監修医師
歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開
「歯科矯正の治療中なのに転勤が決まった…」という方もいるのではないでしょうか。
転勤や長期留学など、引っ越しが急に必要になった場合、歯科矯正治療はどうしたいいのか気になりますよね。
今回は歯科矯正中の引っ越し後の対応に関して解説します。
公開日:2024/02/05
歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開
目次
歯科矯正は同じ医院で行うのが基本です。転院すると治療計画や使用器具が変わってしまう可能性があるため、できれば転院は避けるべきです。
ただ、留学や転勤で引っ越すなどのやむを得ない理由がある場合は以下を検討しましょう。
まず、引っ越すことを医師に相談しましょう。
通院する必要があるのか、転院した方が良いのかを治療の進み具合などからも歯科医師が判断します。
遠方に引っ越す可能性が高いならば早めに申し出ましょう。
引っ越し先で矯正治療を受ける際は、転院する医院を探さないといけません。
ほかの医院と提携していたり、転院前の医院から紹介などがあったりすればスムーズに転院できますが、そうでない場合は一から医院を探すため時間がかかります。
場合によっては、引っ越し前と同じ治療方法が実現できない可能性もありますし、契約も初めて矯正を受けた時に支払う金額と同じくらいになることもあり得ます。また、予算や治療以外にも、歯科医院などの雰囲気なども加味して転院先をじっくり選びましょう。
出張や短期留学などの一時的な引っ越しの場合は、治療を中断する選択肢もあります。
矯正治療の中断が可能なのか、装置を外すべきなのかなどを担当歯科医師と相談して、今後の治療方針を決めましょう。
歯科矯正中なのに引っ越さないといけないうえで起こり得る、4つのリスクをお伝えします。
歯科矯正中の引っ越しは、余計な費用がかかってしまいます。
転院したら一から検査や診断を受けるなど治療計画が新しくなり、矯正装置も変わることもあり追加の費用がかかることがほとんどです。
転院せずに遠方から通おうとすると、通院のたびに治療費以外に交通費がかかってしまいます。特に、別の地方や海外からでは、かかる交通費も高額です。
グループ医院があって転院が可能など以外では、追加で費用がかかると考えておきましょう。
引っ越した後も転院せずに通う場合は、交通費のほかにも移動時間がかかり、1日空けなければいけない場合もあります。
普段、会社や学校に行っている方は、休日を使って遠方へ通わないといけないので、非常に手間がかかります。
「転院前は担当歯科医師とのコミュニケーションが良好だったのに、転院先の担当歯科医師とはコミュニケーションが取りにくい」という話もあるかもしれません。
歯科医師とフィーリングが合ったり合わなかったりするのは意外とよくあることであり、場合によっては治療内容にも納得できなくなり、不信感が芽生えてしまうこともあるでしょう。
複数の歯科医院を訪れ、事前にカウンセリングを受けるなど歯科医院を再度選びなおすつもりで転院先を決めることが重要です。
上記でもお伝えしましたが、引っ越しによる転院は治療期間が長引く恐れがあります。
転院の手続きをして、カウンセリングや診断を受けたり、一から治療方法を考えたりと手間がかかってしまいます。
手間がかかった分だけ治療が中断しますので治療期間が長引いてしまいます。
引っ越しが決まった際の矯正治療の流れは以下の通りです。
1.歯科医師に相談
2.必要書類(矯正データなど)の共有
3.治療費の精算
4.転院先を決める
5.転院
6.治療再開
まず、歯科医師に引っ越しを報告してから転院すべきか、そのまま通い続けるべきかを相談します。その後、矯正データなどの必要書類を用意してもらい、ここまでかかった矯正治療の費用を精算します。転院先を探して治療を再開します。
「転院先が今までの歯科医院とは雰囲気が違ったらイヤだな…」
と思う方もいますよね。そんなときは以下の2つのポイントで選ぶといいでしょう。
・矯正方法や取り扱う矯正装置が同じ医院
・転院後のサポート体制がバッチリ
矯正方法や取り扱う装置が今までと同じ医院であれば、スムーズに治療が受けやすいです。
「ちゃんと転院先で矯正できるのか」などの心配事が出てくるかもしれません。
転院先のサポート体制が整っていれば、安心して矯正治療が再開しやすくなるでしょう。
引っ越しで転院したら治療費はどうなるのか、気になるところですよね。
結論をお伝えすると、矯正治療の進行状況に合わせ費用は精算されます。
そのため、矯正治療を始めたばかりなら返金額は多くなり、治療が後半になるにつれて返金額は少なくなります。返金がない場合もあります。
転院したらカウンセリングや診断などがあるので、転院先でも追加費用が発生します。場合によっては、返金された金額よりも治療費の見積もりが高くなることもあるため、注意しましょう。
矯正中なのに出張や転勤、留学などで海外へ引っ越すことがあるかもしれません。
歯の表側に矯正装置を着けていたりマウスピース矯正だったりする場合は、海外でも矯正治療が続けられるケースはあります。
ただ、歯の裏側に矯正装置を着けている場合はオーダーメイドのブラケットで、取り扱いが少なく対応が難しいケースが多いです。治療を再開する際に一度装置を外し、表側の矯正装置に付け替えるなどしなければいけない可能性があります。
*海外にいる間は治療を中断して帰国後に装置を着け直す方法もあります。
引っ越しが決まっているけど、歯科矯正を始めたいときは以下の3つのポイントを覚えておきましょう。
・提携医院が複数ある医院を選ぶ
・少ない通院頻度でもOKな医院を選ぶ
・あらかじめ担当医に引っ越しの予定があることを伝える
これら3つのポイントを覚えておいて、実行すれば引っ越し後もスムーズに矯正治療が行われるでしょう。
大きな医療法人で提携医院や分院が全国にあれば、転勤や出張が多い方でも安心して矯正治療が受けられます。
さらに通院頻度が少なければ、引っ越した後でも転院せずに通院を継続できるでしょう。
初診のカウンセリング時には引っ越す予定があることを担当医に告げ、的確な治療方法やスケジュールを確認しておいてくださいね。
転勤や出張、留学などで引っ越しが決まっても、引越し先から通院して同じ医院で矯正治療を受けるのが理想的です。
スケジュールなどの都合でどうしても転院しないといけない場合は、まず担当医に相談してみましょう。
相談することによって提携医院などがあれば教えてもらえるかもしれませんし、矯正資料の共有によりスムーズに矯正治療が継続できる可能性があります。
特に海外での転院先の紹介は難しいので、帰国しながら通院を継続するか、引越しした地域で転院先を探して治療を受けるのが良いでしょう。