トリートメントコーディネーターがいる歯科医院を選ぶメリット

矯正治療の歯科医院を探している時に「トリートメントコーディネーター」という表記を目にすることがありませんか?

トリートメントコーディネーターとは一体何なのか?
矯正治療で必要なのか?
トリートメントコーディネーターがいるのと何が違うのか?

トリートメントコーディネーターに関する基礎知識、歯科衛生士との違い、メリットなどについて、詳しく紹介します。

公開日:2024/09/03

監修医師

歯科医師 古川雄亮 先生

国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開

目次

  1. トリートメントコーディネーター(TC)とは
  2. トリートメントコーディネーター(TC)資格は4つのランクにわかれる
  3. トリートメントコーディネーター(TC)が在籍する歯科医院を選ぶ2つのメリット
  4. トリートメントコーディネーター(TC)がいない歯科はダメ?
  5. まとめ

トリートメントコーディネーター(TC)とは

トリートメントコーディネーター(TC)は、患者さんが満足のいく治療ができるように
仲介役をする人です。患者さんとのカウンセリングが主な役割のスタッフでもあります。

日本のトリートメントコーディネーターは「日本歯科TC協会®」が定めた認定資格ですが、海外では処置の説明やカウンセリングをする人のことを単純に指します。

トリートメントコーディネータは歯科医院に勤務している人や歯科に関する業務に従事している人であれば誰でも受けることができ、歯科医師・歯科衛生士以外の人でもなることができます。

トリートメントコーディネーター(TC)の仕事内容

トリートメントコーディネーターは主に患者さんに治療内容の説明をしたり患者さんからの疑問や不安への回答を行います。

トリートメントコーディネーターの資格は国家資格等ではないため、患者さんの診断や治療はできません。
代わりに、患者さんが直接歯科医師や歯科衛生士に聞きづらいと思っていることをうまく伝えてくれたり、トリートメントコーディネーターを介して診断結果や質問への回答を聞くことなどができます。
支払い方法はどうしたいかなども相談できます。

トリートメントコーディネーター(TC)と歯科衛生士の違い

トリートメントコーディネーターは民間資格であり、歯科衛生士は国家資格であるということが大きな違いです。

トリートメントコーディネーターはあくまでも民間企業が定めている資格であり、国が認めた資格ではありません。自分自身で講習会に行くなどして歯科知識を身につけ、一定以上の知識があると日本歯科TC協会®が認めればトリートメントコーディネーターになれます。

一方、歯科衛生士は3年以上専門学校や大学に通い実習等を経て卒業した人が受験できる国家資格です。
国家資格を得ている歯科衛生士は患者さんの口腔内に触ったり一部の医療行為を歯科医師の指示のもとに行うことができますが、トリートメントコーディネーターは患者さんの口腔内に触ることはできません。

ただし、歯科衛生士がトリートメントコーディネーターの資格を持っている場合があり、その場合は歯科衛生士としての業務とトリートメントコーディネーターとしての業務の双方を行えます。

トリートメントコーディネーター(TC)資格は4つのランクにわかれる

トリートメントコーディネーターの資格は、4つのランクがあります。

1.Activity Leader

Activity Leader(AL)は、トリートメントコーディネーターの中では初期のランクで、基礎的な知識やトリートメントコーディネーターとしての心構えが求められます。
5~6時間程度の講習会に参加し、40分程度の認定試験を受けることで認められます。

歯科医院に勤務している、もしくは歯科に関する業務を行っている人であれば誰でも受験・受講資格があります。

2.Basic Instructor

Basic Instructor(BI)は、ALの一つ上のランクです。
ALよりも専門知識が深いこと、トリートメントコーディネーターとして必要なコミュニケーションスキルを有していること、医院経営の基本についても理解していることがBIの条件です。

BIはALに認定されている人のみが受けることができます。BIになるにはさらに5~6時間の講習を受け、択一式の問題などの認定試験に合格する必要があります。

3.Advanced Instructor

Advanced Instructor(AI)は、TCとして患者さんとのコミュニケーションについて他のTC講習受講者に指導ができるランクです。AIの資格を持っていると、協会本部のインストラクターとして講習ができるようになります。

