監修医師
歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。
食事のときに顎が痛くなったり、大きくあくびしたときに口が開かなかったりすることはありませんか?
もしかしたら、それは「顎関節症」かもしれません。
中には「顎からカクカク音がするけれど、痛みはない」という症状もあります。
痛みがないからといって放置をしてしまうと、歯に悪い影響が出たり、めまいや耳鳴りなどの全身症状につながることがあります。
顎の違和感の種類や治療方法について説明します。
もし当てはまる症状があったら、歯科医院を受診してみてくださいね。
公開日:2021/07/07 更新日:2021/09/07
歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。
目次
顎関節症は、顎に関するさまざまな症状が当てはまります。代表的なものとしては、
・顎が痛む
・口が開かない
・顎を動かしたときに「カクカク」などのクリック音がする
といった症状があります。もし、大きな食べ物を食べようとしたときに口が開かなかったり、よく顎から音が鳴ったりするときは、顎関節症の可能性があります。
ただし、顎関節症でみられるような症状は、親知らずの炎症やほかの病気によって現れることもあります。こうした病気が原因でない場合に限り、顎関節症であると診断される可能性があります。
顎関節症の原因としては噛み合わせの不正などが挙げられますが、そのほかにも緊張による食いしばり、歯ぎしり、片側の顎で噛む癖、頬杖など、日常でのストレスや生活習慣など、さまざまな要因が重なって顎関節症が起こるという考え方もあります。
顎関節症の中でもよく認められるのが、カクカク(クリック音が)鳴る症状です。主に、口を開けたり閉じたりしたときに音が鳴るものですが、痛みなどがないとつい放置してしまいがちです。
こうしたクリック音が鳴るという患者さんは、食事のときに左右の顎をバランス良く使えていない傾向があります。「痛みがないから」と放置し、無意識に片方の顎ばかりで噛んでいると、負担のかかった歯が擦り減るリスクが高まります。
最悪の場合、歯が割れてしまうことも考えられるので、なるべく早く受診するようにしましょう。
また、口を開けたときに顎の痛みが出るような症状が続く場合も、歯科医院を受診して症状を伝えてください。
そのほかのリスクとして、耳鳴りやめまい、頭痛といった全身的な症状を伴うこともあります。早めに治療を始めれば、簡単な処置で済む可能性があります。
さまざまな症状が顎関節症に当てはまる可能性があります。場合によっては、めまいや耳鳴りといった、顎関節以外の症状から顎関節症と診断されることも。歯科医院でのカウンセリングで思い当たる症状をお話ください。
ここで大切なのは、症状だけでなく日常生活における習癖を確認することです。
顎関節症の誘因として、
・緊張状態による食いしばり
・歯ぎしり
・口を閉じたときも上下の歯が接触している
・片方の顎だけで食事をしている
などの習癖があります。こうした癖を直すことで症状が改善することもあるため、症状と一緒に伝えることで歯科医師が治療方針を立てやすくなります。
その後は視診や触診で筋肉の状態や開口量を確認し、レントゲン(パノラマX線)撮影により顎の関節の形態を確認します(場合によって、CTやMRIも撮影します)。
こうした診断から治療方針を決めていきます。診断の結果によっては噛み合わせの調整を行うことがあります。具体的には、噛んだときに上下の歯が強く当たりすぎる箇所を削ったり、噛んでいないところを装置で噛ませたりします。
場合によっては、歯列矯正や被せ物の治療などを行うこともあります。
もし痛みを感じなくても、口を開けたときにクリック音がしていることに気付いたら早めに歯科医院で診てもらいましょう。もしかしたら、あなたが意識していない生活習慣に顎関節症の原因が潜んでいるかもしれません。
この記事で、顎の違和感に対するあなたの不安が少しでも解消されれば幸いです。