ハーフリンガル矯正とは? 表側矯正・裏側矯正を併用!

矯正治療を受けたいと思っているものの、職種などの理由により、できる限り器具が目立たないようにしたい。
目立たないマウスピース矯正にもメリットやデメリットがあるため、ワイヤーでの矯正も検討している。

そんな場合の解決方法のひとつに、「ハーフリンガル矯正」という矯正方法があります。
今回は、ハーフリンガル矯正の特徴や、メリット・デメリットについて、詳しく解説していきます。

公開日:2022/07/18

監修医師

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。
歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。
2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開

目次

  1. ハーフリンガル矯正とは?
  2. 表側矯正と裏側矯正の良いとこ取り!
  3. 下の歯はセラミックブラケットにするのも◎
  4. ハーフリンガル矯正のメリット
  5. 目立ちにくい
  6. 費用を抑えることができる
  7. マウスピース矯正よりも適用範囲が広い
  8. 口の中の違和感が少ない
  9. ハーフリンガル矯正のデメリット
  10. ハーフリンガル矯正と表側矯正の違いは?
  11. まとめ

ハーフリンガル矯正とは?

ハーフリンガル矯正とは、上の歯は裏側にワイヤーを装着し、下の歯は表側にワイヤーを装着する矯正で行うのことを指します。

上下の前歯の裏側にワイヤーを装着する裏側矯正に比べて治療費を安く済ませることができるほか、ワイヤーが邪魔になって滑舌に及ぼす影響も少なくなります。

表側矯正と裏側矯正の良いとこ取り!

ハーフリンガル矯正の長所としては、上の歯の裏側にワイヤーを装着するので周囲から矯正装置が見えづらいこと、裏側矯正に比べて費用が安く済むことなどがあります。

表側矯正と裏側矯正の良いところを合わせたような治療方法です。

下の歯はセラミックブラケットにするのも◎

ハーフリンガル矯正は、特に上の歯は裏側に矯正装置をつけるので目立ちにくく見えにくくできるのが特徴的です。

ですが、下の歯は表側に矯正装置がつくため、上下裏側矯正よりも矯正器具が目立ってしまうでしょう。
下の歯は矯正器具をつけても見えづらいと言われていますが、それでも気になってしまう方もいるでしょう。

そんな方は、下の歯をセラミックブラケットにしてみてはいかがでしょうか。
上下裏側矯正よりも安く、ハーフリンガル矯正の中でも目立ちにくくすることができますよ。

費用的に上下裏側矯正ができない場合も、ハーフリンガル矯正とセラミックブラケットならば目立ちにくい矯正治療が叶えられるかもしれませんね!

ハーフリンガル矯正のメリット

目立ちにくい

上の歯においては矯正装置が裏側にあるため、矯正装置を入れていることに気づかれにくいでしょう。

下の歯は日常生活で会話や食事をしても上より見えにくく、上下表側矯正よりも矯正器具が気にならないで済みますよ。

費用を抑えることができる

上下ともに裏側に矯正装置を入れる場合に比べて、ハーフリンガルであれば治療費を抑えることができます。

上記のような審美面での長所を活かしつつ、金銭面での負担を減らすことができますよ。

マウスピース矯正よりも適用範囲が広い

マウスピース矯正も治療法として確立されていますが、適用できる範囲がワイヤー矯正よりも狭いといわれています。

患者さんのお口の中の状態によっては、マウスピース矯正の適用外のこともあるでしょう。
ハーフリンガル矯正はワイヤー矯正とほとんど同じため、マウスピース矯正が適用外の治療もできるかもしれません。

口の中の違和感が少ない

歯の上下ともに裏側に矯正器具を装着した場合、下の歯の裏側についている器具はどうしても舌に当たってしまいます。

ハーフリンガル矯正では、下の歯は表側に矯正装置をつけるため、舌にあたる心配がありません。
見た目も気付かれにくく、お口の中の違和感が少ない矯正治療というのは大きなメリットだと言えるでしょう。

ハーフリンガル矯正のデメリット

ハーフリンガルは、表側矯正と裏側矯正のメリット・デメリットを併せ持った矯正方法です。
裏側矯正に比べれば、下の歯の表側に矯正装置が付いているため相手に見える可能性は高いです。

裏側矯正よりも高価ですが、表側矯正に比べれば治療費は安価になります。

ハーフリンガル矯正と表側矯正の違いは?

ハーフリンガル矯正は、矯正中の見た目が気になりにくくなります。
ただ、ハーフリンガル矯正は表側矯正に比べて治療の難易度が高く、上の裏側に矯正装置が付いているため噛み合わせが深いと矯正期間が長くなる可能性が高くなります。

下の歯においては表側に器具があるぶんだけ違和感は少ないとはいえ、上の歯では裏側にブラケットを装着しているため、発音時の違和感が生じたり、矯正器具に当たって舌を傷付ける可能性もあります。
加えて、裏側に矯正装置が付いていると歯磨きがしづらくなるなど、表側矯正に比べていくつかのデメリットも存在します。

まとめ

ハーフリンガル矯正は、表側矯正のような審美面での悪さを減らし、裏側矯正のような舌の違和感も少なくなる治療法です。
リンガル矯正に比べて安価になる点もポイントで、費用と効果の両面において、表側矯正と裏側矯正のメリットを併せ持っています。

しかし、デメリットもあるため、万能な治療法というわけではありません。
ハーフリンガル矯正はさまざまな面でメリットの多い治療法ではありますが、患者さん自身が矯正で特に重要視する点を整理し、矯正方法を選択するとよいでしょう。