BIの資格認定者であることが、AI講習の受講条件です。AIはBI認定後さらに5~6時間の認定講習を受け、択一式の問題などが出題される認定試験に合格する必要があります。
AIからは資格登録費用が1万円から3万円へと上がります。

4.Master

Masterという資格は、AI以上に高いトリートメントコーディネーターとしての素質があり、協会が指定する全ての科目を指導できる人が認定されるランクです。Masterが最も高い認定ランクとなっています。

AIの資格認定者であることがMaster講習の受講条件です。AIからさらに認定講習を5~6時間受け、60分間の論文試験に合格する必要があります。

Masterになるまでには20~24時間程度の講習を受けることになります。

トリートメントコーディネーター(TC)が在籍する歯科医院を選ぶ2つのメリット

トリートメントコーディネーターは歯科医院に必ずいるわけではありません。トリートメントコーディネーターがいる歯科医院には2つのメリットがあります。

1.専門的な内容でも理解しやすい

矯正治療の内容をわかりやすく説明してもらえます。

矯正治療では使用する装置や治療方法など専門的な用語が出てきてわかりにくく、患者さんが1度で理解することが難しい場合も多いです。トリートメントコーディネーターがいれば、患者さんの目線でわかりやすく説明してもらえるかもしれません。

また、歯科医師や歯科衛生士は主に治療を行い、トリートメントコーディネーターが中心となって説明する分担制にできるため、説明やカウンセリングの時間を十分にとってもらえる可能性も高いでしょう。

2.不安や疑問を解消する手助けになってくれる

矯正治療は一般的な虫歯や歯周病の治療とは違い、長期的な治療が必要なため途中で不安や疑問を感じることも少なくありません。SNSで見た方法と違う、こういう治療法があると知ったが自分はできるのか…などさまざまな疑問が出てくることがあります。

しかし、歯科医師や歯科衛生士にはちょっと聞きづらいかもしれません。
そんな時にトリートメントコーディネーターがいれば、トリートメントコーディネーターに質問すると代わりに聞いてもらうことができるでしょう。

※ただし、トリートメントコーディネーターは患者さんに対して診断や治療をすることはできません。治療方針や診断を代わりに聞いてくれる存在と考えてくださいね。

トリートメントコーディネーター(TC)がいない歯科はダメ?

日本では、トリートメントコーディネーターはあまり普及していません。
トリートメントコーディネーターが在籍していない歯科医院の数が多いため、トリートメントコーディネーターがいなければダメな歯科医院ではないといえます。

日本歯科医師会が実施した、「歯科医療に関する一般生活者意識調査」では歯科医師に求めることとして「歯や口に関する相談がしやすい」が76.6%の得票を得て5位に入っているように、歯科医師に相談したい患者さんも多いでしょう。
トリートメントコーディネーターがいない分、歯科医師や歯科衛生士がしっかりカウンセリングしてくれるので聞きやすい、わかりやすい、ということもあります。

一方で聞きづらい相談がトリートメントコーディネーターを通してすることができますし、忙しそうなところに長時間説明や相談を求めることに気が引けてしまう方の場合は、トリートメントコーディネーターがいたほうが相談しやすいですよね。

まとめ

トリートメントコーディネーターは、患者さんの治療を円滑にする仲介役といえるでしょう。トリートメントコーディネーターが在籍している歯科医院では、患者さんが要望を伝えやすくなり、疑問をすぐに解消できるなどのメリットがあります。一方で、歯科医師や歯科衛生士と直接話す時間が減る場合もあります。

患者さんの中には、これまで歯科治療を受けた際に歯科医師からの説明がわかりにくいと感じたり、自分の要望をうまく伝えられなかった方もいたりするかもしれません。そのような場合は、トリートメントコーディネーターが在籍している歯科医院を検討してみてはいかがでしょうか。