マウスピース矯正における痛みの種類と対処法

マウスピース矯正中の痛みにも様々な種類があります。
当記事ではその種類と対処法についてご紹介します。

公開日:2023/06/05

監修医師

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。

目次

  1. マウスピース矯正に限らず矯正治療中は痛みが出るもの
  2. マウスピース矯正における痛みの種類
  3. 矯正治療初期の痛み
  4. マウスピース装置が原因による痛み
  5. マウスピース矯正中に痛い時の対処法
  6. 痛み止めの服用
  7. 痛みがある部分を冷やす
  8. 歯磨きを丁寧にする
  9. 矯正用ワックスを使う
  10. 食べるものを工夫する
  11. 歯医者さんへ行く
  12. 痛いからといってマウスピースをしないのはNG
  13. まとめ

マウスピース矯正に限らず矯正治療中は痛みが出るもの

マウスピース矯正に限らず、矯正治療中は痛みが伴いやすいです。
歯は歯槽骨(しそうこつ)という骨に支えられていますが、矯正治療では歯に力が加わると歯槽骨が吸収されることで歯が動きます。

骨が吸収される時に痛みの原因となる物質を放出するので痛みの発生に繋がるのです。
ワイヤーやマウスピースを交換してから数日から1週間は痛みが続くこともあります。
痛みは、歯が動いている=矯正が進んでいるというサインでもあるので前向きに捉えましょう。

マウスピース矯正における痛みの種類

矯正治療初期の痛み

上に述べたような痛みは、矯正治療の初期段階で特に感じることが多いです。
マウスピース矯正は約2週間に1度装置を変える度に痛みが出ることが多いです。

マウスピース装置が原因による痛み

マウスピースが物理的に合っておらず、歯や歯ぐきに持続的に異常な力を加えていたりしっかりと装着できていないと持続的な痛みが出ます。マウスピースが粘膜に擦れたり当たったりしていることで口内炎や腫れなどを引き起こすこともあります。

マウスピース矯正の種類によっては、歯につける突起(アタッチメント)が引っかかり傷つくこともあります。

マウスピース矯正中に痛い時の対処法

マウスピース矯正中の痛みに対する対処法をいくつがご紹介します。

痛み止めの服用

痛みが強く、日常生活に支障をきたすようであれば処方してもらった鎮痛剤や市販の痛み止めを服用しましょう。
薬は用法用量を守って服用してください。

痛みがある部分を冷やす

氷袋や保冷剤を使って冷やしてみましょう。
氷を口に含んだり、タオルやガーゼで包んだ保冷剤や水で濡らしたタオルなどを患部に当ててみてください。
温めてしまうと血行が良くなり、神経を圧迫してしまうので痛みが増してしまう場合があります。

歯磨きを丁寧にする

装置によって傷ついた粘膜に刺激が加わると痛みが持続したり増したりしますので、患部に当たらないように気をつけましょう。
鏡を見ながら磨くことで患部を避けることができます。

また歯磨き粉の成分でしみたりする場合もありますので歯磨き粉は使用せずに歯ブラシで当てるだけにする方法もあります。
歯磨き粉はあくまでも化学的な力を期待する補助的な存在ですので、歯ブラシで物理的にプラークが除去できていることが大切です。

矯正用ワックスを使う

痛みの原因が先程ご説明したアタッチメントの場合は矯正用ワックスを使いましょう。
柔らかいワックスをちぎってアタッチメントの周りにつけておくことで粘膜への刺激を抑えて保護できます。
矯正用ワックスは歯科医院やネット通販で購入することができます。

食べるものを工夫する

硬すぎる物や熱い物、辛い物などの刺激物は痛みを助長させることがありますので柔らかい物や刺激の少ない物を食べるなどの工夫も大切です。

歯医者さんへ行く

対処法が見つからず、やはり痛くてどうしようもない場合は歯科医院でみてもらいましょう。
マウスピースの調整や痛みが出ている患部への応急処置をしてもらえることがありますので我慢せずに相談しましょう。

痛いからといってマウスピースをしないのはNG

痛みに耐えられないからといって長時間マウスピースの装着をせずにいると治療計画通りの効果が得られません。
またせっかく動いた歯が後戻りしてしまったりと治療を長引かせてしまうリスクがありますので何らかの対処法を経てマウスピースの装着は継続するようにすることが大切です。

まとめ

マウスピース矯正中の痛みは避けられないことですが、同時に歯がしっかりと動いてゴールに向かっている過程だとも捉えられます。
治療終了後の自分の姿を楽しみに、上手に痛みと付き合っていきましょう。