【切端咬合】前歯の負担が大きい噛み合わせ

不正咬合のひとつである【切端咬合】は歯の先端と先端がかみ合わさっている状態です。前歯の先(切縁)にかかる負担が大きく、前歯の先が摩耗したり、欠けたりするリスクがあります。ここでは症例写真を用いながら切端咬合について詳しく解説しています。ご自分のかみ合わせが気になる方、矯正治療をお考えの方はこちらをご覧ください。

公開日:2019/10/01  更新日:2021/11/18

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目次

  1. 上下の歯の先端どうしが、「毛抜き」のようにぶつかっている咬合
  2. 切端咬合とは
  3. 【症例写真】交叉咬合・叢生を伴う切端咬合を治療した症例
  4. ※歯のしくみ

上下の歯の先端どうしが、「毛抜き」のようにぶつかっている咬合

切端咬合とは

正常な前歯の咬合は、上アゴが下アゴの歯を覆い、前歯の先(切縁)と、上下の歯がかみあう面(咬合面)が、1~3mm程度覆っている状態をいいます。
切端咬合は、上の歯が下の歯を覆わずに、犬歯より前側にある上下の切歯(中切歯や側切歯)の先端どうしが、ぶつかるようにかみ合っている状態です。下の歯が、正常の位置よりも前に出ている「受け口」傾向のかみ合わせです。 毛抜きのようなかみ合わせのことから、「毛抜咬合」や「鉗子状咬合」とも呼ばれています。

切端咬合は、歯の先端と先端がかみ合わさっていることで、上下の前歯の先(切縁)にかかる負担が大きく、前歯の先が摩耗したり、欠けたりするリスクが高い不正咬合です。

【症例写真】交叉咬合・叢生を伴う切端咬合を治療した症例

下にご紹介する写真は、切端咬合を治療した症例です。前歯の中切歯や側切歯を見ると、上の歯が下の歯を覆う部分は見られず、上下の先端どうしが接触してかみ合わさっているのがわかります。また、交叉咬合と凸凹の歯列の「叢生」を伴っている症例です。

治療は、上下顎の左右の第一小臼歯(真ん中から4番目)合計4本を抜歯後、矯正装置を29ヵ月装着して治療をしました。
矯正装置は、目立ちにくいクリアタイプのブラケットを使用した表側矯正装置を使用しました。29ヵ月の動的治療後、全体の歯列がキレイに並び、また上の歯が下の歯を少し覆っている正常の咬合に改善されました。

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患者様 : 22歳女性
診断名 : 左側交叉咬合を伴うアングル?級叢生症例
治療法 : 上下顎両側第一小臼歯抜歯ケース。「018x025スタンダードエッジワイズブラケット(クリアタイプ)」
動的治療期間 (矯正治療期間) :29ヵ月
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治療前
上下の前歯が先端で接触する切端咬合。歯の凸凹と、左側に交叉咬合が見られます。

治療中
左右の第一小臼歯を抜歯後、クリアタイプのブラケットを使用して治療しました。

治療後
動的治療開始から29ヵ月後。歯列、上下の咬み合わせが正常に改善されました。


治療前

治療中

治療後

※歯のしくみ

人の歯の数は乳歯では20本、永久歯は28本(親知らずを含めると32本)です。