監修医師
歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開
顎を動かした時に痛みが生じたり、音が鳴ったり、かくかくするような感触がありませんか?
もしかしたら「顎関節症」の症状が出ているのかもしれません。
顎関節症は会話や食事の時に気になりますよね。
顎関節症を軽減する、おうちでできる簡単ストレッチをご紹介します!
公開日:2021/12/09
歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開
目次
顎関節症とは、顎の関節、もしくはその周囲の部分が動きにくくなる症状を指します。
具体的には、以下のような症状が表れます。
・ものを噛んだり、口を開けると痛みや違和感が生じる
・口を開けた時に異音(主にクリック音)が鳴る
・口の開閉を行いにくくなる
・顎が外れるようになる
顎関節症は、顎の上下の噛み合わせに大きな問題があったり、ストレスや過度の緊張、歯ぎしりや姿勢の問題などによって噛み合わせのバランスが崩れたりすると発生しやすくなります。
「咬筋」とはものを噛む時に使う筋肉で、左右の顎の付け根(耳の付近)から頬の広範囲にあります。
顎のえらが張っている所から2~3cmほど斜め前の場所に、人差し指などの指を当て、円を描くようにマッサージしてみましょう。
また、ストレッチの際には、体が温まっていると筋肉がほぐれやすくなるため、入浴中や入浴後に行うとより効果的と言われていますよ。
「側頭筋」は左右のこめかみから頭頂部まで広がる筋肉で、かみしめた際にこめかみがぴくぴくと動く位置に側頭筋はあります。
この部分をマッサージする際には、こめかみに指を当てて軽くかみしめ、筋肉がふくらむような動きをする部分を特定したうえで、その箇所に人差し指などを当てながら、円を描くようにしていきます。
顎関節症を改善するためには、口全体のストレッチも欠かせません。
上を向いて口を大きく開けるだけでも効果がありますよ。
加えて手で口の両側をすぼめながら、上下に口を大きく開けるようにすると、さらに大きな効果が見込めます。
顎回しストレッチとは、顎を回していくストレッチのことです。
手順としては、「い」を発音する形を作ったまま、下顎をゆっくり右から左に動かします。
次に、下顎を右下の方向に大きく開いてゆっくりと元に戻し、次に左下に同様の動きを繰り返します。
この流れを1セットとして逆回りでも同じ動作を行い、それぞれ2回ずつ行ってみてくださいね。
「開口ストレッチ」は、指での刺激と口の動きを併用していくストレッチです。
側頭筋マッサージでも用いるこめかみに手を添えたうえで、指は動かさずに顎を左右にゆっくり1回ずつ動かします。
その後、顎を前にゆっくりと突き出し、最後に大きく口を開けます。この流れを10回繰り返すことを1セットとし、1日5セット行うと効果的です。
ストレッチのみで顎関節症が完治することはないと言われていますが、症状の軽減や改善が見込めるとされます。
顎関節症の原因となりやすい、関節円板(顎関節の間にある軟骨組織)のズレを解消するために、ストレッチで関節の位置を整えることもある程度可能です。
また、ストレッチと併せてマウスピースによる対症療法を取り入れていくと、より顎関節症の改善が見込めるようになります。
ストレッチを続けても改善が見られない場合は、対症療法を行うことも検討してみてくださいね。
顎関節症の兆候が出ていても、ストレッチやマッサージによって症状が軽減するケースは多く存在します。
費用がかからず1日数分のストレッチを続けることで自宅で解決できるかもしれません。
ですが、ストレッチのみで顎関節症を完治させることはできないと言われています。
症状が長引く、強くなっていく、違う痛みや違和感があればストレッチでは収まらない可能性が高いでしょう。
顎関節症は放置すると口が開かないなど日常生活にも支障が生じかねないものであるため、ストレッチなどの対処法を試してみたうえで、状況に応じて歯科医院で診てもらうようにしてくださいね。