監修医師
歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開
「虫歯治療をしたのになんで歯が痛んだりしみたりするんだろう?」
そんな思いをお持ちの方がいるのではないでしょうか。
虫歯治療をしたのに歯に痛みがあったり、飲み物や食べ物がしみたりすると、「治療が失敗したのかな?」と不安になりますよね。場合によっては半年や1年経っても、歯が痛んだりしみたりが治らない方もいるのではないでしょうか。
放置していても問題ないのか、歯医者さんに診てもらったほうがいいのか、迷うかもしれません。今回は虫歯治療後の歯が痛い・しみる原因を紹介します。
公開日:2023/12/18 更新日:2023/12/20
歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開
目次
虫歯治療後に歯がしみたり痛んだりする原因の一つに、虫歯を削ったことにより歯の神経が通っている層が薄くなり、刺激が加わりやすいことが考えられます。
歯医者さんは虫歯治療で歯を最小限に削るようにしているものの、歯の神経に刺激が伝わりやすくなり、痛みを感じたりしみたりします。
また、詰め物が金属の場合はレジン(プラスチック)やセラミックに比べると歯の神経に温度が伝わりやすいので、歯が痛んだりしみたりしやすいです。
ほかにも、詰め物や被せ物などが歯の神経を刺激している可能性もあります。
虫歯を除去する際に神経が一部露出してしまった状態で詰め物や被せ物をすると、詰め物や被せ物による刺激、取り残してしまった虫歯によって痛みが治療後に出ることがあります。
虫歯治療後の歯の痛みは早く治ってほしいですよね。
歯を削る、噛むことなどによる刺激受けると、歯は神経を保護するために新しい象牙質というエナメル質の下の層が作ろうとします。
個人差はありますが早ければ2週間程度、長いと半年や1年かかる場合もあります。
虫歯治療をしてから半年以上経ったのに歯が痛むまたはしみる場合は、歯の神経が何らかの原因で炎症を起こし続けている可能性があります。
虫歯治療で完全に取り除けなかった虫歯菌が、歯の神経内部に侵行していることが考えられるでしょう。また、歯の詰め物や被せ物が食事により劣化して割れたりすることも原因の一つです。割れた詰め物や被せ物で隙間ができると神経に刺激が届きやすくなってしまうため、歯が痛んだりしみたりする可能性があります。
そのほかに、歯の痛みやしみの原因は知覚過敏の可能性もあります。
知覚過敏とは、、歯ブラシや歯軋りなどでエナメル質がすり減って象牙質が露出し、神経に刺激が届いて鋭い痛みを感じることです。
知覚過敏になると、多くのケースでは冷たいものがしみますが、熱いものでもしみることがあります。
人によりますが、2~3週間から半年程度で痛んだりしみたりするのは治まることが多いため、歯医者さんと相談して1ヶ月は様子を見てもいいかもしれません。
ただ、症状が強い場合は以下を試してみましょう。
・市販の鎮痛剤を試してみる
・市販の歯磨きを対応する
・医師に対処方法を相談してみる
市販の鎮痛剤を試すことで、痛みが抑えられる可能性があります。
「痛みがあるけど一旦は様子をみたい」という方には良いかもしれません。
歯の痛みやしみが耐えられないくらい強い場合は、虫歯による歯髄炎を起こしている可能性が高いので、歯医者さんに相談して、歯の神経の治療をしてもらいましょう。
虫歯治療を受けたのに歯が痛んだり、しみたりする状態が続くのは歯の神経への刺激が関係しています。虫歯治療後は歯の厚みが薄くなり、歯の中を通る神経に刺激が伝わりやすいです。
また、詰め物や被せ物に金属が使われていると温度が伝わりやすいため、歯の痛みやしみを感じやすくなることも考えられます。
虫歯治療後の歯の痛みや知覚過敏様の症状には様々な原因が考えられます。痛みが強く出たり、長い間続いたりする場合、歯科医院に相談してみましょう。