、受けられる治療の質をある程度類推することが可能になります。

例えば、矯正歯科専門開業医が所属する団体である「日本臨床矯正歯科医会」に加入している歯科医師は、認定医やそれと同等の臨床経験を持つ医師であることがわかります。そのため、あらかじめ歯科医師の経歴や資格を確認したうえで、信頼できる医師のもとで治療を受けられるようにしていきましょう。

2.日本矯正歯科学会の認定医または専門医

日本矯正歯科学会は、日本における矯正歯科の学会のとしては最も大きな団体の1つです。日本矯正歯科学会では認定医や専門医の資格認定を行っており、これらの資格を有する歯科医師は、矯正治療に関する優れた知識・技術・経験値を持っていることが保証されています。

そのため、資格を持つ歯科医師に担当してもらえるのであれば、質の高い矯正治療を受けられる可能性が高くなります。治療を受ける前にあらかじめ認定医・専門医の資格を持っている歯科医師を探してから受診するとよいでしょう。

認定医とは?

認定医とは、矯正治療に関する知識・技術が一定以上のレベルにあると学会が認めた歯科医師に対して与えられる資格です。日本では歯科医師の免許さえあれば、矯正医でなくとも矯正歯科を名乗って(標榜して)矯正治療を行うことが可能です。こうした状況下において、患者さんにとって信頼と実績のある歯科医師を区別するために、認定医などの資格があることは、重要な意義を持っています。

臨床指導医(旧専門医)とは?

臨床指導医(旧専門医)は、認定医よりもさらに厳しく定められた審査基準を突破した歯科医師に与えられる資格です。臨床指導医は矯正歯科医の中でも特に優れた知見を持つ歯科医師でなければ得られない資格であり、認定医の資格を有する医師がおよそ3000人存在するのに対し、臨床指導医はおよそ450人と、非常に希少な存在となっています。

⇒矯正歯科の専門医制度について詳しくは『矯正歯科の専門医ってなに?矯正歯科選びに役立つヒントをご紹介』をご覧ください。

3.診療内容や治療方針を確認

患者さんにとって信頼できる歯科医院であるかどうかも、治療を進めていくにあたって重要な部分になります。例えば、矯正治療を受けるメリットだけでなく、懸念されるデメリットや注意点についても事前に説明している歯科医院であれば、治療に際する信頼度が高まります。

さらに、治療に必要な治療期間を具体的に提示してくれるかどうかも、歯科医院への信頼度にかかわる重要な指針となります。矯正治療におけるマイナス面についても率直に知らせる歯科医院のもとなら、安心して治療を受けられることでしょう。

4.費用や公的医療保険適用の可否について確認

矯正治療は基本的に公的医療保険の適用外となるため、治療費の設定は自由診療になります。つまり、歯科医院によって大きく異なってきます。そのため、事前に十分な説明を受けないまま治療を開始してしまうと、最終的に予想以上に高額な治療費が必要になってしまい、場合によっては途中で治療費が払えなくなるという可能性も出てきます。

そうした事態を防ぐためにも、治療を始める前の段階で、治療費の見積書や公的医療保険の可否について、担当医に確認しておくとよいでしょう。もし治療費の設定がわかりにくかったり、治療費について詳しく教えてくれない場合は、別の歯科医院で治療を受けることも検討したほうがいいかもしれません。

5.口コミや評判を調べる

インターネットの口コミサイトやSNSにおける評判を調べることも、歯科医院の信頼性をはかるうえでは1つの手段ではあります。実際に治療を受けた患者さんによる生の声は、これから治療を受ける側の人間にとっては大いに参考になる可能性があるからです。

しかし、口コミはあくまで個人による主観的な感想であり、完全に鵜呑みにすることは控えたほうがよいことも確かです。否定的なコメントを掲載するサイトは、歯科医院から名誉毀損で訴えられる可能性があることから、掲載されないこともあります。また、サクラによる書き込みの可能性もあります。あくまでも他の患者さんによる意見であることを念頭に置いたうえで、自分自身が考えて最終的な判断を下すことが大事になります。

6.希望の治療が受けられるかどうか

矯正治療を行うにあたっては、歯科医師が患者さんの歯や骨の状態などをチェックしたうえで、最も適した治療方法を選択します。ただし、使用・適用できる矯正器具や治療方法は、治療を行う歯科医院に応じて異なってきます。

そのため、訪れた歯科医院によっては、患者さんが本来希望していた治療法を適用できない可能性も出てきます。例えば舌側矯正を希望しても歯科医院は対応してない、などです。そうした事態を避けるためにも、事前に歯科医院のホームページやカウンセリング等を利用して、適用できる治療方法や矯正器具について調べておいたほうがよいでしょう。

・マウスピース矯正とは?

マウスピース矯正は、マウスピース型の装置を用いて歯を動かし、歯並びを改善していく治療法です。装置が透明なため外から見て目立たないことに加えて、取り外しが可能なため、歯磨きや食事の際に衛生面の問題が生じにくいです。また、使用中に感じる痛みも比較的小さめです。

ただし、歯を動かす力がやや弱いため、対応できる症例はある程度限られてきます。さらに、ワイヤー矯正のかわりとなるものですので、1日に約20時間程度は装置を付ける必要があるため、患者さんには医師の指示を守るための高い自己管理能力が求められます。

・インビザラインとは?

