リテーナーを1日サボると何が起こる?気を付けたい4つの注意点も

矯正治療を受けていて、そろそろ歯の移動が完了する場合、この後はリテーナーを装着する期間となります。ただ、リテーナーの装着について「1日サボってしまうとどうなるのだろう。矯正治療の効果がなくなってしまうの?」という心配や不安を感じている方もいらっしゃると思います。

この記事では、リテーナーの装着を1日サボった場合に起こる影響や問題を詳しく解説します。リテーナーの装着期間に気を付けるべき4つの注意点も紹介します。

公開日:2024/07/04

監修医師

歯科医師 古川雄亮 先生

国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開

目次

  1. リテーナーとは
  2. リテーナーを1日サボるとどうなる?影響や問題はある?
  3. リテーナーの1日あたりの装着時間
  4. リテーナーの種類
  5. リテーナーを装着する際の4つの注意点
  6. まとめ

リテーナーとは

矯正治療によって歯を移動させた直後は、歯が元の位置に戻ろうとする「後戻り」が生じます。後戻りを予防するために、矯正治療後は保定という治療が必要です。

保定では、リテーナーという保定装置を歯に装着することで、歯を動かした位置に維持します。後戻りが生じてしまうと再び矯正治療が必要となる場合もあるため、歯科医師の指示どおりにリテーナーを装着することが大切です。

リテーナーを1日サボるとどうなる?影響や問題はある?

リテーナーは毎日決まった時間に装着する必要があります。もしも1日でもリテーナーの装着をサボってしまった場合は、以下のような問題が生じかねません。

リテーナーを装着したときに痛みを感じる

リテーナーを1日でもサボると、歯の後戻りが生じる場合があります。歯が動いてしまったことでリテーナーが合わず、リテーナーの装着時に痛みを感じる可能性があります。この場合、追加で矯正治療が必要になるかもしれません。

リテーナーが入らなくなる

後戻りが進んで歯の位置がずれると、そもそもリテーナーを装着できない恐れもあります。お口に合わないリテーナーは使用不可となるため、追加の矯正治療やリテーナーの作り直しが必要です。

リテーナーの1日あたりの装着時間

一般的に、リテーナーの装着時間は1日あたり約20時間が目安です。歯の状態が安定していくにつれて、徐々に装着時間を減らせる場合もあり、最終的には就寝時のみ装着すれば良いと指示することもあります。ただし、自己判断で装着時間を減らすのではなく、歯科医師の指示に従うことが大切です。

しっかりと装着する期間は2年~5年に設定されている事が多いです。

参考:デンタップ

参考:東北大学病院

リテーナーの種類

リテーナーには、以下のような種類があります。

固定式リテーナー

歯の裏側にワイヤーを付けて固定するタイプです。目立たないメリットがある一方で、取り外しができないためワイヤーに汚れが溜まりやすく、ケアを怠ると虫歯や歯周病にかかりやすくなります。

可搬式リテーナー

患者さん自身で取り外しができるタイプです。食事や歯磨きの際に邪魔になりません。可搬式リテーナーには以下のような種類があります。

クリアタイプ

透明なマウスピースを歯を覆うように装着します。目立たない点が特徴です。

ベッグタイプ

歯全体をワイヤーで取り囲みます。お口をあけると前歯と奥歯の表側のワイヤーが目立ちやすいです。

ホーレータイプ

後戻りが生じやすい前歯のみワイヤーで取り囲みます。ベッグタイプよりも、お口をあけたときに見えるワイヤーの範囲は少なくなります。

リテーナーを装着する際の4つの注意点

リテーナーを装着する際には、以下4つの注意点を守ることで、後戻りやそれにともなう追加の矯正治療などを防げます。

①装着時間を厳守する

歯科医師から指示されたとおりに、毎日の装着時間を守りましょう。リテーナーの装着時間が短いと歯が動いてしまい、悪くなった歯並びを治すために追加の矯正治療が必要になるケースもあります。

②装着したまま飲食をしない

可搬式リテーナーを装着している場合は、飲食の際に取り外すようにしましょう。リテーナーを装着したまま飲食すると、食べかすなどがリテーナーに付着し、虫歯や歯周病のリスクが高まります。また、咀嚼時の負荷でリテーナーが破損することもあります。

固定式リテーナーを装着している場合は、ワイヤー部分に汚れが付着したままにならないよう、丁寧に歯磨きを行なうことが重要です。定期的に歯科医院でメンテナンスも受けるようにしましょう。

③紛失したり壊したりしないように気を付ける

外食の際にリテーナーを取り外し、紛失してしまうケースも少なくありません。また、取り外した際に正しく保管できていないと、踏んだりぶつけたりしてリテーナーが破損することもあります。そのほか、咀嚼時の負荷でリテーナーが破損することもあるため注意が必要です。

リテーナーを無くしたり壊したりすると作り直しになり、その期間中にどんどん後戻りが進む恐れがあります。

④毎日のお手入れを欠かさない

リテーナーを清潔に保っていないと、口臭を引き起こす場合があります。

固定式リテーナーの場合、取り外すことができないため、重点的に歯磨きをして汚れを落としましょう。また、定期的に歯科医院でメンテナンスを受けることで、リテーナーを清潔に保てます。

可搬式リテーナーの場合、取り外した状態で毎日歯ブラシで汚れを落としてください。定期的に洗浄液を使用してリテーナーをお手入れすることも大切です。

まとめ

リテーナーの装着を1日サボると、装着したときに痛みを感じたり、歯に入らなくなったりする恐れがあります。サボった場合の影響が心配な方は、取り外しができない固定式リテーナーを選ぶのも一つの方法です。

また、リテーナーを装着する際は、装着時間の厳守や毎日のお手入れを欠かさないことなどに注意しましょう。リテーナーは一般的に1日20時間の装着が必要といわれており、後戻りを防ぐためにも1日もサボらないようにしましょう。

この記事で、リテーナーをサボった際の影響についての疑問や不安が少しでも解消されたら幸いです。