インプラントと歯列矯正の順番は?どっちを先に始めたらいいの?

歯をたくさん失ってしまったけれど、できる限り自分自身の歯で過ごしたい。矯正でできる限り整えてからインプラントを入れたい。
こういった場合、矯正歯科医院とインプラント歯科のどちらを先に受診するか、迷いますよね。はたして、どちらを先に受診すれば、よりスムーズに治療を受けることができるのでしょうか?今回の記事では通院する順番や、矯正とインプラントに関するお悩みに答えていきます。

公開日:2021/02/09  更新日:2021/09/10

監修医師

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。

インプラントと歯列矯正、どっちから始める?

■目次

  1. インプラントと矯正、両方受けたい
  2. 矯正歯科を先に受診!
  3. インプラントが既に入っているのですが
  4. インプラント治療を先に行う限定的なケースも
  5. 歯列矯正とインプラント、適切な順番で治療を受けましょう!

インプラントと矯正、両方受けたい

歯の欠損本数や失った歯の部位によっては、矯正治療とインプラント治療を併用することによって、インプラントを入れる本数が少なく済んだり、なるべく自分自身の歯を生かして噛むことができるなどのメリットがあり、併用しての治療を希望される方もいらっしゃるのではないでしょうか。

矯正とインプラントの双方を、同じ歯科での診察のもとで行えることが最大の理想ではあります。しかし、それが難しい場合は、矯正を先にすべきか、それともインプラントを先にすべきか。この治療の順番は、最終的な治療結果を左右するほどに重要なものとなってくるのです。

矯正歯科を先に受診!

表側矯正の模型

結論から言うと、矯正歯科から先に受診するのが一般的な治療の流れとなっています。インプラントは一度埋め込んでしまうと、後から動かすことができません。被せ物で少し移動させることはできますが、それにも限度があります。インプラントを埋めいれる場所も歯をどのように動かすかの計画を元に決まります。

実際に治療を行うにあたり、自分自身の歯を動かして治療を行う矯正のほうを先に行い、ある程度の目途が立ってきた段階でインプラント治療に向けての処置を始めることによって、インプラントを埋め込むためのスペースを作りやすくなります。
加えて、矯正治療によって歯を動かし、歯の隙間がなくなったあとにインプラントを埋入することで、インプラントをより適切な位置に入れることも容易となります。
インプラントと自分自身の歯の間に隙間が空いてしまった、インプラントに合わせたら自分自身の歯と歯の間に隙間が残ってしまったといったトラブルを避けることができます。

さらに、治療前の段階で前歯や奥歯をどこに動かすかを決め、全体の嚙み合わせやバランスを考えたうえで、インプラントを入れることが可能になってくる点もプラスです。奥歯にインプラントを入れなければ治療が困難である場合であっても、奥歯の適切な位置に埋入することが可能です。

インプラントが既に入っているのですが

既にインプラントが入っていたとしても、先に矯正歯科にかかりましょう。
インプラントを埋入した部分を把握しておくと、無料のカウンセリングの時点でも相談しやすくなります。
担当の医師と相談したうえで、その時点で入っているインプラントはそのままに、新たな治療計画を立て、さらなるインプラントの埋め込みが必要か否かを決めることになります。

インプラント埋入を行った医院と矯正治療を行う医院が同じ、もしくは同系列であれば連携もスムーズにはなりますが、別々の医院で処置を行う場合は、互いの歯科医院が正確に連絡を取り合い、今後に埋め込むインプラントの本数を極力減らしつつ、審美的な面でも影響を最小限にとどめるような治療を行っていく必要があります。

インプラントが先に入っているメリットとして、インプラントを固定源に歯を動かすことが可能です。インプラントは顎骨に結合しているため、動くことはありません。ある特定の歯だけを動かしたいなどの際に活躍することもあります。

インプラント治療を先に行う限定的なケースも

歯の模型

また、ごく限定的なケースではありますが、先にインプラントを入れる場合も存在します。歯が欠損した状態で矯正治療を進めると日常生活で不便な状況に陥りやすいのもあり、患者さんの身体的状態によっては、早い段階でのインプラント治療が必要になることもあります。前述の通り、先にインプラントを埋入することで、矯正時の歯の移動を円滑にすることができるため治療がスムーズになることもあります。

とはいえ、インプラントは一度埋め込んでしまうと移動が不可能となるため、先にインプラントを用いる治療を行う場合は、綿密なシミュレーションを行うことが不可欠となります。担当する医師の知識と技術が問われる部分でもあるため、この手法を採るには、事前の入念な診療、調査、相談といった手順が欠かせないことでしょう。

歯列矯正とインプラント、適切な順番で治療を受けましょう!

矯正治療とインプラント治療は、どちらも欠損した歯の治療法として有用なものです。しかし、その順番を間違えてしまうと、金銭的な負担が大きくなるケースがあるだけでなく、治療後のお口の中の状態が想定できなくなってしまう危険性もあります。
最終的な結果が理想の歯並びとは異なるものになってしまうことほど、悲しいものはありません。歯科医院でしっかりと検査を受けたうえで、疑問点や不安な点がある場合は、詳しく話を聞いてから治療を始めるのがよいでしょう。

また、矯正とインプラントを別の歯科医院で受ける場合は、互いに提携している歯科医院であるとより安心して治療を受けられるかもしれません。情報の共有や意思の疎通といった面で歯科医師同士が連携をとるため齟齬が生じにくく、診察を受ける側としても大きなメリットがあります。

順番や対処を間違えるとリスクが生じる分野であるからこそ、計画的な治療ができる方策を、事前に考えておく必要があります。通常の矯正やインプラント以上に綿密な計画が必要なため、自分自身が納得できる歯科医院を選びましょう。

※患者さんのご要望によっては、インプラントを埋め込まずに矯正だけで隙間を閉じることもあります。その場合、インプラント併用の矯正治療よりも長い治療期間がかかる可能性があります。

【PR】フィリップス ソニッケアー
歯科専門家使用率NO.1

フィリップス・ジャパン

あわせて読みたい記事

メディア運用会社について

メディカルネット

株式会社メディカルネット(東証グロース上場)は、より良い歯科医療環境の実現を目指し、インターネットを活用したサービスの提供にとどまらず、歯科医療を取り巻く全ての需要に対して課題解決を行っています。

当サイト「矯正歯科ネット」を通して生活者に有益な医療情報を歯科治療の「理解」と「普及」をテーマに、自分に最適な歯科医院についての情報や、歯の基礎知識、矯正歯科などの専門治療の説明など、生活者にとって有益な情報の提供を目指しています。

矯正歯科歯科医院を探すなら「矯正歯科ネット」

矯正歯科治療を行なっている歯科医院を、全国から簡単に検索できます。お近くの矯正歯科歯科医院をお探しの場合にもぜひご活用ください。