インビザラインとは、マウスピース型の矯正装置を使用して歯並びを改善していく治療法です。インビザラインが持つ特徴としては、使用する装置が透明に近いため、外から見て目立ちにくいことや、子供から大人まで幅広い年齢層の患者さんが利用でき、対応できる症例も広いことが挙げられます。また、他のマウスピース矯正では難しい症例にも対応できる場合があります。

ただし、インビザラインの装置(アライナー)は海外で製造されていることもあり、医薬品医療機器等法の承認を受けていません。それに加えて、医薬品副作用被害救済制度の対象外にもなっているため、副作用などのトラブルが発生した際の保証という点においては、注意が必要です。

⇒インビザラインの種類や費用、症例やメリット・デメリットについて詳しくは『インビザラインとは? 注目のマウスピース矯正の費用・特徴・選び方を解説!

・裏側矯正とは?

裏側矯正は、ブラケットと呼ばれる装置を歯の裏側に取り付けて、その部分にワイヤーを取り付けて歯を動かしていく治療法です。歯の裏側に装置があるため、外から見た際に気づかれにくく、歯の表面を歯磨きする際に邪魔になりません。また、ワイヤー矯正の一種であることから、歯を動かす力が比較的強いという点もポイントです。

ただし、通常のワイヤー矯正に比べて治療の難易度が高く、治療にかかる費用もやや高額になりやすい傾向にあります。また、装置が舌に当たって痛みや傷が生じたり、発音に悪影響が出る可能性にも注意が必要です。

7.急患対応の有無を確認

矯正中に想定外の痛みが生じたり、装置の一部が外れたりといったイレギュラーな事態が発生することがあります。そうしたトラブルが起こった際に適切なケアを行ってくれる体制が整っているかどうかも、歯科医院を選ぶうえでは重要なポイントになります。

担当医が常勤の体制をとっている歯科医院であれば安心ですが、仮に担当医が非常勤であっても、矯正治療に対する知識を持っている歯科衛生士やスタッフが在籍していれば、不測の事態に対処できる可能性が高いです。こうした担当医やスタッフの勤務体制についても、事前に確認しておいて損はありません。

8.カウンセリングに行く

矯正治療に先立って、カウンセリングを実施している歯科医院もたくさんあります。そのため、まずはカウンセリングを受けましょう。この時に、、担当医が丁寧に説明を行っているか、治療計画がわかりやすいかどうか、などといった要素を確認することが可能です。

仮に担当医の説明がわかりづらかったり、治療計画に不透明な部分がある場合は、矯正治療を始めた後でトラブルへと発展する可能性が高まってしまいます。何か不安な部分がある場合は、別の歯科医院でセカンドオピニオンを受けることも選択肢となりえるため、まずは歯科医院に足を運び、実際の対応を確認することをおすすめします。

9.引っ越しした場合も家から通いやすいか確認

矯正治療中の引っ越しにはリスクが伴います。歯医者を引っ越しのタイミングで変える時の注意点としては、治療方針や使用する装置が変更になる、治療時に交わした保証が無効になる、治療費が増える可能性などがあります。また、グループを展開している歯科医院で治療を受けている場合は、引っ越し先でも系列の病院で治療を継続できる可能性があります。

⇒途中で転院することに悩んでいる方は、歯医者を引っ越しのタイミングで変えることは可能?転院するときの注意点の記事をご覧ください。

引っ越しでに転院する際に用意するもの

引っ越しで転院するにあたっては、治療を引き継ぐ際に必要となる資料をあらかじめ矯正歯科医院で用意してもらうことで、転院後の治療をスムーズに進めやすくなります。具体的には、治療内容の経過、レントゲン画像、顔面やお口の中の写真、上下歯列の石膏模型などを用意してもらうとよいでしょう。

また、治療当初の診断内容や治療費の計画内容、実際に行われた治療内容と支払われた治療費などの資料によって、現時点での治療計画を正しく認識してもらうことも重要です。これらの内容を記載した紹介状を転院前の担当医に作成してもらい、転院先の歯科医院に渡すことが理想です。

10.治療のメリット・デメリットの説明が受けられる

矯正治療に伴うメリット・デメリットの双方を、きちんと説明してもらえるかどうかも大事です。矯正治療は治療計画や使用する装置によってメリット・デメリットが少なからず異なるうえ、治療期間や必要な費用にも変化が生じてきます。それらの要素を事前に包み隠さず説明してくれるか否かは、医院を選ぶ際に重視すべき判断材料の一つです。

11.院内の設備を確認する

歯科医院が持つ設備の種類に応じて、質の高い治療を受けられる可能性が変化します。例えば、規格性のあるレントゲン写真を撮影する「セファログラム」という撮影設備があれば、経過を確認しながら精度の高い治療計画を立てることが可能になります。マウスピース矯正なら、口腔内スキャナなども欲しいところです。歯科医院のホームページなどでそうした設備の有無を確認したうえで、より良い環境で治療を受けられるようにしていきましょう。

まとめ

矯正治療を行う時には、適切な歯科医院を選ぶことが大切になります。具体的には、担当医が認定医・専門医などの資格を持っているか、治療内容や治療費の説明がわかりやすいか、歯科医院の設備などが整っており、希望する治療が受けられるかといった要素を事前に確認することによって、質の高い治療を受けられる可能性を高めることができます。

もし患者さんに合わない歯科医院を選んでしまうと、治療を始めてから後悔することにもなりかねません。歯科医院を選ぶ際に重要になるポイントを事前にしっかりと調べたうえで、納得のいく形で治療を進められるようにしていきましょう。