監修医師
歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開
顔が以前よりも老けたと感じることはありませんか?
口周りやほうれい線の出る頬の部分は特にしわが出やすく、見た目が老けたように感じやすいです。アンチエイジングで周囲から若々しく見られたいと考える方もいらっしゃることでしょう。
お口周りの老化が気になる方は、歯科でのアンチエイジングも試してみませんか?
歯科で受けられるアンチエイジングと、加齢によって起きやすい歯と口元の5つの変化について解説します。
公開日:2024/04/01
歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開
目次
アンチエイジングとは、老化を抑えるという意味です。
歳を重ねるほどに細胞が再生する力は弱まり、体のさまざまな部分に老化がみられます。そこで、見た目や体内の老化をできるだけ防止して若々しさを保つ、ということがアンチエイジングです。
アンチエイジングというと美容の側面が強く感じられますが、歯科でのアンチエイジングとはお口の中の老化や機能低下を予防することと考えるとよいでしょう。
歯周病や虫歯を治して「見た目の悪化」を予防することも歯科でのアンチエイジングのひとつといえるかもしれません。また、歯並びを治して口元のしわやほうれい線が目立ちにくくなる、口角が上がり老けて見えにくくなる、痩せてしまった歯茎にヒアルロン酸を注入してふっくらさせてみせるなど、お口の中を整えることで老けて見えなくなるかもしれません。
あるアンケート調査によると、人は主に相手の「髪・目元・体型」を見て老化や加齢を感じるという回答が多くありました。さらに、「口元」に年齢を感じると答えた人の割合が約60%と、非常に多いそうです。
この結果から、口元は老化による影響が出やすい部分の一つであることがわかりますね。アンチエイジングには肌や髪の手入れも欠かせませんが、口元も意識してみてはいかがでしょうか。
参考:口元で見た目年齢に5歳の差が!お口のこと気にしていますか?
それでは、歯科で行えるアンチエイジング3つを紹介していきます。
金属の被せ物や詰め物や、歯垢・歯石などの汚れを口の中から取り除くことも、口の中のアンチエイジングと言えるでしょう。
金属の詰め物や被せ物があると、少しずつ金属が溶け出してアレルギーなどの身体に悪い影響を与える可能性があります。また、金属の針金の付いた部分入れ歯を体に優しいチタン性のインプラントに変えるなども良いでしょう。
金属の詰め物や被せ物を、セラミックや歯科用プラスチックに変えることで、自然な白い見た目の歯にすることができます。天然歯のような見た目の被せ物にすれば、口元を隠さなくて済んだり、思う存分笑ったりできるようになり、アンチエイジングにつながります。
また、自分自身の歯の色をホワイトニングで白くしたり、矯正治療で歯並びをよくするなど歯や口元の見た目を良くすることで若々しく見えるでしょう。
そのほか、ヒアルロン酸で唇や歯茎をふっくらさせるなど美容領域の治療を取り扱っている歯科医院もあります。
しっかり噛むことができないと、顔の筋肉が上手く使われなくなり、しわやたるみにつながります。また、顎関節の筋肉にも異常をきたし、身体のバランスが崩れて全身に影響していきます。
しっかり噛んで口周りの老化予防のためにも、噛み合わせを整えて噛み切りづらい食べ物や固い食べ物もしっかり食べることが重要でしょう。
人の口元を見て老けたと感じるのは、加齢によって歯と口元に以下のような変化が現れるためです。加齢によって起きやすい5つの変化について解説します。
歳を重ねると、歯の表面を覆うエナメル質が薄くなっていき、エナメル質の内側にある黄色い象牙質が透けて見えやすくなります。象牙質はもともと黄色っぽいことが多く、自分自身の歯がより黄色く見えます。
また、タバコ・コーヒー・紅茶・赤ワイン・チョコレート・カレーなど着色汚れによって歯が黄ばんでしまいます。歯が黄ばんでいる場合は、ホワイトニングをしたり、セラミックの被せ物などで歯を白く見せることで老けて見えづらくなるかもしれません。
長年にわたって歯ぎしりや食いしばりを続けていると、歯がすり減って短くなります。笑ったときに上の歯の形が不整であると、若々しい印象にならないと考えられます。
歯が短くなった場合、セラミッククラウンで歯を覆う、または歯に薄いセラミックの板を貼り付ける(ラミネートベニア)などで歯の長さを補うことができます。
メラニン色素の沈着・詰め物や被せ物など金属の歯科材料から溶け出した金属イオンの沈着・重度の歯周病により、歯茎が黒ずんでしまうことがあります。
歯科用薬剤の塗布や歯科用レーザー治療などにより、歯茎の黒ずみを軽減することができます。
加齢によって歯茎が退縮すると、歯と歯の間に大きな三角形の隙間(ブラックトライアングル)が見えるようになります。歯を失ったりすることでも大きな隙間ができてしまうこともあるでしょう。
歯周病などで歯茎が下がらないよう日々のケアを丁寧に行ったり、歯周病にならないよう気を付けることが大切ですが、もし下がってしまったらセラミックなどの被せ物で歯の形を整えることで隙間をなくすこともできます。
歳を重ねると、唇の筋肉や脂肪が収縮し、唇の張りがなくなっていきます。
この場合、内側にある歯にボリュームを加えて唇を支える方法があります。セラミックやラミネートべニアという治療法で歯に厚みをだし、唇を盛り上げて見せることができます。
*口周りのボトックスやヒアルロン酸などにより唇の張りを出すことを美容外科ではやられています。
老化は避けられないものの、歯科治療によって歯や口元の老化を目立ちにくくできる可能性があります。いわゆるアンチエイジングとは異なるかもしれませんが、虫歯や歯周病を予防し、矯正やホワイトニングをすることで口元の健康や見た目の老化の予防にも効果があるでしょう。
まずは一度、歯科医院でお口の治療を相談してみてはいかがでしょうか。